【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

再選の公明党の山口代表が八丈島で小沢一郎氏に引退勧告か?

2010年09月24日 21時53分26秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議

[画像]公明党代表の山口那津男さん(公明党YouTubeからキャプチャ)

 公明党ウェブテレビ公明党YouTubeなどによると、公明党代表の山口那津男さんが9月22日の定例記者会見で、きょう(9月24日)届出が始まり、10月2日(土)の公明党第8回定期大会で選出される次期代表に名乗りをあげました。



 

 定例会見冒頭の山口さん。記者から質問される前の冒頭発言の中で、自ら、9月21日、八丈島で、小沢一郎氏と鉢合わせになったとの一部報道について「驚いた」「接触もない」「誤解のないように」と弁明し、まったくの偶然であったことを強調しました。

 前々から、この日の記者会見で、晴れやかに代表選出馬表明をしようとしていたのに、その直前に、よりによって「小沢一郎氏と八丈島で密談か?」との冷や水がかかって、公明党内外から疑念がかかりました。

 太田昭宏前代表の第45回衆院選落選および党敗北の責任をとってリリーフした今回の任期と違い、定期党大会からスタートする新しい任期に向けて、同党中央幹事会で決意表明をした晴れの舞台が台無しになりかねない事態に、自ら「身の潔白」を証明したようです。政党党首が定例会見の冒頭発言で、特定の政治家との接触を否定するのは極めて異例のことです。

 山口さんは「一部報道されましたが、私は昨日(9月21日)に八丈島(東京都八丈町)に来月(10月17日)の町会議員選挙を前にして、新人候補を擁立する(予定である)ことから、党の関係者と打ち合わせなどをするためにおもむきました。帰りの(飛行機の)便で驚いたことに、小沢一郎元代表と同じ便で帰ることになりました。びっくりしましたけれども、帰り際にごあいさつを申し上げたということでありまして、それ以外の接触も小沢さんがどういう理由で八丈に来られていたかおも全く承知するところではありません。誤解のないように申し上げます」

  として、同じ時間帯に八丈島に居たのは事実だが、まったく偶然だったので、誤解しないでくださいと強調しました。

 また記者からの質問に答えました。

 山口さんは小沢一郎氏に対して

 「お疲れになりましたでしょう、しばらくでございました」と声をかけたそうです。

 山口さんは釣りに疲れたと言っているのではなく、「(代表選挙で)お疲れになりましたでしょう。(新進党解党・自自公連立政権離脱以来)しばらくでございました」という政治用語と解釈できるでしょう。つまり、「お疲れになりましたでしょう」とは、「もうそろそろ政界から引退したらどうですか」という意味だととらえるのが筋でしょう。

 山口那津男さんと小沢一郎さんには大変な因縁があります。

 2人はともに、かつて新進党衆院議員として同じ釜の飯を食った仲でした。しかし、山口さんは1996年の第41回衆院選で東京17区に出馬しましたが、落選しました。

 第41回衆院選は私も大学生として、山口さんと同じ新進党東京都連、私は東京11区でしたが、選挙を手伝っていました。その前年の第17回参院選では、東京・西新宿の魚住裕一郎選対本部に東京11区総支部から派遣され、情勢を報告しろ、と言われて分からないなりに答えました。同じ新生党出身で東京9区の吉田公一先生の秘書さんが助けてくれました。

 新進党東京ブロックは、小選挙区を得られなかった創価学会5議員と連合系新人1人が比例単独となりました。そして、小選挙区立候補者は小沢氏の「国会議員が小選挙区で勝ち上がれなくてどうする」との持論で、いっさい比例重複しないことになりました。ところが、小沢氏が東京5区に野村沙千代さんを擁立すると、なぜか彼女だけ比例名簿6位に重複登載されるという「小沢のダブルスタンダード」に東京都連に白けムードが走り、東京の25小選挙区中、新進党はわずか5議席という大惨敗となりました。野村さんは候補者でありながら、なぜか東京11区の応援弁士にやってきました。この応援演説は、当時ヤクルトスワローズ監督の野村克也さんとツーショットという豪華なものでした。ですがなぜかウグイス嬢は「野村克也さんが応援演説に・・・野村克也さんが・・・」と繰り返し、球団名と肩書きをまったく言わないことに違和感が残ったと、聴衆の間で話題になりました。その野村さんですが、東京5区で「惜敗率51・15%」と大敗北を喫しました。当然惜敗率51・15%の候補者の応援を受けた当陣営も落選。当選した自民党新人とは7、100票差の次点でしたが、3位の共産党ベテランに6、663票差まで迫られていました。今振り返ってそのことに気付きました。何もかもグチャグチャな選挙でした。私は就職活動に時間を取られ日本経済新聞社に入社が内々定した直後から小選挙区に張り付きましたが、都連や党本部はシッチャカメッチャカの大混乱だっただろうと想像されます。自分で小選挙区比例代表並立制の改正公選法をつくっておきながら、運用段階では自分の党では重複させないと宣言し、そのあげく公示直前に特定の候補者だけ重複させるという小沢一郎党首にありがちな戦略ミスでしたが、それでも全国では衆院の3分の1近くの議席を得ましたので、結党直後にもかかわらず50議席をとった鳩菅民主党と協力して、もう少し辛抱すれば未曾有の平成不況の第42回衆院選で政権交代できたでしょう。

 山口さんは浪人中に新進党を解党されてしまったので、苦労したでしょう。5年間の浪人生活を経て、公明党の最重要選挙区である参院東京選挙区から国政に帰りました。このことから、山口さんは公明党立党者で創価学会第三代会長の池田大作さんに信頼されていると、推測されています。

 このように山口さんの人生だけを見ても、小沢さんにずいぶん翻弄されてきたことが分かります。小沢さんに「お疲れになりましたでしょう」と言うのは当然でしょう。

 きょうも元気で、あしたも元気で。そして、100年後の私たちの子どもたちが『きょうも元気で』と歌えるように。そのためには、ねじれだろうが、何だろうが、民主党主流派と公明党・創価学会のみなさんは、小沢一郎氏にレッドカードを突き付け、歴史を前に進めなければなりません。

 
[画像]レッドカードを突き付ける山口那津男さん(NHKから)

 ◇

 公明党代表選は山口那津男さん以外に立候補者がなく、24日山口さんの続投が決まりました。10月2日の定期党大会で了承されます。公明党の党首選は一度も選挙になったことがないことから、立党者の了承がないと立候補できない、と言われています。このことから、公明党・創価学会は池田大作さんら、その組織をあげて、小沢氏と距離を置いていることが明確になりました。

 その一方で、衆院4期生でバイオベンチャー企業の技術者の経験がある江田康幸さんが8日に菅直人首相を官邸に訪ね、13日の「HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)特命チーム」に参加するなど、超党派というよりも、菅内閣に公明党専門家議員が飛び込むという新しい動きが起きています。

 自民党さんにはバックアップ政党として第46回衆院選に向けてじっくり準備をしていただきましょう。

 やはり大衆のこと、庶民のこと、福祉のことを知っている「チーム3000」の力が必要ですし、統一地方選で政策をつくるチャンスです。民主党主流派も「クリーンでオープンな民主党」をしっかりと構築し、元祖クリーンの公明党さんに信頼してもらえる土壌作りが必須です。

公明党代表選:山口・公明、試行錯誤 きょう再選、手腕問われ(毎日新聞)
 ◇「政権にレッドカード」一転「是々非々」
  公明党は24日、党代表選挙の立候補を受け付け、山口那津男代表(58)が無投票で再選される見通しだ。昨年8月の衆院選で惨敗し、野党に転じた同党はこの1年、民主党政権との距離感を巡って試行錯誤を続けてきた。「ねじれ国会」でいかに存在感を高め、来年の統一地方選や次期衆院選につなげるか。山口氏にとっては党再建の手腕が問われる2期目となる。【岡崎大輔】

 21日、東京・八丈島から羽田空港に向かう飛行機に山口氏と民主党の小沢一郎元幹事長が同乗した。到着後、小沢氏に気づいた山口氏が「お疲れさまです」と声をかけると、小沢氏は「大丈夫。元気だよ」と応じた。

 これが一部で報じられると、山口氏は22日の記者会見で「帰り際にあいさつしただけ。それ以外の接触はなく、小沢氏の目的も知らない。誤解ないように」と自ら切り出した。実際に偶然だったが、山口氏の釈明は、公明党が民主党との関係に神経質になっていることを印象付けた。

 公明党は今年1月、細川連立政権で小沢氏と「一・一ライン」を築いた市川雄一元書記長を常任顧問として復帰させた。2月には支持母体・創価学会の秋谷栄之助・最高指導会議議長らが小沢氏と東京都内でひそかに会談。通常国会では政府の子ども手当法案と高校授業料無償化法案に賛成した。一連の動きは「民・公連立の布石」との憶測を呼び、支持者の反発を招いた。

 公明支持層は「政治とカネ」問題に敏感だ。小沢氏に対しては今秋にも検察審査会の議決が出る見通しで、同党が民主党と距離を置く一因になっている。

 だが、7月の参院選で「レッドカード」を突きつけた菅政権に対する姿勢には変化のきざしもみえる。13日に発足した政府の「HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)特命チーム」に、公明党から江田康幸衆院議員がオブザーバー参加したのはその一例。党幹部は「菅さんは正面からくるだろうから、こちらは是々非々だ」と語る。統一選を前に政策で実績を上げなければ党勢回復はおぼつかないという危機感がにじむ。

 一方、選挙戦略では自民党との違いが目立ち始めた。菅政権を早期解散に追い込みたい自民党に対し、山口氏は16日の会見で「(衆院)解散一辺倒で求めていくわけではない」と明言。統一選と近い時期の衆院選は好ましくないとの見解も示した。公明党の動向は、11年度予算関連法案の審議が大詰めを迎える年度末に向け、国会での野党共闘の成否を左右することになる。

tag 新進党を解党した小沢一郎を歴史法廷の断頭台に送ろう。