[写真]民主党衆院議員の古本伸一郎さんと大串博志さん
【衆院本会議 2010年11月4日(木)】
「安定」への嫉妬からか、公務員叩きというのは昔からあるし、これからも続くでしょう。とはいえ、エリート官僚、キャリアがいなければ官邸や各府省は動きません。縁の下の力持ちのキャリア。それは国家公務員法をはじめどの法律にも「キャリア」という文字が見あたらないくらい陽の当たらない場所で働いているのに、それでも、きょうも深夜まで、ホントウに国益のために働いています。
ただ、1府12省もあると、濃淡はある。私が見て、財務省というのは1級官庁だと思う。とりわけ主計局です。ただし、主計局を独立させた省にしてしまうと、人事が回らなくなって、みんな体をこわしてしまうでしょう。3級官庁だなあ、感じたことがあるのは、今で言うところの、厚労省でしたが、長妻昭大臣とその政務三役のもと、この1年間、最優先である「消えた年金記録の修復」は進んだという実績は冷静に評価すべきでしょう。
とはいえ、これはすべて想像です。私は、官邸・各府省への入構証を持っていないし、そもそも体が1つですから、大臣会見のネット中継もほとんど見ていません。だから、新聞を読んだり、国会での答弁を聞いて、だいたい想像するのですが、それでも、どうなっているかはサッパリ分からないというのが本音です。実際のところ、与党議員の多くも知っているふりしますが、官邸のことなんかはまったく分かっていないというのが現実のようです。
政権政党になって1年間に政務三役を経験した人は、「大臣であろうが、副大臣であろうが、政務官であろうが、(現場で)汗をかいていただく」という鉢呂吉雄・国会対策委員長の9月17日の就任会見の通り、それぞれの省を担当する委員会の委員長・理事に配置されています。これは見事なまで。野党時代の専門とは違った省の大臣就任で、新聞に「手腕は未知数」と評された人も内閣で担当した省を所管する委員会の委員長をやっています。「本業に戻りたい」「新しい分野に取り組みたい」というのは国会対策では完全無視! それが菅改造内閣を支える第176臨時国会のシフトで、これは来年、おそらく半年以上になると予想される第177通常国会のチームになると思われます。
国の予算は、国債の発行・償還も含めて一般会計で補正後には100兆円をこえます。特別会計の政策的事業も含めると、百数十兆円というすさまじいお金を動かす“伝票を清書する仕事”で、財務省の政務三役が各府省の中でイチバンの重責なのは間違いないでしょう。
きょうの衆参本会議で、補正予算に関する代表質問があり、民主党からは大串博志さんが立ちました。そして、質問終了後に、財務金融委員長の石田勝之さんの報告があり、「保険業法改正案」が採決され、「異議なし」の全会一致で可決し、参院に送られました。石田委員長の報告では、委員会での修正案は大串博志さんら民主党、公明党、自民党の3党共同提出だと説明があり、さながら大串デーの本会議でした。
これが内閣提出法案、略して「閣法」としては、衆院通過第1号となりました。ハッキリ言って遅いのですが、とはいえ、第1号の閣法衆院通過でめでたい。さらによく出来ているのは、「口を出したらそれなりの責任も伴う」ので、「民主党・公明党・自民党が修正」していますので、参議院でも3党は賛成するでしょうから、可決・成立は確実です。そして、それを衆院で最初に仕上げたのが、財金委筆頭理事の古本伸一郎さんと理事の大串さんだというところに、政権の重責を知っている政府外議員の頼もしさを感じました。というのは、古本さんと大串さんは鳩山内閣発足から、菅内閣にかけての1年間、2人とも財務大臣政務官だったからです。大串さんが予算編成など歳出面、古本さんが税制改正など歳入面を担当していたのだと思います。なんせ省の中のことはあまり分かりませんが、とにかくそういうことだったはずです。
昨年9月の時点では、大臣が副大臣・政務官を選んだはずですので、藤井裕久・財務大臣が古本、大串両政務官を選んだのだと思います。野党時代から目をかけていたのでしょう。やはり財務省の政務三役に選ばれる人はしっかりしているんだな、と感じます。自民党側の筆頭理事がちょっと嫌みな人だと、よく言われる人なので、口先よりもむしろ、フットワークが実を結んだのでしょう。
古本さんは、党でも、政調会の税制改正プロジェクトチームの事務局長として、中野寛成・座長をサポートしています。前財務副大臣として、古本さんと与党として初めての税制改正を取り仕切った峰崎直樹さんは7月25日で参院議員の任期を満了し、内閣官房参与についています。11月1日付のメールマガジン「官邸お庭番日誌」では、民主党税制改正の目玉である租税特別措置(粗特)改革についての会合を見た印象として、「発言者も次から次への手を挙げて各業種別の要望項目について強い発言口調だったことが印象的だった。活発であることは良いのだが、業界の利益を前面に出しすぎるきらいもあり、これではまるで自民党時代の党税制調査会総会とほとんど変わりがない、とこぼす役員もいたことをも指摘しておきたい」としています。これは残念ですね。民主党議員の各議員室には、各種団体が税制改正要望書を届けるのですが、これをみると、「減税の特別措置の延長の要望」とかいうのが並んでいて、税制の抜本改革にはほど遠い。民主党税制の目玉ととして、ことしの4月1日から「租税特別措置透明化法」というのを施行していて、この1年間で、粗特がどのような効果を発揮しているのかの“伝票”を集める作業をしています。歳出削減が進む今の時代に、特定業界の減税特別措置の延長を声高に叫ぶ議員の下に、具体的に票や献金が集まるのでしょうか。そういう政府外議員には、「だったらその減税措置の代替財源はどこから持ってくるのか?」とたずねてみたいです。
税とはすなわち国家であり、政治そのものです。日本医師会の要望書の中に、ひとつ、「法人税率の引き下げ」という項目がありました。これを見ただけで、なぜ医師会の影響力が落ちているのか、なんとなく察した気がします。開業医だけでなく、勤務医はいろいろタイヘンですが、高収入ではありますから、勤務医のために「所得税・住民税の配偶者控除の存続」を訴えたらどうなんですかね。余計なお世話ですから。
とにもかくにも、古本さんと大串さんの「財務省政務三役帰り」の2人を見て、僕は「記者章で食堂に行ったり、橋本竜太郎首相の剣道の稽古の取材で入ったことのある大蔵省は、どうやら財務省になっても1級官庁のようだな」とうかがい知ることができました。参院財政金融委員会もがんばってください。
【衆院本会議 2010年11月4日(木)】
「安定」への嫉妬からか、公務員叩きというのは昔からあるし、これからも続くでしょう。とはいえ、エリート官僚、キャリアがいなければ官邸や各府省は動きません。縁の下の力持ちのキャリア。それは国家公務員法をはじめどの法律にも「キャリア」という文字が見あたらないくらい陽の当たらない場所で働いているのに、それでも、きょうも深夜まで、ホントウに国益のために働いています。
ただ、1府12省もあると、濃淡はある。私が見て、財務省というのは1級官庁だと思う。とりわけ主計局です。ただし、主計局を独立させた省にしてしまうと、人事が回らなくなって、みんな体をこわしてしまうでしょう。3級官庁だなあ、感じたことがあるのは、今で言うところの、厚労省でしたが、長妻昭大臣とその政務三役のもと、この1年間、最優先である「消えた年金記録の修復」は進んだという実績は冷静に評価すべきでしょう。
とはいえ、これはすべて想像です。私は、官邸・各府省への入構証を持っていないし、そもそも体が1つですから、大臣会見のネット中継もほとんど見ていません。だから、新聞を読んだり、国会での答弁を聞いて、だいたい想像するのですが、それでも、どうなっているかはサッパリ分からないというのが本音です。実際のところ、与党議員の多くも知っているふりしますが、官邸のことなんかはまったく分かっていないというのが現実のようです。
政権政党になって1年間に政務三役を経験した人は、「大臣であろうが、副大臣であろうが、政務官であろうが、(現場で)汗をかいていただく」という鉢呂吉雄・国会対策委員長の9月17日の就任会見の通り、それぞれの省を担当する委員会の委員長・理事に配置されています。これは見事なまで。野党時代の専門とは違った省の大臣就任で、新聞に「手腕は未知数」と評された人も内閣で担当した省を所管する委員会の委員長をやっています。「本業に戻りたい」「新しい分野に取り組みたい」というのは国会対策では完全無視! それが菅改造内閣を支える第176臨時国会のシフトで、これは来年、おそらく半年以上になると予想される第177通常国会のチームになると思われます。
国の予算は、国債の発行・償還も含めて一般会計で補正後には100兆円をこえます。特別会計の政策的事業も含めると、百数十兆円というすさまじいお金を動かす“伝票を清書する仕事”で、財務省の政務三役が各府省の中でイチバンの重責なのは間違いないでしょう。
きょうの衆参本会議で、補正予算に関する代表質問があり、民主党からは大串博志さんが立ちました。そして、質問終了後に、財務金融委員長の石田勝之さんの報告があり、「保険業法改正案」が採決され、「異議なし」の全会一致で可決し、参院に送られました。石田委員長の報告では、委員会での修正案は大串博志さんら民主党、公明党、自民党の3党共同提出だと説明があり、さながら大串デーの本会議でした。
これが内閣提出法案、略して「閣法」としては、衆院通過第1号となりました。ハッキリ言って遅いのですが、とはいえ、第1号の閣法衆院通過でめでたい。さらによく出来ているのは、「口を出したらそれなりの責任も伴う」ので、「民主党・公明党・自民党が修正」していますので、参議院でも3党は賛成するでしょうから、可決・成立は確実です。そして、それを衆院で最初に仕上げたのが、財金委筆頭理事の古本伸一郎さんと理事の大串さんだというところに、政権の重責を知っている政府外議員の頼もしさを感じました。というのは、古本さんと大串さんは鳩山内閣発足から、菅内閣にかけての1年間、2人とも財務大臣政務官だったからです。大串さんが予算編成など歳出面、古本さんが税制改正など歳入面を担当していたのだと思います。なんせ省の中のことはあまり分かりませんが、とにかくそういうことだったはずです。
昨年9月の時点では、大臣が副大臣・政務官を選んだはずですので、藤井裕久・財務大臣が古本、大串両政務官を選んだのだと思います。野党時代から目をかけていたのでしょう。やはり財務省の政務三役に選ばれる人はしっかりしているんだな、と感じます。自民党側の筆頭理事がちょっと嫌みな人だと、よく言われる人なので、口先よりもむしろ、フットワークが実を結んだのでしょう。
古本さんは、党でも、政調会の税制改正プロジェクトチームの事務局長として、中野寛成・座長をサポートしています。前財務副大臣として、古本さんと与党として初めての税制改正を取り仕切った峰崎直樹さんは7月25日で参院議員の任期を満了し、内閣官房参与についています。11月1日付のメールマガジン「官邸お庭番日誌」では、民主党税制改正の目玉である租税特別措置(粗特)改革についての会合を見た印象として、「発言者も次から次への手を挙げて各業種別の要望項目について強い発言口調だったことが印象的だった。活発であることは良いのだが、業界の利益を前面に出しすぎるきらいもあり、これではまるで自民党時代の党税制調査会総会とほとんど変わりがない、とこぼす役員もいたことをも指摘しておきたい」としています。これは残念ですね。民主党議員の各議員室には、各種団体が税制改正要望書を届けるのですが、これをみると、「減税の特別措置の延長の要望」とかいうのが並んでいて、税制の抜本改革にはほど遠い。民主党税制の目玉ととして、ことしの4月1日から「租税特別措置透明化法」というのを施行していて、この1年間で、粗特がどのような効果を発揮しているのかの“伝票”を集める作業をしています。歳出削減が進む今の時代に、特定業界の減税特別措置の延長を声高に叫ぶ議員の下に、具体的に票や献金が集まるのでしょうか。そういう政府外議員には、「だったらその減税措置の代替財源はどこから持ってくるのか?」とたずねてみたいです。
税とはすなわち国家であり、政治そのものです。日本医師会の要望書の中に、ひとつ、「法人税率の引き下げ」という項目がありました。これを見ただけで、なぜ医師会の影響力が落ちているのか、なんとなく察した気がします。開業医だけでなく、勤務医はいろいろタイヘンですが、高収入ではありますから、勤務医のために「所得税・住民税の配偶者控除の存続」を訴えたらどうなんですかね。余計なお世話ですから。
とにもかくにも、古本さんと大串さんの「財務省政務三役帰り」の2人を見て、僕は「記者章で食堂に行ったり、橋本竜太郎首相の剣道の稽古の取材で入ったことのある大蔵省は、どうやら財務省になっても1級官庁のようだな」とうかがい知ることができました。参院財政金融委員会もがんばってください。