片山孝次『複素数の幾何学』(岩波書店)の本の第一章のはじめのところに1ラディアンの図が出ていて、そこに辺が1の正三角形が描かれている。
その傍には弧の長さの1が描かれていて、この角度は60度の三角形の内角よりも少しだけ小さい図が描かれている。
この図を見て直観的に1ラディアンは60度に近いがそれよりはいくらか小さいことがわかる。この1ラディアンを角度で計算して見ると、約57.3度であることがわかる。
その値は詳しいことは覚えていなかったが、ようやくこれで1ラディアンの大きさの見当がついた。『複素数の幾何学』にはそういう説明はついてはいなかったが、明らかにそのことを意識して描かれたことは想像できた。
こちらは私がここに書いたような説明を坂江正『ピタゴラスからオイラーまで』(海鳴社)の206ページに見かけた。もっともこちらの方は説明だけで図はない。図と説明との両方がほしいなどと望むのはよくばりだろうか。
もっとも坂江さんはすでに『複素数の幾何学』を読んでおられるのだろうとは思う。それでそれを読みとったことを文章として書かれたというのが真相だろう。
そういう気づきが今までに定評のある三角法のテクストにあるのか調べてみたが、少なくとも秋山武太郎『わかる三角法』(日新出版)には出ていないようだ。
もっともよく調べたわけではないので、書かれているのかもしれない。他の人の三角法の著書にも図が描かれていないか調べてみたい。