【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

内閣が国会に前年度の決算書を提出 第174通常国会で審査

2009年11月28日 09時26分46秒 | 第174常会(2010年1~6月)空転政治主導
 内閣は11月24日、国会に平成20年度(2008年度)の決算書(案)を提出しました。平成20年度というと、福田内閣が作った予算です。そして、真ん中辺りから、麻生内閣が予算を執行した予算で、2回にわたって予算が補正され、年度末には定額給付金2兆円を、歳出に増額補正しています。

 この予算の執行状況をまとめたのが、平成20年度決算書(案)です。

 通常国会では、委員会で、
総括質疑→分科会審査→重点事項審査→全般的審査→締めくくり総括質疑
 と進んで、

 来年6月ごろに改善案などを本会議で議決する運びとなるでしょう。

 昨年の通常国会(第169国会)で決算行政監視委員長をつとめた枝野幸男さんは、事業仕分けの統括役として活躍しました。

 消費税の導入に成功した自民党税調会長は山中貞則さんでしたが、通産相などを歴任した山中議員は初当選した後、みんなが予算委員会を希望する中、ひとり決算委員会を希望したそうです。

 決算委員会で全省庁のお金の流れをしっかりと把握。その後に就任した大蔵政務次官時代は、次官室で予算書をめくりながら、気になった点は内線電話をかけて、官僚を呼び、説明を受けていたそうです。今の政務三役と違い、当時の政務次官は「盲腸」と揶揄される暇な仕事でしたが、そうやって時間を有効に使って勉強していたそうです。

 そうやって、お金の流れに詳しくなって、非官僚出身の党人派ながら税調会長として消費税導入に成功しました。また、租税特別措置にも詳しく、自分と関係の深い業界団体に有利なように取りはからうこともありましたが、長年にわたって自民党の権力の源泉である税制をリードしました。その礎は、1年生議員のときの決算委員会にあったようです。

 決算委員会に新人を配置する手法は、参院の民主党・新緑風会に引き継がれています。2007年「逆転の夏」で初当選した議員の多くが参院決算委員会に配属されました。通常国会では、人の出入りの少ない月曜日の落ち着いた雰囲気の中、各省の大臣が順繰りに参院決算委員会に出席し、答弁します。

 内閣が提出したのは、

①一般会計歳入歳出決算
②特別会計歳入歳出決算
③政府関係機関決算書

の3冊の白表紙の冊子をベースに、次のような説明冊子も配っています。
 
○決算検査報告
○歳入決算明細書
○各省各庁歳出決算報告書
○一般会計国の債務に関する計算書
○特別会計決算参照書
○国有財産増減及び現在額総計算書
○国有財産無償貸付状況総計算書
○国有財産の増減及び現在額に関る説明書
○平成二十年度国有財産の無償貸付状況に関する説明書

 などなど、他にもあります。財務省や会計検査院が作製したものです。各国会議員室には、白表紙の分厚い冊子が平積みで50センチほど積み上がっています。

 来年の第174通常国会では、自民党時代の予算執行を民主党閣僚が答弁することになります。ていねいな議論に期待したいところです。