渡辺恒雄あとつぎ宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

平成27年度自民党税制改正大綱決定、第189通常国会に年次税制改正法案 消費税先送り、法人税下げ

2014年12月30日 19時14分37秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

 与党・自民党は平成27年度(2015年度)税制改正大綱を、2014年12月30日(火)決定しました。
自民党平成27年度(2015年度)税制改正大綱(PDF)

 財務省と総務省は平成27年度税制改正大綱を受けて、法律案を作成し、平成27年度国税改正法案と平成27年度地方税改正法案を作成。第189回通常国会に提出し、おのおの、衆議院財務金融委員会と、衆議院総務委員会で審査。衆議院通過は、基本的には平成27年度本予算案と同時ですが、震災以降、野党・自民党の抵抗で崩れてきています。ただ、年度内に成立することは間違いないと思われます。25年度の国税改正法案は、事前に民主党の松本剛明税制調査会長が協議して、民主党の検討事項を附則に入れて、閣法として提出されました。26年度は閣法に対して、松本税調会長が、衆・財金委の最終局面で、2本の修正案を提出し、否決されました。27年度の対応は、古川元久・税調会長に任されます。

 いまさら感はありますが、27大綱の最大のポイントは、消費税増税の先送りです。

 大綱には、「平成 27 年 10 月に予定していた消費税率 10%への引上げ時期は平成 29 年4月とする。社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの信認を高めるために財政健全化を着実に進める姿勢を示す観点から、平成 29 年4月の引上げについては、「景気判断条項」を付さずに確実に実施する」と書き込まれました。

 大綱は「
消費税の軽減税率制度については、関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率 10%時に導入する」としました。

 実は、この表現は依然とまったく違っていませんね。ただ「軽減税率」と表現しました。2012年6月の社会保障と税の一体改革3党合意では「複数税率」を書かれています。民主党は2014マニフェストでも引き続き、「複数税率」という表現を使い続けており、3党合意を破棄されながらも、その理念は民主党が守り続けています。


 民主党は野党時代の2007税制改正大綱で「公平・透明・納得の税制」をうたっています。自民党の2015大綱は逆です。

 例えば、次のくだり。

 「
6 狩猟税の見直し(地方税)(1)狩猟税について、次の措置を平成 31 年3月 31 日まで講ずる。① 鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律に規定する対象鳥獣捕獲員が受ける狩猟者の登録に係る狩猟税を非課税とする。

だったら、狩猟税を廃止すればいいのです。

 このように、租税特別措置あらため「マル政」政策減税をちりばめて、ますます複雑怪奇で、政治力のある業界が儲かる税制にしていくのが、自民党平成27年度大綱です。民主党への政権交代後に直し甲斐があるというものでしょう。

 遅きに失したとはいえ、国税と地方税の寄木細工である税制改正で次の下りは評価できます。

 「
たばこ税の見直し(国税・地方税)(1)旧3級品の製造たばこに係る国及び地方のたばこ税の特例税率を廃止する。

 旧3級品のたばこの特例税率、って理解できているのって、国税庁職員5万人のうち何人いるんでしょうか。総務省自治税務局にそらんじられる人が何人いるんでしょうか?そのような国税庁や、自治税務局も分からないような複雑な税制は、議会制民主政治の敵であります。速やかに廃すべし。

 一方、法人税率の引き下げについて。これは各国間の相対的な競争になっていますから、やむを得ない面もあります。賃上げ減税ができました。1年遅いと思いますが、今回は、地方税である法人事業税の均等割部分、すなわち外形標準課税で、減税されることになりました。これも透明性かの観点から納得できるものではありません。それ以前に、一連の税制改正の報道は一生懸命頑張っていると思いますが、「法人税の外形標準課税」という表現。これは、「法人関係税である地方税の法人事業税の外形標準課税」でしょう。法人税は国税ですよ。そして、外形的な資本金によって税率が変わりますが、それを外形標準課税とは言わないでしょう。このような税に対する知識を広く国民が身につけてほしいものです。

それから、繰越欠損金控除の圧縮について。繰越欠損金を全額永久控除にしているのは、どうやらイギリスだけのようです。会計学上は、繰越欠損金は全額永久に控除すべきだと考

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