[画像]吉野家のプレスリリースの一部をスクリーンショット。
株式会社吉野家は、基幹店の牛丼の「吉野家」 (よしのや)の主力商品で最低価格帯の「牛丼 並盛」を300円(消費税込み)から380円に値上げすると発表しました。9日発表で、17日午後3時実施。同社は、アメリカの干ばつによる出荷減と、アジア市場での需要増を理由としています。
アベノミクス第1次の矢、異次元の金融緩和により、「2年間でマネーストックを2倍」にするという、円を薄める、円の価値を下げる政策が続いています。
そのため、ドルを不換紙幣にした、ニクソンショックから40年で、円の実質実効為替レートは、もっとも安く、価値が低くなりました。
7日付日経新聞によると、ニクソンショック後の1973年1月は1ドル300円ほどで、実質実効為替レートは70円と計算。
「実質」とは、デフレを反映した、つまり物価を反映した「購買力平価」を換算したものだというおおまかな理解でいいかと思います。
「実効」とは、日本円を刷った枚数と、アメリカドルを刷った枚数の違いを反映したという考え方で大枠はいいと思います。
1985年のプラザ合意では、1ドル280円から150円まで急伸。この間の実効実質為替レート1ドル80円から120円近くまでやや価値を下げました。
1995年には、1ドル80円となりましたが、実効実質為替レートでは150円にまで価値を下げました。
その後1997年の、山一・拓銀ショック、アジア通貨危機に加えて、政治面では新進党解党による政権交代ある政治が遠のいたことで、実効実質為替レートは下がり続け、1ドル300円ほどに。
ニクソンショック直後の表面的な価格、1ドル=300円と同じく、現在の実効実質為替レートは1ドル300円となり、もっとも低く、ニクソンショック直後の実力しかなくなったことになります。
この間、アメリカ財務省、アメリカの中央銀行(Fed)はお札を多く刷ってきており、世界の石油取引をドル建てにし、アメリカ1国のみならず、国際基軸通貨として、湾岸戦争、イラク戦争をするなどして、ドルの価値を保ってきました。これに対して日本銀行はなるべくお札を刷らないようにして円の価値を高め、リーマンショック、東日本大震災でも円決済の健全性を確保し続けました。また、アジア各国通過が力をつけてきたことも、アジア内での相対的な地位低下をはらむことになりました。
しかし、2013年4月に就任した黒田東彦総裁が、「異次元の金融緩和」に踏み切り、国債の購入・株(ETFを通じた格好)の購入の代わりに、お札を大量に市場に投入しており、きわめて危険な状態になっています。
このため、円の価値は急落していますが、この方法ですと、一度刷り過ぎた円を吸収するオペレーションは難しく、この後も実質実効為替レートが大幅に改善する方法はないと考えられます。 また、来年にはアメリカが利上げに踏み切ることが手順としてプログラムされており、来年は、円安がさらに進むとの見方が一般的です。
円安による物価高は、実際の市場レートよりも遅れて国内市場に反映されますが、吉野屋は来週に2割以上値上げするというスピーディーな対応に出ました。業界内の優位性が高いから可能な対応と考えられます。