【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

岡田さん、小沢氏の12月新党封じ込めへ

2010年12月08日 07時36分21秒 | 岡田克也、旅の途中

[写真]小沢一郎氏と民主党の岡田克也幹事長

 来年の通常国会に向けて、衆院での3分の2(社民党、民主党、国民新党、与党系無所属)固めを急ぐ岡田克也幹事長は、政党助成法上の基準となる12月末までの「小沢新党」(5人以上)を封じ込めるために、政治倫理審査会の委員申し立てに舵を切りました。

 きょう12月8日(水)は、衆院農林水産委員会で「閉会中審査」がありますが、政倫審も年内に「閉会中審査」で、1年の垢を洗い落として新年を迎えたい構図を描いています。

 政倫審は、民主党、自民党、公明党から幹事(理事)が出ており、委員は民主党、自民党のみ。3分の1以上の議決で招致でき、質問にはオブザーバーとして社民党なども質問できます。田中眞紀子衆院議員のときは、テレビ生中継がありました。

 政倫審会長は、政治団体「国のかたち研究会」(通称・菅グループ)会長の土肥隆一衆院議員。土肥さんは第39回衆院選初当選の、いわゆる岡田世代で、昨年5月の代表選後の打ち上げで、岡田さんを支える会「95の会」の結成を呼びかけましたが、小選挙区制における政党政治の先行きを見すえた岡田さんは、同級生にやさしく「ノー」と伝えています。

 岡田幹事長は、緊急役員会で、参院民主党の輿石東会長らが反対しても、衆院側の幹部だけで、土肥会長ら、衆院政倫審のメンバーに委員申し立て促す腹案を持っているもよう。

 小沢系政治団体の「一新会」「北辰会」の出席者が少なく、初会合で50人以上が出席した「北辰会」も実際のメンバーは15人前後との見通しが有力。しかし、衆参5人以上で新党を立ち上げられることから、選挙区を持たない比例単独議員「いちもく会」から5人程度の参加は可能なため、封じ込めを急ぎたい意向です。岡田さんはいちもく会員の中で、第46回選挙区出馬をめざして活動している数人を近く総支部長として内定したい考えがあり、その前提として、社民党・国民新党・(あるいは公明党?)の党本部・地域組織のリサーチに取り組む方針。また高年齢者については、立候補意思があるかどうか、いちもく会員から起用している幹事長補佐に情報の集約を依頼した、とされています。

 菅直人代表(首相)が衆院での3分の2の確保を優先する方向に舵を取ったことで、参院を抑える輿石氏は、臨時党役員会で抵抗した場合、参院民主党内の求心力が低下するのは必至。また、政倫審出席を拒んだ場合の小沢一郎氏の求心力低下も必至で、新党立ち上げが厳しくなる情勢。

 11月末に公開された政治資金収支報告書で、陸山会の2009年から2010年への繰越金がわずか3229万円にまで減少したことも、岡田幹事長は把握しているんだと思います。

 民主党秘書会では、平成5年(1993年)の政党助成法成立以来、毎年12月というと、師走というよりも、党分裂の恐怖月間というトラウマがあります。1997年の新進党解党を頂点とし、私も何度も一緒にため息をつきました。一緒のため息が、何人もの閣僚級ベテラン公設秘書との連帯感につながっているのですが、やはり日本国民にとっては不幸でした。12月ですから、職業政治家である小沢一郎さんを国民が監視しきれなかった面は否めず、日本の凋落につながりました。

 国会での厳然たる数字による政治が、デモクラシーです。議席数は、マニフェストよりも、予算よりも、政策よりも、人柄よりも、優先します。その冷たさが担保されて初めて、政治を国民に取り戻す、優しい政治が可能になります。

 衆議院では1議席も失いたくありません。衆院で3分の2があれば、すべての議案を衆院で再可決できるようになります。

 国民による政治のコントロールと、衆院3分の2確保による2011年政治の安定のために、これはもう民主党支持者だけじゃない、自民党さんにも協力してほしい、日本の安定のために、国民全員で岡田克也の背中を押して、何が何でも、小沢新党を封じ込めましょう。

茨城県議選「大惨敗、地方が火を噴く」…小沢氏 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 民主党の小沢一郎元代表は7日夜、都内の中国料理店で、同党の松原仁、牧義夫両衆院議員ら小沢グループの中堅議員7人と会食した。

 出席者によると、小沢氏は12日投開票の茨城県議選に関し、「民主党政権にとって勝負所だが、大惨敗すると思う。そうなれば地方が火を噴く」と述べ、菅政権は早晩立ちゆかなくなるとの見方を披露した。自身が強制起訴されることを踏まえ、「今は自分は動けないから、中堅の君たちが考えて動いてほしい。いよいよ非常時になったら、自分は日本のために何でもする」とも語ったという。

 これに対し、出席者の一人は席上、小沢氏に「今は政権を支える立場にある。『反菅』のような動きはできない」と述べ、同調はできないとの考えを示した。

(2010年12月7日22時52分  読売新聞)