【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

鉢呂吉雄・国対委員長が就任会見「前大臣も筆頭理事に」「同期の桜も誠実に道拓く」

2010年09月17日 23時53分56秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議
[写真]国対委員長就任会見にのぞむ鉢呂吉雄さん(2010年9月17日夕、民主党本部、宮崎信行撮影)

 総理で民主党代表の菅直人さんから、ねじれ国会の国対委員長に指名され、9月17日の両院議員総会で承認された鉢呂吉雄さんが国対委員長就任会見にのぞみました。

 鉢呂さんは早めに到着し、岡田克也・新幹事長の記者会見を40分にわたって聞き入った後に、登壇。

 「きょう5年ぶりの国対委員長、そして野党から与党に代わって初めて国対委員長を拝命しました」として、「ねじれ国会では、政策や法案について、各党に誠心誠意、政権与党としての考え(を示し)、協議をさせていただく。『熟議』ということが言われているが、それだけで終わらせてはいけない。必ず合意を得る」と抱負を述べました。

 野党国対委員長としては「ガチンコ相撲の突破力」をモットーとしていたものの、ねじれ国会の与党国対委員長としては「ねばり強く成案を得る」との心境を強調しました。

 そのうえで、これは私が質問したんですが、衆参の常任委員・特別委員の配置は、秋の臨時国会前に転換して、慣らして、年明けの通常国会に臨むタイムスケジュールが慣例となっていますが、「ちょうどその時期だ」として、各議員の希望をとりまとめて第176臨時国会で配置換えをすることを明らかにしました。

 また内閣改造で、大臣も含めた政務三役経験者が党務に帰ってきます。

 鉢呂国対委員長は「政務三役(経験者)にも、党務のところで、国対で、筆頭理事ですとか、委員長ですとか、理事ですとか(やってもらう)。とりわけ臨時国会で実績をあげる(=法律を成立させる)ということになりますと、政治家一人一人がその(専門)分野で、衆院、参院あげて、野党のみなさんに法案の中身を訴え、結果としてのその成案化が求められています。(衆院での)3分の2条項も使えません。もちろんマニフェストの原則に基づいて私たちは制度、法案をつくっていきますけど、野党のみなさんにも説得して、結果としての実績(=法案成立)につながるよう、国会対策委員長としてリーダーシップをとっていきたい」として、「(前の)大臣、副大臣、政務官にも汗を掻いていただきたい」と述べました。

 また私は、鉢呂さんが1990年衆院初当選ということで同期当選組に、自民党の石原伸晃幹事長公明党の山口那津男代表(現在は参院議員)と井上義久幹事長のコンビ、さらには参院自民党の小坂憲次幹事長、そして党内でも岡田克也幹事長、仙谷由人官房長官ら同期当選組がいます。このネットワークをねじれ国会を前に進める車輪にするつもりはありますか?と問いました。

 鉢呂さんは「まあ建前からいけば答えにくいですが・・・そういう気心の知れた人も多くいます。単になれ合いとか水面下とか、そういうことに陥らないように注意しながら、私もそんなに付き合いのいい方ではありませんが、誠実に、誠意をもって、そういう風に道を拓いていきたいと思います」と述べました。

 55年体制では、自民党内閣は初めから社会党が法案修正するための「のりしろ」を付けて内閣提出法案を書いていた、しかも官僚が書いていた、というのが歴史の真実のようです。さらに料亭での接待の後には、ズッシリ重い紙袋がお土産に。官房報償費→自民党国対→社会党国対にオカネが流れていた、と証言している人もいます。

 それに比べれば鉢呂さんは「まあ建前からいけば答えにくいですが・・・」とのことでしたが、90年初当選つながりもドンドン活用して欲しいです。それはクリーンでオープンな政治でしょう。国会議員と官僚の接触が禁止されている英国では、国会開会中は夜ごとにロンドンで様々な「同窓会」が開かれ、それは半ば公然に認められていると聞きます。

 各委員会の理事も、「故郷が近い」「名前が似ている」「趣味が同じ」など、徹底的に活用して、それをクリーンでオープンにしながら、ねじれ国会を動かしていってもらいたいです。