森正武『数値解析』(共立出版)の直交多項式の漸化式のページをフォローしてそのメモをどこかにファイルしたはずだと思って一昨日と昨日探したがでて来ない。
だが、よく考えてみるとどうもそれは私の記憶まちがいである可能性が高い。確かにその漸化式を使ってクリストッフェル=ダルブーの恒等式の導出のフォローをしたので、それをこの漸化式の導出をしたと勘違いして覚えていたらしい。その部分をどうも漸化式の部分の導出だったと思っていたらしい。どこにもそのメモが見つからないのだから。
式を書いたという記憶があったのだが、どうも怪しいのではないかと思い至ったのはそのメモを2日もかけて探した後である。確かにその箇所も本で読んだのだが、どうも紙面上ではフォローしなかったらしい。本に書かれた式を目で追って読んだことは事実なのだが、手を動かさなかったらしい。
上述の『数値解析』では、ガウス数値積分の一般論を簡単に示しておられるので、私の長年の喉のつかえがとれた感じである。それにクリストッフェル=ダルブーの恒等式を用いて、私が『数学公式III』(岩波書店)で知って用いた関係式も証明できたので、このことを前に書いたエッセイ「歩行者のためのガウス積分」に付け加えておく必要ができた。こんなことは数値計算の専門家にはつまらないことであろうが、私のような非専門家には重要なことである。
これは単なる推測にしか過ぎないが、私にガウス数値積分のことを教えてくれたNさんは文献から重みを求める公式を証明しないで、そのまま使って私にプログラムをつくってくれたのだろう。それで私がその重みの式の求め方を知りたいと言ったときに、前に証明したが、忘れてしまったという言い訳をしたのだと思っている。その点は数値計算の専門家であったYさんとは違っている。Yさんはガウス数値積分の一般論も明らかに知っていると思う。もっとも、このYさんが著した数値計算の書からは私は「ガウス数値積分の一般論」を理解できなかった。
重みを与える数値はちょっとした数表には出ている。それで私の1年先輩のHさんなどもその数値を用いてガウス積分を行ったのではなかろうか。
Nさんは数年前に亡くなったが、Hさんの方はまだ存命であるので、彼に尋ねることもまだ可能である。