【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【代表選】小沢陣営、東京・大阪の立ち合い演説会に組織的動員

2010年09月05日 19時26分17秒 | 第175臨時国会(2010年7月)ねじれ
[写真]民主党代表選の立ち合い演説会、2010年9月4日、東京・新宿(民主党ホームページ)

 民主党代表選の立ち合い演説会が4日に東京・新宿、5日に大阪・梅田で開かれましたが、この2つの演説会で、小沢一郎さんの陣営が、聴衆を大量動員していた可能性が高いことが分かりました。

 
[画像]「民主党代表選挙遊説参加および動員のお願い」と題した文書

 当ブログが独自に入手した上記文書は、2010年9月1日付で、「小沢一郎総決起大会実行委員」が「各位」に宛てて、「民主党代表選挙遊説参加および動員のお願い」としています。

 そして、代表選の遊説日程が決まったと示し、「直面する政治課題、経済・財政問題を打破できるのは真のリーダーである小沢一郎氏しかおりません」としたうえで、「議員各位の遊説参加はもちろんのこと、各位の支持者・支援者への動員のお声がけを宜しくお願いします」としたうえで、遊説への出欠と「動員いただける人数○人」と記して、ファックスで2人の衆院議員事務所(2人とも通称・小沢ガールズ)に送るよう求めています。

 もちろん街頭演説会の日程が決まったら、支援者に連絡して、お出かけいただくのは、選挙の基本です。とはいえ、民主党代表選は国会議員・地方議員・党員・サポーターに投票権が限られた選挙です。その中で、熱心な支援者や、ビラ配り・交通整理要員にとどまらず、聴衆を組織的に動員するのは、戦術としておかしい、と私には感じられます。

 私はどちらの遊説会場にも行っておりませんから現場のようすは分からないし、あるいは、菅陣営本部でも同様な動きがあったのかもしれません。でも、これだけ暑いのに、代表選の遊説会場に組織的に聴衆を動員するというのは、秘書も消耗するし、あまり効果がないように思います。

民主党:【代表選挙】東京新宿駅西口で立会演説会 約3500人の聴衆を前に小沢、 菅両候補が熱い訴え

 代表選挙の立会演説会が4日午後炎天下の東京新宿駅で行われ、約3500人の聴衆が小沢一郎、菅直人両候補の日本を根本から変えようとの熱い訴えに耳を傾けた。

 開始1時間以上前から、500人近い聴衆が演説会開始を待ち、小沢、菅両候補が登場すると、割れんばかりの拍手が響いた。また、選挙公報を自ら受け取る人も多く、代表選挙への関心の高さをうかがわせた。

 両候補は持ち時間15分を使い切り、政治主導、円高対策、雇用などをテーマに、日本を根本から変える必要性を訴えた。

 演説会は、津島恭一中央選管委員が進行を務め、川上義博中央選管委員が両候補を紹介し、「民主党がんばろう」で締めくくられた。

小沢一郎さんが自らの非を認める 政策会議の設計ミス

2010年09月05日 10時01分39秒 | 第175臨時国会(2010年7月)ねじれ


 民主党代表選の小沢一郎、菅直人両候補が5日のNHK日曜討論で対談。

 小沢さんは菅総理は役人に取り込まれているとの趣旨の発言で攻めたところ、菅総理は役人に取り込まれないように政務三役という鎧を作りそれを党政策調査会を復活させて全議員参加でガードしているとの趣旨の発言で応戦しました。

 この後、9時10分過ぎ、小沢さんは

 「鳩山内閣では、政策会議というのをつくってあったんです。そこでは誰でも参加して、政府の政務三役と(衆参の)委員会の人たちを中心とした党の人たちと議論をする、という場にしていたわけです。そこが上手く機能しないで、単に形骸化しているというところが、みんなの不満のところだったと思いますが、それがきちんと運用されていればそういう弊害はなかったと思う」と述べました。

 この「政策会議」。2009年9月18日付で、就任直後の小沢一郎幹事長(当時)が民主党全議員に配った「議員必携 政府・与党一元化における政策の決定について」というA4判2枚のペーパーで、党内議論・意思決定プロセスなしに、(おそらく)鳩山由紀夫代表・総理(当時)の了解もなく突然通告されたものです。

 小沢さんは、政策会議の企画者が自身だということには触れませんでしたが、政策会議が上手く行かなかったことを認めました。小沢氏が公の場で自らの非を認めることは極めて異例です。日に日に厳しくなる情勢のなかで、自身の政治生命に影響する可能性が出てきたことから、心が弱くなったのかもしれない、と私は感じました。

 できれば新進党を解党したことについて、この選挙戦で詫びてほしいですね。まあ、詫びても、私の判断は変わりませんが(このブログは菅さんの続投を応援しています)。

 なお、9時45分頃、菅さんは、参院選での消費税発言について、「言い方がまずかったかもしれません」と非を認めました。

 ◇

 ところで、話は変わりますが、政権公約を実現する会(鳩山グループ)の会長は大畠章宏さんです。日立製作所社員・労組出身で、日立市など茨城5区から出ています。

 菅直人内閣・直嶋正行経産大臣が8月24日、日立製作所の中西宏明社長らと一緒にベトナムのズン総理大臣と会い、日立などがつくる官民出資の「国際原子力開発株式会社」に原子炉を発注してください、とトップセールスをし、この返事を来月の日越首脳会談で受け取ることになっています。

 きょうは日曜日なので、大畠議員に直接確認をとれていないことをお詫びします。あくまでも、うわさ話・憶測であることをお含み置き下さい。確認済みの事実は大畠さんが小沢陣営の総決起集会に欠席したことだけです。大畠さんは7回連続で日立のはたらく仲間に支えられて、野党時代も保守王国・茨城県で民主党唯一のテッパン議席を守り続けてきました。しかし、与党になったのに、倒閣(小沢支持)に走り、原子炉トップセールスに失敗した場合、日立労組の仲間の働き場を奪うことになります。その場合は、重電各社・各労組が「もうきみには頼まない」と、第46回衆院選出馬が厳しい状況になることもありえます。しかもこの人、年齢からして、同期入社が一斉に定年退職を迎えているはずです。鳩山グループ(政見公約を実現する会)会長までが小沢陣営から離れることになるかもしれません。今週にはこの件の確認をめざしますが、現時点では未確定の情報です。

 それにしても、政権という重荷を背負うなかで、倒閣運動(小沢候補支援)に走る、というのは、これはちょっと吐き気がするほどのすさまじいものだな、という気がしてきます。自民党では、総理大臣が総裁選で負けた例が1回しかない、という理由がようやく分かってきました。

 なお、日教組、自治労が支持候補を集約できない状況になっているほか、情報労連が衆参とも菅さん支援に回ったようで、小沢さんが強いとされていた旧総評系が舵を取りだしたようです。

 ちょっとこのエントリーでは、小沢さんへの批判めいたことを書きましたが、この選挙戦で、私は小沢さんへのネガティブ・キャンペーンをしないことを宣言します。というか、その必要はない、というのが現時点での私の情勢分析です。もちろん手を抜いたら逆転されるかもしれません。小沢さんの政策については、物申すかもしれませんが、僕は早く「小沢卒業」をしたいので、前に進むうえで大事なことを書いていこうと思っています。