【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

野党・自民党新人が「予算を付けろ」という国会新風景 衆院農水委

2009年11月25日 13時06分57秒 | 第173臨時会(2009年10~12月)政治主導
[写真]赤松広隆農相(左)と自民党の伊東良孝・衆院議員

【衆院農水委員会 2009-11-25】

 政権交代後の国会を見ると、驚くことが多いです。

 自民党新人は5人います。元参院議員を除くと4人です。うち小選挙区勝ち上がりの自民党新人は3人だけです。その一人、伊東良孝議員(自民党、北海道7区)が質問に立ちました。

 何事も初めが肝心ですが、伊東さんはのっけから、「大臣は答弁が長いと言われています」とカウンターパンチをかましながら、赤松農相に捕鯨について質問。

 赤松農相は特に反応せずでしたが、佐々木隆博・農水政務官(民主党、北海道6区)が「伊東議員とは地方議会(北海道議会)で一緒でした」こうして国会で論戦できて「うれしい」と持ち上げながら答弁。ところが、伊東議員はこれにまったく応じずに質問し続けました。

 大逆風の自民党で新人で北海道で唯一、伊東さんが小選挙区で勝ったのは意外でした。こうして国会で初めて伊東さんを見ると、「やはり猛者だったんだな」と確認できます。こうやって選挙結果と国会審議を見比べると、いろいろなことが見えてきます。伊東さんは町村信孝さん、武部勤さんらの比例復活組に代わり、自民党北海道連会長に就任しているようです。

 で、何が驚いたか。伊東さんは、前釧路市長。捕鯨が盛んですから、地方政界でこの問題に取り組んできたようです。捕鯨に関して、シーシェパードやグリーンピースなどの国際的な市民団体の抵抗などについて赤松農相に問い質しました。

 そのなかで、伊東さんは「仕分けに入っているかどうか知らないが、農水省として捕鯨は守って欲しい」と要望しました。

 与党・民主党などの「事業仕分け」は、予算を削る作業をしています。
 野党・自民党の伊東さんは、「農水省はしっかり予算を付けろ」と質問したのです。
 野党新人が「予算を付けろ」--政権交代後の新しい国会の姿です。
 さて、これを民主党関係者・支持者が「自民党も変わらないねえ」とせせら笑うようだと、そこに来夏の第22回参院選に思わぬ落とし穴が待っているかもしれません。

 まだまだ判断は早いですが、かつてない光景を目にしたということで、スケッチしました。