【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

山岡賢次国対委員長が「延長」発言の異例さ

2009年11月06日 13時20分50秒 | 第173臨時会(2009年10~12月)政治主導
 与党・民主党の山岡賢次・国会対策委員長が6日午前、臨時国会を「延長せざるを得なくなるかも知れない」と述べました。会期末まであと15「営業日」残っている時点で、与党の国対委員長が延長に言及するのは異例だと思います。

 山岡賢次さんは、小沢一郎幹事長の最側近議員です。

 小沢幹事長率いる民主党国会対策委員会は、政府にかわり国会対策を担っています。本来与党の国対委員長は会期内にすべての法案を「あげる」(衆参で審議し、採決し、可決・成立させる)のが「良い国対委員長」です。早めに「延長」発言をすると、野党に攻撃の余地を見せることにつながりかねません。

 山岡さんは、川崎二郎・自民党国対委員長に、民主党マニフェストになかった「永住外国人への地方参政権法案」を今国会に議員立法で提出したいとの考えを伝えました。この法案は小沢幹事長が、民団(在日本大韓民国民団)会長に対して約束しており、7月の参院選での同団体の支持取り付けのねらいがあると思われます。小沢幹事長が今国会提出(成立?)を山岡さんに指示したと思われます。

 一方、山岡さんはきのう5日、菅直人副総理(国家戦略相)から国家戦略室の国会議員メンバーの増員(法案は不要)を要請された際、「小沢幹事長に言ってほしい」と述べたと報じられており、政府と幹事長の取り次ぎ役に不安を持っている可能性があります。山岡さんの唯一最大の権力源である「小沢幹事長とのパイプ」が揺らいでいる可能性があると思われます。

 自民党側からみれば、国会が12月にずれ込んでもらわないと、年内にTVニュースに登場する機会はもうほぼないでしょう。延長(再延長含む)国会で、攻める姿勢をみせないと、1月召集の「第174通常国会」(会期150日間)は、7月の参院選をひかえており、与野党とも「小幅延長まで」の攻防になります。

 小沢グループに所属する山岡さんにはもう一つ懸念があると思われます。12月10日(木)~13日(日)に、訪中団「第16回長城計画」が2年ぶりに実施されます。10日(木)夜の人民大会堂での中国側の夕食会、11日(金)午後の中国首脳と記念撮影会、12日(土)夜の釣魚台迎賓館で日本側主催の答礼夕食会が予定されています。この3つは小沢さんが参加しないと話にならない行事であり、国内を離れることになります。

 延長幅が10日間以上になると、長城計画の日程にかかり、参加人員(最少催行人員100人)が減るうえ、国対副委員長らの国内での留守番が必要になります。

 一新会有力メンバーのうち、2年前は、山岡さんのほか、松木謙公、石関貴史、鈴木克昌、小宮山泰子各国対副委員長や奥村展三さんらが訪中しています。参院では佐藤公治副幹事長、米長晴信参院国対副委員長らが参加しています。一新会以外で、細野豪志さんも団の責任者の一人を務めました。議席がなかった樋高剛副幹事長は「地元が心配なので」という理由で不参加でした。このメンバーのうち、何人かは国内で留守番をしないといけない格好になります。

 このような背景から、山岡さんは板挟みになって、精神的に参っており、会期を15「営業日」残したきょうの異例の「延長発言」につながったと推測しています。

 一新会はいきなり党内基盤を失いかねない局面になりつつあるようです。

 山岡国対委員長:臨時国会の延長 検討を表明 - 毎日jp(毎日新聞)

 民主党の山岡賢次国対委員長は6日午前、臨時国会(会期末11月30日)について、「延長せざるを得なくなるかもしれない」と述べ、会期延長を検討する意向を表明した。自民党の川崎二郎国対委員長との会談後、国会内で記者団に語った。また、山岡氏は川崎氏との会談で、永住外国人への地方参政権付与法案を今臨時国会に議員立法で提出したいとの考えを伝えた。

 民主、自民国対委員長会談では、山岡氏が人事院人事官の国会同意人事案について、17日に衆院、18日に参院で採決する日程を提示し、川崎氏も了承した。そのうえで山岡氏は国家公務員給与法改正案の成立が会期末の30日になるとの見通しを伝えた。

 山岡氏は記者団に「ギリギリの綱渡りの日程だ。(会期延長して法案を)仕上げるか、継続にするかの選択を迫られている」と語った。


◎「嘉手納統合案」は「15年後に国外移転」 報道ステーション報じる

2009年11月06日 00時18分56秒 | 第173臨時会(2009年10~12月)政治主導
 沖縄本島の辺野古沖の埋め立てに着手せず、米海兵隊「普天間基地」を米空軍「嘉手納基地」に統合させるという岡田克也外相の「私案」が、「15年間の暫定的な使用を経て、米グアム・本国に移転する」という案だった可能性が高まりました。5日夜放送のテレ朝「報道ステーション」が、10月の長島昭久防衛大臣政務官が訪米した際に国防総省に示した可能性が高いとしました。

 

 統合案のペーパーも放送され、沖縄県の宮城篤実・嘉手納町長も国民新党の下地幹郎さん(沖縄1区)から同様のプランの説明を受けていることを明かしました。

 

 この放送に先立ち、岡田外相はカート・キャンベル国務次官補と5日午後、外務省内で会談し、12日からのオバマ大統領来日では、結論を出さないことに合意。とはいえ、来年の日米同盟50年(2010年)に向けて、「できるだけ早期に解決したい」(岡田外相)との認識で一致しました。

 民主党は総選挙マニフェストで、「日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」と公約していますが、県外・国外移設は盛り込んでいません。

 沖縄本島では、普天間は都会、嘉手納は田舎に位置します。都会の普天間をしめたうえで、15年間嘉手納に統合し、グアムなど国外に移設した場合、沖縄の負担は軽減します。国内政治としては、普天間基地の民間地権者や、基地で働く日本人労働者には配慮が必要です。

 ひとつ余計なことを書きます。報ステは岡田外相の父が創業し、兄が社長を務める「イオン」がスポンサーのひとつです。それゆえか、岡田さんを支えようという姿勢が時折、見受けられます。しかし、それとこれとはまったく別。岡田さんが沖縄の心の原点に立って、頑ななまでに「公」のために身を捧げる、それが「私」の世界である小売業における偉大すぎる父への反発力であることは想像に難くない。岡田さんはあくまでも「公」のために身を捧げようとしている、その政治家としての姿は、周辺自治体の住民の方にも通じると思います。信なくば立たず、外交とは人です、政治とは人です。

 岡田が決めたらどこまでも。僕もまっすぐに、ひたむきに岡田さんについていきます。

普天間:「できるだけ早期に解決」外相が米国務次官補に - 毎日jp(毎日新聞)

 岡田克也外相は5日、米国のキャンベル国務次官補と外務省で会談した。懸案となっている米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題については12、13日のオバマ米大統領の来日時には結論を出さない鳩山政権の方針を伝えたうえで「できるだけ早期に解決したい」と述べた。キャンベル氏は「日米関係は普天間問題だけではない」と応じ、大統領からの「来週の訪日を大いに楽しみにしている」とのメッセージを外相に伝えた。

 岡田外相が計画していた訪米が中止になったこともあり、事実上、大統領来日前の最後の調整となった。アフガニスタン支援や北朝鮮の核問題、地球温暖化や核廃絶などの問題での連携なども日米首脳会談で取り上げることを確認した。

 キャンベル氏は会談後、記者団に「来年の(日米安保改定)50周年に向け、新しい分野についても一緒にやっていきたい。日米はとてもいい協力を築いている」と強調した。【高山祐】