山岡賢次さんは、小沢一郎幹事長の最側近議員です。
小沢幹事長率いる民主党国会対策委員会は、政府にかわり国会対策を担っています。本来与党の国対委員長は会期内にすべての法案を「あげる」(衆参で審議し、採決し、可決・成立させる)のが「良い国対委員長」です。早めに「延長」発言をすると、野党に攻撃の余地を見せることにつながりかねません。
山岡さんは、川崎二郎・自民党国対委員長に、民主党マニフェストになかった「永住外国人への地方参政権法案」を今国会に議員立法で提出したいとの考えを伝えました。この法案は小沢幹事長が、民団(在日本大韓民国民団)会長に対して約束しており、7月の参院選での同団体の支持取り付けのねらいがあると思われます。小沢幹事長が今国会提出(成立?)を山岡さんに指示したと思われます。
一方、山岡さんはきのう5日、菅直人副総理(国家戦略相)から国家戦略室の国会議員メンバーの増員(法案は不要)を要請された際、「小沢幹事長に言ってほしい」と述べたと報じられており、政府と幹事長の取り次ぎ役に不安を持っている可能性があります。山岡さんの唯一最大の権力源である「小沢幹事長とのパイプ」が揺らいでいる可能性があると思われます。
自民党側からみれば、国会が12月にずれ込んでもらわないと、年内にTVニュースに登場する機会はもうほぼないでしょう。延長(再延長含む)国会で、攻める姿勢をみせないと、1月召集の「第174通常国会」(会期150日間)は、7月の参院選をひかえており、与野党とも「小幅延長まで」の攻防になります。
小沢グループに所属する山岡さんにはもう一つ懸念があると思われます。12月10日(木)~13日(日)に、訪中団「第16回長城計画」が2年ぶりに実施されます。10日(木)夜の人民大会堂での中国側の夕食会、11日(金)午後の中国首脳と記念撮影会、12日(土)夜の釣魚台迎賓館で日本側主催の答礼夕食会が予定されています。この3つは小沢さんが参加しないと話にならない行事であり、国内を離れることになります。
延長幅が10日間以上になると、長城計画の日程にかかり、参加人員(最少催行人員100人)が減るうえ、国対副委員長らの国内での留守番が必要になります。
一新会有力メンバーのうち、2年前は、山岡さんのほか、松木謙公、石関貴史、鈴木克昌、小宮山泰子各国対副委員長や奥村展三さんらが訪中しています。参院では佐藤公治副幹事長、米長晴信参院国対副委員長らが参加しています。一新会以外で、細野豪志さんも団の責任者の一人を務めました。議席がなかった樋高剛副幹事長は「地元が心配なので」という理由で不参加でした。このメンバーのうち、何人かは国内で留守番をしないといけない格好になります。
このような背景から、山岡さんは板挟みになって、精神的に参っており、会期を15「営業日」残したきょうの異例の「延長発言」につながったと推測しています。
一新会はいきなり党内基盤を失いかねない局面になりつつあるようです。
山岡国対委員長:臨時国会の延長 検討を表明 - 毎日jp(毎日新聞)
民主党の山岡賢次国対委員長は6日午前、臨時国会(会期末11月30日)について、「延長せざるを得なくなるかもしれない」と述べ、会期延長を検討する意向を表明した。自民党の川崎二郎国対委員長との会談後、国会内で記者団に語った。また、山岡氏は川崎氏との会談で、永住外国人への地方参政権付与法案を今臨時国会に議員立法で提出したいとの考えを伝えた。
民主、自民国対委員長会談では、山岡氏が人事院人事官の国会同意人事案について、17日に衆院、18日に参院で採決する日程を提示し、川崎氏も了承した。そのうえで山岡氏は国家公務員給与法改正案の成立が会期末の30日になるとの見通しを伝えた。
山岡氏は記者団に「ギリギリの綱渡りの日程だ。(会期延長して法案を)仕上げるか、継続にするかの選択を迫られている」と語った。