「人は自分の意志では何もできていない?」とのことをHumanicsとかなんとかいうNHKの番組で見た。昨夜のことである。
確かにある直線上を歩くように言われた人が外からその人の脳に電波か何かで電流を流されるとその直線からずれてしか歩けない。こういう事実を見せられるとそのこと自身は否定できない。
だが、人間はそれだけの存在なのか。たぶん違う。そういう視点にはこの番組はないのではないかと思った。
人間の個性を形成しているところのものは独特のものがあり、それは単なる意志かどうかはわからないが、その個人によって独特である。
無意識の役割が大きいという主張はよくわかるが、その無意識を形成するところになんらかの特色がある。
そういう視点が必要なのではないかと思った次第である。これは現在のミクロな脳の仕組み以外にもっとマクロな脳の仕組みを解明するという視点が必要なのではないかと思った。
そちらがむしろ大きな要素ではないのか。
無意識が大きな役割をしているということは河合隼雄著『コンプレックス』(岩波新書)でずっと以前に知ったことである。
人間には自分で意識される意識の部分とそれよりも大きな無意識の部分があるとの見解は十分に知っているつもりである。
河合隼雄さんは心理的に困った状態の人から話を聞いてあげることによりその人の心理的な状態がいわば自分の気づきにより改善されるという手法をとってカウンセリングを行ってきた。
自分の意欲とかはどこに存するのか知りたいとは私なども思うところである。
ミクロな脳の解明はもちろん必要であるが、もっとマクロな脳の解明はなかなか解明ができないかもしれないが、重要なことではなかろうか。