またまた別の考えが起こった。これは『四元数の発見』の第6章の変更の可能性についての考えである。
今書き換えていたのは、ベクトル空間の公理とか計量ベクトル空間の公理とかを述べてその観点から四元数の認識を深めた記述をしたいというものであった。
それもわるくはないのだが、ベクトルの概念の四元数からの発生として、Gibbsのベクトルのスカラ―積やベクトル積の導入を述べて、それからもう一度、複素数とか四元数をベクトルと考えるという方向も説明としてはありそうだとの考えである。
昨日までそういうことを考えないで、線形代数の方向で記述を進めるつもりであった。だが、昨夜そうではない別の方向を思いついた。日本語で書かれた『四元数の発見』の改訂としてはその方がよさそうに思われる。だが、英語の書として出版するのならば、どうだろうかということである。
日本語の本(注)はあくまで四元数の初心者に四元数について述べるという感覚が私には強い。だから記述はできるだけ、かみ砕いて初心者に寄り添う姿勢があるほうがいい。だが、英語の書となるとある程度専門家のことを意識しないといけないだろう。
ただ私はまったく専門家のための本とはしたくはない。もちろん専門家もそこからいくらか学ぶことのできる本であることは望ましいとは思うのだが。
(注)これは私の書いた本という意味である。日本語で書かれた他の四元数の本を意味しない。