【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

秋の臨時国会延長へ NHK日曜討論、各党国対委員長

2009年11月29日 10時41分54秒 | 第173臨時会(2009年10~12月)政治主導

 きょう(11月29日)は1年納めの九州場所の千秋楽ですが、2009年、憲政史上最も長かった1年も、あす(11月30日)、秋の臨時国会が会期末を迎え、今年の国会は終わります。

 ところが、8月30日に政権交代したのに、民主党は一本の法律も成立(衆参で可決)させていないという、まったく無計画な大失態国会運営が続いています。さらには党首討論(QT)も一度もやっておらず、目を覆わんばかりの状態で、延長は不可避な情勢です。

 29日放送のNHK日曜討論は最終盤国会恒例の各党国対委員長による討論でした。

 野党・自民党の川崎二郎国対委員長(三重1区比例、元運輸大臣)は12月18日(金曜日)までの3週間15営業日の延長を要望しました。

 与党・民主党の山岡賢次国対委員長は「できるだけ短期間にしたい」と延長を示唆する発言をし、野党から「(延長することで)決まったんですね」と突っ込まれ、動揺しながら、「法案を全部通してくれれば(延長する)」と言いました。

 山岡さんは「延々と話題ばかりをしゃべっている国会は与党だから、意味がない」としました。また、早く国会を閉じて、景気対策のための(第2次)補正予算案を編成したい、という趣旨をくり返しましたが、補正に関しては、政府との連絡はないと思われます。

 川崎さんは「(私にとって)長い国対生活だが、(会期の)最終日にならないと(延長するかどうかが)分からないというのは初めての経験ですよ、おかしいよ」と述べました。

 川崎さんは、
与党が「延長しない」と主張
野党が「延長してしっかり議論しろ」と主張

 という構図は「フツーと違う」と指摘しました。

 出席者のなかで唯一30歳代の野党・みんなの党の山内康一国対委員長が「QT(党首討論)は週に1度必ずやりましょう」と呼び掛けると、山岡さんは「法案をババッと通してくれるんだったら、(今週は)QTをやりますよ」という残念な答え。与党・社民党の近藤正道・参院国対委員長、来夏の第22回参院選で改選を迎えることなどへの配慮から、近藤さんが社民党を代表して出席したんだと思いますが、与党の近藤さんからも「1国会に1回QTがあるのは当然だ」との注文が飛びました。

 川崎さんが12月18日までの会期の延長と、①予算委での集中審議②本会議での平成20年度決算の総括質疑③党首討論の3点セットを要求すると、山岡さんは「きのうまで与党をやっていた(自民党の)川崎さんのことばとは思えない」と発言しました。しかし、これはきょうは与党が山岡さん、野党が川崎さんです。川崎さんは政権交代でアタマがチェンジできているのに、山岡賢次さんはアタマがチェンジできていないことが顕著に表れたといえそうです。

 あす午前8時から与野党国対委員長が会談するそうです。いずれにしろ、延長は避けられない状況で、あすは条件闘争の色彩が濃くなりそうです。

 隔週で交代している日曜討論の司会者、今週の司会は島田敏男・NHK解説主幹でした。

 私としては、QTをやらずに年を越すのは反対です。あり得ないことだと思います。政権交代年に1度もQTをやらなかったら、自民党はこれをネタに、第22回参院選で徹底的に民主党へのネガティブ・キャンペーンをしてくるでしょう。一方、今国会で自民党がどんなに審議拒否をしても、来年の7月には国民全員が忘れますから、かなり荒いことをしてくることは想定内です。それへの備えがなかった民主党国対は甘すぎる。

 会期の延長は国会の議決が必要ですので、どのような状況になろうと、あす30日には衆参本会議は必ず開かれます。

 なお、民主党やNHKのホームページによると、あすは午後2時~4時までの2時間、参院本会議場から平成20年度決算に関する質疑でNHK中継が予定されますので、これは優先的に行われると思います。

 不毛な日程国会になりますが、いずれにしろ、今年最後ですし、野党・自民党の奮闘は政権復帰にかける並々ならぬ執念を感じます。このペースでいけば、来夏の参院選は自民党が勝つでしょう。ここでうんざりしたら、政権交代は無に帰します。ここを乗り越えないと、第46回衆院選で民主党は政権を必ず失います。