【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

新進党8人が菅さんの推薦人になる「ねじれ現象」13年のトラウマを克服したい

2010年09月02日 17時16分16秒 | 第175臨時国会(2010年7月)ねじれ

[写真]菅直人候補の推薦人になった「新進党国会議員」経験者8人。左上から時計回りに、岡田外相、中川正春・文科副大臣、野田財務相、藤村修・外務副大臣(United Nations Websiteの中継画面からキャプチャ)、渡部恒三さん、石井一さん、江田五月さん、北澤防衛相。そして、中央は総理の菅さん。


 さて。

 民主党代表選では、小沢一郎候補と菅直人さんがともに25人の推薦人名簿を出しました。規則では20人~25人となっていますから、枠をフルに使った総力戦をうかがわせます。

 私は1日午前、両陣営の推薦人名簿を見ていて、とある「ねじれ」を見つけました。そのため、午後4時からホテル・ニューオータニで開かれた民主党中央代表選挙管理委員会が主催した共同記者会見に行きました。前列で、ずっと挙手していたのですが、どういうわけか、この記者会見、大手報道機関社員以外は一人も指名されず、両候補に質問することができませんでした。

 小沢候補と菅さん。

 小沢候補は新進党の3年間を結党から解党まで所属していました。しかも幹事長・党首とナンバー2以内にありつづけました。

 その一方、菅さんは社民連解党後、新進党に参加した江田五月さんとは別の道を歩き、さきがけに入りました。橋本龍太郎内閣で厚生大臣として名をあげて、1996年第1次民主党を結党しましたから、ただの1日たりとも新進党員だったことはありません。

 ところが、摩訶不思議なことに、その菅さんの推薦人に、元新進党国会議員が8人も名を連ねているのです。そして、同じ釜のメシを食った小沢候補の推薦人には、たったの1人しかいません。とくに新進党解党経験者に限ると、菅さんに4人、小沢陣営はゼロです。

 新進党国会議員の多くはその後、落選してしまい、民主党で、野党一筋15年で国会に残り続けてきた猛者は少ない。その代わり、政権交代後は重要なポジションで国政に参加しています。公明党国会議員は今でも半分以上が元新進党国会議員です。鬼籍に入ったのは、佐藤守良さん、奥田敬和さん、石田幸四郎さん、久保哲司さんら。首長転出に成功した人もいますが、基本的には、今は民間人。例えば、二見伸明さんとか、平野貞夫さんとか、そういう人が多いです。

 ぜひ、この事実だけ、小沢陣営の国会議員、小沢信者のみなさんに知って頂きたい。ネット検索とかしなくていいですから。とにかく、新進党結党・解党経験者が小沢さんを支援していないばかりか、菅さんの推薦人に名を連ねていますね~ということを漠然とでいいから、アタマの片隅に入れて頂きたい。

 カテゴリーで分類すると、次のようになります。

 【新進党党首選で小沢一郎さんに敗れた羽田孜さんと離党し太陽党を結党した人】
 北澤俊美・防衛大臣

 【新進党国会議員として新進党解党を経験した人】
 岡田克也・外相、中川正春・文科副大臣、藤村修・外務副大臣、石井一さん

 【新進党から衆議院副議長になり、党籍離脱中に新進党解党された人】
 渡部恒三さん

 【新進党在籍中に首長選に立候補・落選し国政復帰前に新進党を解党された人】
 江田五月さん

 【新進党国会議員として落選・次期衆院選準備中に新進党を解党された人】
 野田佳彦・財務大臣

 ということになります。こうしてみると、野田財務大臣は、そうとう辛く、不安で、困窮した日々を過ごしたのではないでしょうか。

 一方、小沢陣営には、

 【新進党党首選で小沢一郎さんに敗れた羽田孜さんと離党し太陽党を結党した人】
 前田武志さん

 1人が名を連ねていますが、以前から「政権戦略研究会(羽田グループ)」は人的にも影響力もこぢんまりとしているので、推薦人を分けることがあり、北澤さんと前田さんのあうんの呼吸かもしれません。このほか、小沢陣営の推薦人である三井辨雄さんと伴野豊さんは「新進党公認候補」の経験があります。松野頼久さんは日本新党職員として新進党結党準備会の立て役者です。が、いずれにしろ、小沢さんを推薦する人に、新進党解党経験のある国会議員はいません。

 さて。

 午後5時過ぎから国会内で開かれた菅陣営の総決起集会は、すし詰めの受付でつまらない行き違いがあり、入室できず、外に漏れてくるマイクの音を聞きました。この中で、菅さんは「民主党は、『この党が言うんなら、信用して一生にやろうじゃないか、と(国民が)思ったときに道が拓ける』として、クリーンでオープンな民主党で、議員全員参加の政調と、国民の政治参加による「熟議の民主主義(デモクラシー)」で前に進みたい、との方針を言及しました。

 そして、「これからの日本を任せ、信頼される総理はどっちかを選ぶ選挙だ。
 歴史を選ぶ、時代を選ぶ『戦い』を命懸けでやり抜く」と弁じました。

 新進党解党のトラウマをここで克服したいな、と僕も思うし、きっと推薦人のなかにも思っている人がいるでしょう。ただ、新進党は一部を除いてクリーンだったけど、あまりオープンな政党ではなかったかもしれません。「闘う菅直人」をリーダーに、国民参加の政党をつくっていきたいものです。

 政治改革に燃えた1993年1月23日召集の第126通常国会から17年が経ちました。新進党解党から13年が経ちました。政治の混迷のせいで「失われた20年」。その歴史に決着をつける戦いです。 

【民主党代表選】菅氏の推薦人名簿 岡田氏、前原氏、野田氏ら閣僚ズラリ - MSN産経ニュース

 民主党代表選で菅直人首相の推薦人名簿(25人)は次の通り。(敬称略)

 井戸正枝、岡田克也、岡本充功、金森正、菊田真紀子、玄葉光一郎、土肥隆一、中川正春、長妻昭、野田佳彦、鉢呂吉雄、藤田一枝、藤村修、前原誠司、牧野聖修、山尾志桜里、渡部恒三(以上衆院)

 石井一、江田五月、大河原雅子、岡崎トミ子、北沢俊美、白真勲、林久美子、蓮舫(以上参院)

【民主党代表選】小沢氏の推薦人名簿 海江田氏やガールズの名前も… - MSN産経ニュース

 民主党代表選で小沢一郎前幹事長の推薦人名簿(25人)は次の通り。(敬称略)

 赤松広隆、太田和美、海江田万里、川内博史、岸本周平、小泉俊明、田中美絵子、中山義活、野田国義、松野頼久、三井弁雄、皆吉稲生、村上史好、伴野豊、笠浩史(以上衆院)

 岩本司、大久保勉、川崎稔、武内則男、田中直紀、谷亮子、外山斎、那谷屋正義、前田武志、米長晴信(以上参院)


tag 新進党を解党した小沢一郎を歴史法廷の断頭台に送ろう。


民主党代表選スタート、小沢候補と菅さんが対照的な出陣

2010年09月02日 15時42分57秒 | 第175臨時国会(2010年7月)ねじれ

 任期満了に伴う民主党代表選挙は2010年9月1日告示され、届出順に、小沢一郎さんと菅直人さんの両衆院議員が立候補しました。代表選出は14日、任期は2012年9月までの2年間。

 午前10時の選挙戦スタートと同時に、小沢陣営と菅陣営は対照的な選挙戦をスタート。

 小沢陣営は、さっそく午前11時に衆院第2議員会館多目的会議室で、「総決起集会」を開催し、気勢をあげました。

 
[画像]立候補届出直後の午前11時に小沢グループらを集めて総決起集会を開いた小沢一郎候補(NHK)

 ちょうどそのころ。

 官邸では、防災訓練。アジア最初の近代国家として、憲法、内閣、そして、国会を持った日本の殖産興業・富国強兵の象徴ともいえる「エレベーター」が最初に付いた浅草12階こと「凌雲閣(りょううんかく)」がもろくも崩れ去った関東大震災から87年目の9月1日。内閣総理大臣を務める菅さんや、菅さんの推薦人に名を連ねた閣僚たちは、国民の生命と財産を守るために防災訓練をしました。

  
[画像]防衛訓練に参加する内閣総理大臣の菅直人候補(NHK)

 
[画像]防災訓練にのぞむ長妻昭・厚生労働大臣、野田佳彦・財務大臣(NHK)

 
[画像]防災訓練にのぞむ前原誠司・国土交通大臣、北澤俊美・防衛大臣(NHK、一部トリミングさせて頂いております)

 当ブログが応援している菅陣営は、アフター・ファイブの午後5時過ぎに、衆議院第2議員会館の多目的会議室で総決起集会を開きました。この会合には、朝から「事業仕分け第3弾の再仕分け・特別会計仕分け」の下調べ(ヒヤリング)にとりくんでいた一回生議員らも参加しました。

、20分程度の短い時間ながらも、しっかりと情報共有と意思疎通をしました。ちょっと秘書陣はだれていたようすが垣間見えましたが、これから14日間盛り上がっていくでしょう。これに先立ち、鉢呂吉雄さんらがベテラン・中堅に、藤田憲彦さんらが一回生議員にていねいに出席を要請し、目的を達成しました。

 菅さんは立候補のあたっての政見を記した3ページのペーパーの冒頭、「現下の円高・株安など経済情勢が厳しい中で代表選に立候補することになりました。私は、総理大臣として国政の空白を絶対に作らない、という覚悟で臨みます。国民の皆様にはどうかご理解をいただきたいと思います」と示しました。

 菅さんは14日間、公務を優先させながら、代表選挙にのぞみ、14日以降も、これまでと変わらず、官邸主導で長期安定政権をつくっていく考えです。