3月16日付日経新聞第2社会面にひっそりと載っていた記事が非常に重要な意味を持っていることに気付きました。
記事を要約すると、「2つの政治団体は西松の一方的偽装で、西松主導で偽装パーティーを開催。原資はすべて、西松のお金だ」として、「東京地検特捜部は」大久保さんが「2団体が西松建設のダミーで実体がないことを認識していたとみて調べている」と特捜を突き放した冷淡な表現で記事を締めくくっています。
日経ネットにはリード(前文)しか載っていないので、相当面倒ですが、書き起こしてみます。
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小沢氏側へ献金の2政治団体、西松が偽装し実体隠す
西松建設の巨額献金事件で、同社が民主党の小沢一郎代表側への献金の隠れみのに使ったとされる2つの政治団体を巡り、見せかけの資金集めパーティーや団体の代表者の名義借りなどで実体があるかのように「偽装」が行われていたことが15日、同社関係者の話で分かった。2団体が行った献金やパーティー券購入の原資は、実際はほぼすべてが同社の資金だったという。
東京地検特捜部は、政治団体の実体を隠す目的で西松建設が一連の偽装工作をしたとみて調べている。(07:00)
(以下、16日付日経第2社会面から書き起こし)
西松建設関係者によると、資金集めのパーティーを偽装していたのは、同社OBが代表を務めた政治団体「新政治問題研究会」(新政研)、「未来産業研究会」(未来研)=ともに2006年に解散。
2つの団体の政治資金収支報告書によると、04-06年の3年間に2団体は「新世紀政経懇談会」「フォーラム日本21」と題したパーティーを計14回開催。パーティー収入として新政研は計1260万円、未来研は計1300万円とそれぞれ記載していた。
西松建設関係者によると、こうしたパーティーの会費は同社が社員名義で2団体に支払っていた。当日は宴会施設などの会場を借りていたが、同社の幹部ら10人程度が出席するだけ。前社長、国沢幹雄容疑者(70)=政治資金規正法違反容疑で再逮捕=が顔を出すこともあったという。
西松建設は社員に2団体の会員になるよう勧誘し、年数万-十数万円の会費をボーナスなどで補てんしていたことがすでに判明しており、2団体の収入はほぼすべてが西松からの献金だった。
また、西松建設関係者によると、1998年に未来研が設立された際、同社総務部が同社の元幹部に代表者就任を依頼。元幹部は未来研の実務に関与せず、献金やパーティー券購入の管理はすべて総務部が行っており、事実上の「名義借り」だったという。
捜査関係者によると、国沢前社長が1995年ごろ、企業名を隠すため、政治団体を隠れみのにした「偽装献金」を考案した。2つの政治団体を解散した06年末までに、西松側から小沢氏側への献金は総額3億円に上った。特捜部の調べに対し、西松建設関係者は「西松建設と政治団体は一体だった」などと供述しているという。
東京地検特捜部は、小沢氏の公設第一秘書で同氏の資金管理団体の会計責任者、大久保隆規容疑者(47)=政治資金規正法違反容疑で逮捕=が、2団体が西松建設のダミーで実体がないことを認識していたとみて調べている。
◇
この記事によると、2団体は西松が偽装しており、全額が西松のお金だった。西松関係者は「西松と政治団体は一体だった」と供述している、と踏み込んで書いています。
その上で、最後にちょっとだけ、特捜は大久保さんが「認識していた」とみて調べている、と極端なまでに特捜を突き放した冷淡な表現で締めくくりました。
ここでいう「捜査関係者」ですが、吉田正喜・副部長(特殊・直告第一班長)とは思えません。ひょっとすると、吉田副部長に愛想を尽かした部下の可能性があります。法務省は副部長以外の検察官から直接取材した記者は司法記者会に「出入り禁止」処分にするはずです。月曜日付の原稿ですから、土日に検察官の自宅に行って取材したのかもしれません。おそらく「出入り禁止」覚悟の原稿でしょう。
この仮定に基づけば、16日付夕刊各紙に「吉田副部長のリーク返し」と思われる記事は載っていませんから、17日付朝刊各紙に「吉田副部長のリーク返し」が載らなければ、我々の勝利は近づきます。
この記事からすると、「24日、大久保さんは形式犯としての起訴まで」ということになりそうな気配を感じます。そうすれば25日からは反転攻勢です。
ちなみに私はこの記事をよく読まずに、16日午後、日経新聞本社に「ごあいさつ」に出向き、論説副委員長らと立ち話をしました。日経という会社はデスクは強がるけど実際は弱い会社です。というのは大半のベテランが子会社管理職に出向く関係で、デスクは取材経験が短くて若い中堅社員が務めざるを得ない人事体系になっています。ですから、いったん現場の若手記者が実権を握れば、デスクは原稿をスルー(記者が送ってきたまま整理部に送る)せざるをえなくなります。
予断は禁物ですが、日経の良心的記事が今後のマスコミ世論になることを期待します。ならなければ、また「ごあいさつ」に行きます。
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