渡辺恒雄あとつぎ宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

堂々たる民主党 国策捜査に一歩もたじろがず

2009年03月05日 23時58分40秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ

 法務省東地検特捜部が3日午後、陸山会への強制捜査を始めたことに対して民主党幹部からは堂々とした対応が続いています。しかし、全国の総支部長は「動揺」も「情報公開」しています。

 おそらく6日付朝刊から、“マスコミ世論”の形勢も逆転しそうな情勢です。土日(7・8日)には世論調査が行われ、週明け(9日以降)に発表されます。世論調査は水物ですから、私もまだ慎重に結果を見守りたいところですが、おそらく来週には「国策捜査に負けるな、民主党」という世論(Pubilc Opinion)が醸成される見通しができてきました

 頑張れる総支部長は頑張り、心が細くなった総支部長はじっくり休んでいいと私は思います。

 まずは堂々たる岡田克也さんのブログから。

(一部引用はじめ)
我が党の小沢代表の第一秘書が逮捕され、皆様に様々なご心配をおかけしていますことを、副代表としても大変申し訳なく思っています

ただ、今日テレビも入った記者会見の場で、代表は自らの潔白を明言されました。私たちとしては、その明確に説明をされた代表の発言を前提に、しっかりと協力していくことが大事だと思っています。いま大事なことは、右往左往しないことだと思います

いろんな意見があると思います。党の中では様々な議論も必要でしょう。しかし、今回のこういう試練を、外に対してはお互いしっかりとまとまりながら乗り越えていく。そのことが、民主党に対するさらなる信頼感の高まりにつながっていくだろうと思っています。(一部引用おわり)

 3月4日の衆院本会議(「定額給付金法案」再議決)の直前に開かれた民主党代議士会。
 鳩山幹事長が衆院議員に報告しました。

 鳩山さんは、

 「小沢代表は記者会見40分間で説明責任を果たした」
 「代表は一円たりとも見逃さず、オープンにし、ディスクロージャー(情報公開)している」
 「今回の問題も大久保秘書が『(両団体の実体が)西松建設だ』という認識を持っていれば、政党支部を利用したはずだ
 「小沢代表は午前中の役員会で『もしも企業に対する利益・便益の対価だったら汚職・収賄の容疑で(自ら甘んじて)捜査を受ける』と言っていた」
 「検察側に政治的な動きを感じる。検察こそ説明責任を果たすべきだ」

 と報告しました。
 代議士会は全体的に冷静でした。いや、「冷静を保とう」という現職議員の矜持を感じました。

 この後、玄葉光一郎・議院運営委員会筆頭理事が本会議の手順を説明。「両院協議会開催を求める動議」を提出し、その趣旨弁明(提案理由説明)のため登壇する
高山智司さん・議運委員があいさつに立ちました。

 高山さんは、マイクの前で「いやー昨日はビックリしまして、本当にどうなるかと思いながらどしゃ降りの雪を見ていましたが、今日はご覧の通り、見事に晴れましたので、晴れの本会議で堂々と演説したいと思います!」

 とっさに先輩議員から「なんだ何を言い出すかと思ったよ」と声があがり、この日初めて笑いが起きました。

 定額給付金法案そのものへの反対討論に立つ近藤洋介・議運委員が、「きょうみなさんを代表して壇上に立たせていただきますが、私、こう見えても気が小さい男でございまして・・・」と切り出すと、「その通り!」「知ってるぞ!」というヤジで大爆笑。和やかに衆院本会議場へと移動していきました。

 本会議場では、小沢グループ「一新会」の若手数人や官僚出身の政策通の中堅に少し疲れが見られましたが、全体としてはいつも通りでした。

 ◇

 それよりも大事なのは、新人の総支部長です。

 玉木雄一郎さん(香川2区)は3日付ブログで、「小沢代表の第一秘書が逮捕された。
正直、大きなショックを受けた」と述べました。こういう風にハッキリ言える人はまだ安心だと思います。

 大久保秘書が総支部巡りをしていた東北ブロックでは、大久保さんを知っている総支部長が多いと思いますが、どうでしょうか。

 京野君子さん(秋田3区)は4日付ブログで「昨夜はショックに打ちのめされたが、一夜明けて、ともかく代表を信じて、今が頑張りどきと思った。浪人生活に入ってから、今回が三度目の激震だ。一度目は、メール問題。二度目は、大連立構想後の、辞任問題。そして今回の強制捜査。そのつど、党が一丸となって切り抜けて来た」

 「心配してくださるドライバー、ご自宅から、出て来て、声を掛けて下さる方々、実に多くの熱い激励を受けた。今回の事件で、政権交代が遠のきはしないか、と心配する方々がこんなにもいらっしゃるのかと、感無量であった」とのことです。

 来週には世論は大きく味方してくれると予測しています。大久保秘書の拘置期限は来週土曜日まで。取り調べの状況は分かりませんが、それまでに起訴されるかどうか決まると思います。仮に再逮捕された場合は、「別件逮捕」という問題も浮上しますが、それは今は言及しません。拘置期限の3月14日には、政府が海自をソマリアへ「海上警備行動」に基づき派遣する予定ですので、世論は流動的になるでしょう。さらに拘置期限を3月24日まで延長すると、2009年度予算の「30日規定」まで残り5日間になります。仮に参院民主党が採決しなかったり、両院協議会が長引いたりすれば、政府は世論が流動的な中、年度末ギリギリに衆院での再議決(過半数)に臨むという賭けに出る必要がでてきます。

 私は楽観的にみています。まあ、小沢代表との2連ポスターも3月10日から張らなければいけないわけでもないし、剥がすだけで張り替えなければいけないわけでもないでしょう。

 ただ歩くだけで気分が晴れることもあるし、ここはだんまりを決め込む、すなわち休むという選択肢もあるでしょう。

 まあ、大丈夫ですよ(^_^)

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【西松】読売新聞夕刊社会面トップ記事に情報隠し

2009年03月05日 17時35分07秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ
 陸山会をめぐる報道では、社会部(特に産経新聞、読売新聞)のテンションの高さには引くばかりです。

 5日付夕刊読売新聞社会面トップに「西松献金 団体代表者名 取り違え 報告書 陸山会、誤記4年」という82行に及ぶ大記事に悪質な情報隠しを見つけました。

 西松系の2つの政治団体代表者名をアベコベに記載していたという内容です。が、この両団体がまったく同じ住所である、という情報が入っていません。おそらく意図的に書いていないのだと思います。その上で、「陸山会が両政治団体とあまりやりとりしていなかったためとみられる」として、読売新聞の「陸山会関係者は“ダミー”であることを恒常的に知っていた」という論を補強し、社会面トップにふさわしい見出しを立てるための行為でしょう。

 西松建設が設けていた政治団体「未来産業研究会」「新政治問題研究会」の両団体のそれぞれの代表者名が4年間、反対に記載されていたされていたのは、前年のパソコンファイルをコピー&ペーストしていたので、誤りに気付かなかったようです。

 これだけ読むと、あたかも陸山会が「未来」と「新政治」が同質の団体だと恒常的に認識していたように思いますが、収支報告書では、両団体は元々全く同じ「千代田区平河町1-7-5」です。(注:両団体は既に解散している)平河町1丁目辺りというのは、国会議事堂から直線距離で500~600メートルの距離ですから、「利益団体・圧力団体」の住所ではよく見かけます。住所が同じなら、「大きいオフィスビルなのかなあ」「関係の深い団体なのかなあ」と思いながら、作業をしていたのではないでしょうか。

 それを、読売は「陸山会が両政治団体(が西松建設のダミーだと知っていて)あまりやりとりをしていなかったためとみられる」と書いています。これは現時点ではミスリード報道です。

 見出し通り「ずさん」かもしれませんが、陸山会は50ページを超える分厚い収支報告書をつくっています。センセイたちにとっては「うらやましい」かもしれませんが、秘書さんにとっては「違う事務所で良かった。ホッ!」という膨大な作業量でしょう。

 各紙をみると、5日付夕刊以降の続報はあまり出て来なくなってきたようです。

献金・団体代表者名取り違え記載、陸山会ずさんな管理(読売新聞) - goo ニュース

 小沢一郎・民主党代表の資金管理団体「陸山会」を巡る政治資金規正法違反事件で、陸山会が、準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)の二つのダミーの政治団体の代表者名を、4年間にわたって取り違えたまま政治資金収支報告書に記載していたことが分かった。

 陸山会の事務担当者を務める小沢代表の私設秘書は、読売新聞の取材に、「前年の収支報告書を参考にしていたため、間違いに気づかなかった」と話している。陸山会がずさんな記載を続けていた実態が浮かび上がった。

 西松建設は、ダミーの政治団体として、1995年に新政治問題研究会、98年に未来産業研究会を設立。「新政治」の代表には、同社の元営業管理部長、「未来産業」の代表には同社の別の元営業管理部長をそれぞれ就任させていた。

 政治資金収支報告書によると、陸山会は両団体から2003年に計700万円、04年に計700万円、05年に計600万円を受領。06年は「新政治」から100万円を受け取っていた。

 ところが、最初に献金を受けた03年に両団体の代表者名を逆に書き、04、05年も同様に間違えたままだった。最後の06年も、「新政治」の代表者名を書くべきところに、「未来産業」の代表者名を書いていた。

 総務省政治資金課によると、政治団体は献金を受けた場合、献金した側の政治団体の代表者名を把握して、収支報告書に記載する義務がある。同課の担当者は「代表者名を直接確認するのは当然の手続きになっている」と指摘する。

 両政治団体は西松建設の献金を表に出さないためのダミーで、小沢代表側は、献金を受ける際に、政治団体ではなく、西松建設に請求書を出していた。政治団体の代表者名を毎年、誤記し続けてきたのは、陸山会が両政治団体とあまりやりとりをしていなかったためとみられる。

 陸山会は2000年以降、政治資金規正法違反容疑で逮捕された小沢代表の公設第1秘書、大久保隆規容疑者(47)が会計責任者を務めている。

 大久保容疑者のもとで05年以降、事務担当者として同団体の収支報告書を作成してきた小沢代表の私設秘書は「収支報告書はパソコンに保存した前年の報告書を参考にして作っている」と説明。その上で「前年と同じ献金元は、毎年、コピーして書いていた。03年当時の前任者が最初に間違えたので、私も間違えてしまった」と釈明している。

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小沢代表秘書逮捕の理由を法務省と検察に問い合わせよう

2009年03月05日 11時56分11秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ

(写真は樋渡利秋・検事総長=MSN産経)

 最高検察庁・東京地方検察庁は連日、各マスコミに小出しにリークして、記事を躍らせていますが、私たち主権者が憲法15条に基づき選んだ公僕なのですから、今回の小沢代表第一秘書逮捕の理由を直接説明すべきです。

 法務省のホームーページには「ご意見・ご質問」の受付があります。ですからまずは「質問」してみましょう。

(一部引用はじめ)

 皆様方の貴重なご意見等については,今後の検察運営の参考とさせていただきますが,個別に回答することはいたしておりませんので,あらかじめご了承ください。なお,多くの皆様からお寄せいただいたご質問への回答等については,「Q&Aコーナー」に掲載しておりますので,ご参照ください。

(一部引用おわり)

 さて、念のためですが、法務省に“弱み”を握られている人はだれかご説明します。交通関係も含めて、過去に「起訴」された人はそのデータが残っているかもしれません。それから入国管理局も法務省ですから、出入国のデータがあります。戸籍も法務省にありますが、住民票はありません。不動産・商業登記簿も法務省ですが、これについては全国民に公開することで権利を守るためのデータです。

 ちなみに、警察に取り調べを受けたけれども起訴されていない人は、それは国家公安委員会が管理する機関の中ですし、「所得と税金」のデータは財務省&自治体にありますから、法務省にはありません。

 起訴されたことがない人、旅行のための出入国が中心という人なら、法務省にはあまり脅されるようなデータはないと思います。念のため。

最高検のホームページ
 ↓
http://www.kensatsu.go.jp/kakuchou/supreme/supreme.htm

上のホームページ内のご意見・ご質問の受付
 ↓
https://www.kensatsu.go.jp/kensatsumail/feedback.php?id=001

クリックしてください。主権者は私たちです。
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◎検察首脳が世論の反発に混乱 裁判員制度にも暗雲

2009年03月05日 09時47分27秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ
[写真は樋渡利秋・検事総長=MSN産経]

 きのう(4日)の民主党・小沢一郎代表の記者会見をマスコミ社会部記者と一緒にTVで見ていた法務省・検察首脳が興奮状態だったことが各紙の報道からうかがえます。

 ここでいう検察首脳とは、東京地検特捜部の幹部という意味ではなく、樋渡利秋・第23代検事総長をはじめとする「最高検」(最高検察庁)の幹部のことです。東京地検検事正・次席検事も含まれているかもしれません。

 4日付夕刊読売新聞(4版)の15面の記事です。

 検察幹部は「民主党の代表の政治団体だからやったのではない」と語りました。この発言は世論が「政権交代をかけた総選挙前に民主党代表の団体をねらい打ちした国策捜査だ」していることにナーバスになっている証拠です。

 「相手の地位が高いとか、選挙が近いという理由で見逃していたら、検察は国民の信頼を得られない」という発言は、検察が国民の信頼を失いつつあることへの危機感の裏返しです。

 法務省幹部は「脱法的な献金を受けていたことが~」と語っています。「違法的」よりも弱い「脱法的」という単語を使ったのは、「特捜部が違法だとして立件、有罪にできる」と信頼していない心理のあらわれです。法務省と最高検察庁は同じ「千代田区霞が関1-1-1 中央合同庁舎6号館」にあり、大臣・事務次官は19階、最高検は20階にあります。

 5日付朝日新聞2面「時々刻々」では

 小沢会見の様子に「釘付けになった」検察庁・法務省の幹部は「法律的に不公正と言っていたことが許せない。理解できない」としています。「不公正」という単語に反応する正義感を示しつつ、「許せない」「理解できない」と感情的な言葉が続いており、法と世間の間で揺れ動く心の表れに思えます。

 「今こそ、確実に選挙に影響を与えない時期。これ以上先になれば、影響を与えないとは言えなくなるのではないか」

 「今こそ、確実に」と力強く切り出しながら、語尾で「言えなくなるのではないか」と自信がなくなります。検察首脳が「衆院選」を憲法第45条に規定する「4年」というスパンで考えているのに対して、国民の多くが「人生最大の選挙」と「80年」で考えていることとのギャップです。

 検察官の間では、全国を転勤しながら働くスタイルへの悩みも多く、細かい仕事も増えており、顔色が悪い人が多い。若い特捜部所属の検察官が、証券取引法違反をめぐる法廷で、会計学の学者に「A被告とB被告は刑法上の共犯関係にあると思うか?」と質問し、裁判長が首をひねり、法廷が中断したシーンも実際に見ました。

 検察史上最大の世論の反発を「裁判員制度発足(5月21日)」の直前に浴びることになった法務省・最高検察庁。

 樋渡検事総長が法務事務次官だったころは、小泉内閣の安倍官房副長官が特捜部をコントロールしていたようです。そのころとは社会・経済・政治情勢が大きく違うことに気付いていないようです。お友達である「マスコミ社会部」に対する国民の信頼もガタ落ちです。

 検察は、マスコミ社会部に小出しにリークするのではなく、国民に向かって堂々と記者会見を開き、説明責任を果たすべきです。

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