心の上では進展だが、実際には進んでいない。しかし、この心の上だけでも進展したのがうれしい。
これは10年越しの課題が解決しつつあるという感じがしてきているからである。腰を落ち着けてしっかり取り組まなかったお前がわるいというのが妻の言い分のようだが、彼女もあからさまには批判はしていない。
そうではなくて、妻などは私が四元数の本の翻訳に集中する時期をのがして、無為に時を過ごしてしまったという見方をしている。はっきりとは言わないでそういう冷めた見方をしているということだ。これはしかたがない。
だが、私に言わせれば、そういうやむにやまれぬ事態には至っていなかったのではないかと思っている。
第6章の6.3節がどうも唐突で前後の接続がわるいと思って来たし、実際そうなのだが、なかなかどうしたらいいかわからなかった。いまでもよくわかっているわけではないが、なんとかそのところを回避する道を見つけたのではないかと思っている。
100%の満足ではないが、70%くらいの満足ではなかろうか。最上ではないのはわかっているが、私に残された時間はもう無限ではないのだから許されるであろうか。
私の先生にあたる、Sさんにその草稿を送って安心させてあげねばなるまい。草稿はまだ準備中ではあるのだが。方向が見えたということの証を。