2次元の回転と書いたが、これには見方が2つある。
一つは平面上で図形を形を変えないで、座標軸の原点のまわりをそのまま回転する。この見方を能動的見方という。対象とする図形を動かすからである。
もう一つは平面上の図形の回転ではなくて、座標軸の方の原点のまわりの回転である。古い座標で見ていた図形も新しい座標でみるというのである(この場合には受動的見方という)。
たとえば、2次曲線だとかだったら、普通に楕円でもその標準形であることは少ないはずだ。だが、主軸に直交座標系のx軸やy軸にあわせているのが普通である。本当なら普通に楕円と思っている図形を45度傾けてあるのだって普通には存在するはずではないか(注)。
ところが高校数学のテクストで楕円の形で
x^{2}/a^{2}+y^{2}/b^{2}=1
とだけ表されてxyの項のあるものなど高校では教わらない。これはx、y軸と楕円の主軸と合わせているからである。だから本当はxyの項も存在する楕円だって普通には存在するわけだ。
(注)主軸とは長軸と短軸をいうが、長軸をx軸に合わせ、短軸をy軸に合わせて、それを数式で表したのが上に書いた楕円の標準形である。
想像してほしいのだが、普通にあなたが知っている楕円をたとえば、x軸から45度反時計方向(時計の針の進行方向とは反対に動かす)に回転したものを思い描いてほしい。このときには元のx、yで表すとその楕円はxyの項もあるものである。
(2023.9.2付記)もちろん、主な関心は3次元の回転である。だが、簡単にその2次元回転が導けるからだろうが、その導出の記述がなかったので、どうだったかなと調べてみた。
一つは佐藤光さんの『群と物理』(丸善)である。これは演習問題になっていて、解答がなかったが、図が出ている。それを頼りに考えたらわかった。これは導出がやさしい。
もう一つは何を見たのか覚えていないが、やはり高橋康『物理数学』(講談社)にも導出は書いてなかったので、他の本を参照した。古い座標を新しい座標で表すという方法で書かれていた。難しくはないが、少し計算が必要だ。