宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

18日(金)の安保法成立を阻止! 第189回通常国会大詰め、衆参で牛タン戦術などの死闘続く

2015年09月18日 23時29分21秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[画像]安保法案成立阻止のため、「憲法クイズ」を引用しながら迫真の演説をする、小西洋之さん、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

【平成27年2015年9月18日(金) 参議院本会議】

 午前0時10分開議。

 中谷元防衛大臣問責決議案が議題になりました。ここで、自民党から「趣旨説明・討論・投票を10分以内に制限する動議」が提出されました。民主党が「記名投票表決を求める動議」を出したため、記名投票採決され、可決しました。

  続いて、本題。自民党の討論に立った江島潔さんが「自衛隊統合幕僚監部の文書を共産党が違法に入手した」「蓮舫代表代行ら民主党は人のことを言う前に、みずからを反省すべし」とし、共産党の仁比聡平さんらの抗議で場内が騒然としました。

 採決され、投票総数232、賛成89、反対143で、中谷大臣問責決議案は否決されました。午前2時2分に休憩しました。

 午前10時再開。山崎正昭議長不信任決議案が提出されました。これも10分以内に制限されました。趣旨説明で足立信也さんは「定数是正の参院選挙制度改革でリーダーシップを発揮しなかった」とも批判しました。討論で徳永エリさんは「安保法案の衆参の参考人・公述人に女性がゼロだったので、各党の女性の会で鉢巻をして山崎議長を探したが所在が分からず、鴻池特別委員長は要望書をていねいに読んでくれた」とし「女性の壁などと報じられたのは残念だ」としました。共産党の井上哲士さんは「地方公聴会の派遣報告を委員会でしなかったのは参議院史上初だ。議長の名前で出席依頼を出しており、議長にも責任がある」としました。投票総数224、賛成76、反対148で否決。午前11時24分ごろ、休憩になりました。

 安倍晋三首相が入室して、午後1時再開。郡司彰さんから「内閣総理大臣安倍晋三君問責決議案」が提出されました。郡司彰民主党参議院議員会長は「この夏から、安保法制反対との思いに駆られ、戦争を経験した世代、若者、学生、母親、学者が行動している」とし、「安倍総理はそのなかに入って説明したのか」と問いました。午後2時43分、投票総数233、賛成89、反対144で否決されました。休憩。 

 午後8時31分再開。

 ここで、公報通り、安保2法案(189閣法72号、73号)が議題として宣言されました。

 民主党はすかさず「鴻池特別委員長問責決議案」を提出。自民党が「趣旨説明は25分間、討論は15分間に制限する動議」を提出し、堂々めぐりで可決。

 小西洋之さんが登壇し、「憲法クイズ」の議事録を読む、迫真の演説を55分間繰り広げました。

 討論。

 午後11時2分に開票し、問責決議案は否決されました。

 ここで山崎議長は「延会」を宣言。

 これにより、18日(金)中の可決・成立は阻止されました。 

【同日 衆議院本会議】

 設定は午前1時。



 午後4時32分、15時間半遅れで、開議。

 動議が出て、安倍内閣不信任決議案(189衆決議 号)が議題になりました。

 枝野幸男さんが趣旨弁明。

 討論は、自民党の棚橋泰文さん。

 次に、民主党の岡田克也代表。岡田さんにとっては、2005年8月8日の郵政解散で奪われた、内閣不信任決議案の演説の雪辱を果たしました。これについては別エントリーを投稿します。

 公明党の赤羽一嘉さんの鬼気迫る討論には、世の無情を思わざるを得ませんでした。

 維新の党の松野頼久代表は、初当選以来続けてきた、「ストップウォッチではかりながら演説する」ことをしなかったように見えました。

 共産党の志位和夫委員長も討論。堂々めぐりの結果、投票総数464、賛成139、反対325で、安倍内閣不信任決議案は否決されました。

 これにより、第189回通常国会の衆議院は事実上閉幕しました。

 大島議長は午後9時台に本会議を再開し、「あす午前1時00分」に設定し、延会しました。60日ルール3分の2条項で、参議院自民党をけん制するねらいと思われます。

【同日 法律公布】

 終盤国会ということもあり、4法律が公布されました。

 「農林水産省の独立行政法人改革法」は平成27年9月18日法律70号として公布。議案番号189閣法32号として共反対、自公民維賛成多数で成立しました。10月1日(木)施行。

 「PFI法改正法」は平成27年9月18日法律71号。3か月以内に施行。成立直後に、仙台空港の運営者に東急が決まったと報じられました。議案番号は189閣法55号でした。

 「青少年雇用促進法」は平成27年9月18日法律72号。報道で「ブラック企業規制法」ともされますが、ハローワークでの対応にとどまる法律であり、抜本的なブラック企業対策にはさらなる法的措置、運用が必要です。10月1日(木)施行。参議院先議で、全会一致で可決しました。

 「労働者派遣法を改定する法律」が平成27年9月18日法律73号として公布されました。9月30日(水)施行。無念です。

 ◇

 最後に、2013年3月の「憲法クイズ」についてまとめたエントリーを再掲します。ただし、私がこれを書いたのはことしになってから。自らの不明を恥じ入るというよりも、安保法が万が一成立するようなことがあっても、前を向いていける。そんな思いがしています。諦める人間はすべて失敗しますから。

[当ブログ内エントリーから全文引用]

小西洋之「クーデターでおそるべきことが日本社会で起きていることを国民に知ってもらいたい」その通りだ!

2015年03月20日 18時55分17秒 | 第189回通常国会2015年1月

 きのうは平日にしては珍しく、アクセス4000PV、1000IP(UU)を割ってしまい、どうしたことだろうと思います。年度末というよりか、参議院で予算、衆議院で予算関連がダブルトラックで審査される異例の事態で忙しい方が多いのでしょう。ただ、税制改正法案がいつ成立するか、ということに興味がおありの方は多いようで、他の予算関連日切れ法案もしっかりとおさえていきたいと考えます。きょうは委員長提案を含めて7つの日切れ法案(うち6つは3月31日までの時限立法を延長する法案)が衆・委員会で可決しました。これで日切れ法案は30本を超えましたが、よく見ると変なものも含まれているように思います。この点は、下で詳述します。

【平成27年2015年3月20日(金)参議院予算委員会】

 昨日の散会時には委員長が「あすは午前10時から」と宣言しましたが、その後、集中審議になったようで、午前9時からテレビ入りで開かれました。

 集中審議1日目の外交・安保など。

 小西洋之さんが憲法と集団的自衛権行使の閣議決定について迫りました。

 それに先立ち、2年前、2013年3月29日(金)の参議院予算委員会。

 世に言う「憲法クイズ」とされる、小西・安倍問答は、現在も動画などが出回っていますが、極めて歴史的な重要な問答でした。実はこの日は、野党・民主党としては結党以来初めて予算が年度内成立しないことが確定した日で、正直、そこまで気が回っておらず、私も国会傍聴記で記事にしていませんでした。

 この中で、安倍首相が「芦部信喜」という人物を知らないというのは驚きです。日本国憲法の判例、解釈、学説を整理してきたのは芦部東大教授です。日本国憲法論の教授が、ハーバードやソウル大学にいるわけがなく、東京大学の教授がそのスタンダートになるのは、人物の能力や歴史的な経緯もあるでしょうが、現実的に我が国の秩序において、妥当なところです。

 さらに改めて、議事録を見ると、とくに重要な点は次の点でした。

[引用はじめ、ハイライト・色付けは筆者]

小西洋之君 今、後ろから優先順位は決められないというやじがありましたけれども、憲法が基本的に分かっていない方。多分、谷垣前総裁はお分かりでしょう。実は、理論的には分かるんです。

 じゃ、そのことを今から解き明かしてまいります。では、じゃ具体的な話、総理、憲法において包括的な人権保障、包括的な人権規定と言われる条文は何条ですか。安倍総理、どうぞ答えてください。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今そういうクイズのような質問をされても、暫定予算を議論をしているわけでありますから、余り生産性はないんじゃないですか。それだったら、そういうのを聞くんだったら、私に聞かなくても調べればいいじゃないですか。

○小西洋之君 私は知っています。今総理が答えられなかったことは、大学で憲法学を学ぶ学生が一学期でみんな知っていることですよ。
 重ねて聞きます。総理、総理は、日本国憲法において包括的な人権保障を定めた条文、何条か知らないという理解でよろしいですか。どうぞ。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、済みませんけど、大学の講義ではないんですよ。国会で大切な暫定予算の議論をしているんですよ。こんなやり取りが生産的ですか。

○小西洋之君 暫定予算の質問にふさわしくないと言いましたけれども、憲法の中で最も大切な条文の位置付け、またその内容を知らずに予算を編成し執行すること自体が内閣として失格なんですよ。
 まあ、そのことおきます。じゃ、今総理は人権の包括規定を知らないということをこの国権の最高機関の委員会の議事録に付させていただきました。
 では、聞きます。総理、個人の尊厳の尊重、個人の尊厳の尊重を包括的かつ総合的に定めた条文は何条ですか、憲法、日本国憲法何条ですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、余り人を指さすのはやめた方がいいですよ。これは人としてのまず初歩ですから。そのことは申し上げておきたいと思います。

○小西洋之君 指さすのは、やむにやまれぬ、国民のためにやむにやまれぬとき以外はしません
 では、今、私が問うた質問。個人の尊厳の尊重を包括的に定めた総括的な規定は何条ですか、憲法第何条ですか。

○委員長(石井一君) 麻生財務大臣。(発言する者あり)

○国務大臣(麻生太郎君) 今、今言われましたから出てきて……(発言する者あり)ありがとうございました。御指摘をいただきました。もう少しゆっくり出るようにいたします。
 もう一回御質問ください。

○小西洋之君 憲法、日本国憲法において個人の尊厳の尊重を包括的に定めた条文は何条ですか。総理、総理、総理に問うています。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) それをいきなり聞かれても、今お答えできません。
 それと……(発言する者あり)その、すごいとかいうことではなくて、こんな相手がすぐ答えられないことを今ここで質問して、まるで自分の方が優越に立っているような、そういう子供っぽいことはやめましょうよ。

○小西洋之君 私の質問が、仮に日本国憲法が五十条、五十一条、五十二条、五十七条まで何を決めていますかと聞かれれば、私も残念ながら明確には答えられません。後ろから今官房長官が助けに入りましたね。
 私は、聞いているのは、じゃ総理、カンニングしないで。憲法において、あなたは今、包括的な人権を定めた条文を知りませんでした。では、幸福追求権を定めた条文は憲法第何条ですか。幸福追求権を定めた条文は憲法第何条ですか。どうぞ。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) それ、こういうやり取りは、私、何の意味があるか分かりませんよ。じゃ、これを決めた、憲法九十三条、九十一条は何だとか、そういう、何の意味があるのか分かりませんけどね。これ、やるんだったら大学の憲法学の講義でやってくださいよ。

○小西洋之君 この条文は、私が問うている条文、じゃ、今議事録として、総理は幸福追求権を定めた条文を知らなかったということを私は付させていただきます。
 総理、今総理が答えられなかった条文は、総理が声高に言っている普遍的価値の実現あるいは法の支配の実現、その中枢を成すものです。また、日本国憲法が何のためにあるのか、日本国憲法の下で立法府、行政、司法が何のためにあるのか、全てそこに行き着く究極の条文なんですよ。憲法第十三条ですよ。憲法第十三条を知らない。憲法五十条から五十七条までの条文が分からなくても、具体的、個別に言えなくても、憲法十三条が分からないというのは、これは驚愕の事実ですよ、総理。あきれます

[引用終わり]

 憲法クイズ(小西・安倍問答)に出てきた、日本国憲法第13条「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由および幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」。

 『芦部憲法』は、これについて、もともとは、14条以下に列挙した個別の人権を尊重したものだ、という趣旨の説明をしています。

 憲法29条には「財産権は、これを侵してはならない。財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める(以下略)」とされています。

 これを憲法クイズから1年4カ月後の、閣議決定と見比べると見えてくることがあります。閣議決定の新自衛権発動の3要件(武力行使の3要件)の中に「国民の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」は武力が行使できる。ということは、7月14日の岡田・安倍問答で出てきた安倍総理の「例えば、ホルムズ海峡を八割の原油が通って日本にやってくるわけでありますから、これを掃海することができないわけでありますが」 、武力行使(機雷掃海)ができるという解釈改憲は、13条(幸福追求の権利)が包括的基本権だから、29条の「財産権は、これを侵してはならない」との規定から、自衛隊をホルムズ海峡に派遣して、武力行使(機雷掃海)ができる、「法律でこれを定める」ことになるわけです。これがこの2年間の解釈改憲の流れです。

 貧すれば鈍する、というわけで法学部卒でもこのことに気づいていない人が多いようです。「戦争立法」については多くの人が懸念しているのに、具体的な行動が出てこないのも、理論武装ができず足がすくんでいる人が多いのでしょう。

 そこで、小西さんは、安倍さんにもわかるように、小学校6年生の教科書をパネルにしました。



 そして、今回の解釈改憲を「安倍内閣によるクーデターである」とし、「おそるべきことが日本社会で起きている。それを国民に知ってもらいたい」とテレビ越しに訴えました。

 この日、自民党と公明党は安保法制の再整備の全体像の骨格を決定しました。この後法文化作業に入り、第18回統一地方選終了後に与党に示される見通しです。
 
 これについて、民主党の岡田克也代表は、次の談話を発表して、記者会見にのぞみました。

[民主党ウェブサイトから全文引用はじめ]

【談話】与党共同文書「安全保障法整備の具体的な方向性」について

2015年03月20日

 岡田克也代表は20日、与党共同文書「安全保障法整備の具体的な方向性」について、談話を発表した。

民主党代表 岡田 克也
 自民党・公明党は、今日、昨年7月1日の閣議決定を受けての、「安全保障法整備の具体的な方向性」に実質合意した。与党の間だけで、不透明な形で検討が行われたことは国民不在の議論と言わざるを得ず、またその内容も極めて問題の多いものである。そもそも、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更を閣議決定したことについて、立憲主義を無視したものとして私たちはこれまでも厳しく抗議し、撤回を求めてきた。今回の与党合意はこの閣議決定を踏襲したものであり、断じて容認できるものではない。
 戦後、平和憲法のもと我が国が採ってきた海外で武力行使を行わないという原則を、安倍政権は、積極的平和主義の名のもとに大きく変えようとしている。戦後70年目に安全保障政策の大転換を行おうとしているにもかかわらず、このことについて、国民の十分な理解や合意もないまま、前のめりで進めようとしていることに、大いに危惧を感じざるを得ない。
 さらに、例えば具体的には、①PKO法を改正し、幅広い任務遂行のための武器使用を前提とした治安維持任務を認めようとしていること、②他国軍支援について、恒久法の必要性、どのような場合に後方支援を認めようとしているのかが明確でなく、さらに、いわゆる「武力行使との一体化論」について「現に戦闘行為が行われていない現場」という極めて問題の多い概念を用いようとしていること、③周辺事態法において、「周辺」の概念をなくすとともに、米軍以外の他国軍隊への支援も可能としようとしていることなど、日米安保条約の効果的な運用に寄与するという本来の法目的を大きく逸脱していること、④集団的自衛権について、そもそもその必要性について政府から十分な説明がないばかりか、新3要件そのものが曖昧で、具体的な歯止めになっていないこと、⑤集団安全保障措置への参加について、累次の国会答弁においてその可能性を否定していないにもかかわらず、与党共同文書の中で何ら説明がないことなど、総じて見て、「切れ目のない」安全保障法制という名の下に、「歯止めのない」自衛隊の海外での活動に拡大につながるのではないかとの、懸念を感じざるを得ない論点がある。
 我が国を取り巻く諸情勢の変化を踏まえ、我が国の領土、領海、国民の生命及び財産を守るという観点や国際的な責務を果たすという視点から新たな要請の有無を不断に検討し、必要な対応を取る必要がある。しかし、そのような取り組みも、平和主義を基本理念とする憲法のもと、適切な民主的統制と明確な歯止めの中で行われるべきであり、今回の自民党・公明党の合意内容のような、曖昧なものであってはならない。国民の十分な理解を得た上で、かつ慎重な国会での議論を経て進められるべきものであり、一会期の国会における拙速な議論でこれを行おうとすることは、国民軽視、国会軽視の議論である。
 民主党は、喫緊の課題に対応するための領域警備法の制定など現実的な対応を行う観点を含め、上に述べたような具体的な論点について、党の安全保障総合調査会において議論を深めていく。また、安全保障政策にかかる歴史的な大転換の是非について、国会における国民をまきこんだオープンかつ徹底的な議論を与党に対して要求していく。

[全文引用おわり]

【同日 衆議院法務委員会】

 上と同調している部分。

 山尾志桜里筆頭理事が大臣所信に対する質疑にのぞみました。

 この中で、憲法13条について、自民党改憲草案13条を批判。上川法相は「法務大臣として申し上げるべきではない」と応じました。

 続いて、現行憲法の13条後段「公共の福祉」について質問したところ、上川法相が答えられず。委員長がなだめようとしましたが、山尾さんは「基本的な質問ですから答弁を求めます」とピシャリ。そのうえで、山尾さんは「人権は個の積み上げであり、戦争の反省で、理性の積み上げでここまで気づいてきたものだ」と語り、上川法相も応じ、山尾さんは「その考えは共有できた」としました。このほか、黒岩宇洋さん、鈴木貴子さんらも質疑しました。

 委員会は、「東日本大震災被害者のための法テラス特別措置法の3年延長法案」(189衆法 号)を起草し、全会一致で可決しました。3年間延長して、平成30年3月31日まで。他の日切れ法案は審議入りを持ち越しました。

【同日 衆議院災害対策に関する特別委員会】

 「地震防災対策のための財政特別措置法の5年延長法案」(189衆法 号)を起草し、全会一致で可決しました。次の本会議で可決し、参議院へ送られる運び。

【同日 衆議院国土交通委員会】

 「半島振興法の一部を改正して10年間延長する法律案」(189衆法 号)を委員長が起草し、全会一致で可決しました。ただこの法案「地域公共交通への財政支援」が入っているので、日切れ法案の旧鉄建公団が地域交通に融資できる官民ファンドを先取りしているように思えますが、質疑は省略されました。他の日切れ法案は審議入りしませんでした。

【同日 衆議院沖縄および北方問題に関する特別委員会】

 「沖縄県における駐留軍用地跡地特別措置法改正案」(189閣法9号)は2日目の質疑が行われ、採決。全会一致で可決しました。

【同日 参議院沖縄および北方問題に関する特別委員会】 

 岸田外相、山口北方・沖縄相が所信表明。衆参とも民主党の委員長(古川元久さん、風間直樹さん)なので、スムーズに議事が運びそうな気配です。

【同日 衆議院総務委員会】

 「高度テレビジョン放送施設臨時措置法を廃止する法律案」(189閣法10号)の審査をし、賛成多数で可決しました。3月31日で法律を廃止する法案ですので、必ずしも31日に間に合わせることもないのでしょうが、昨年の臨時国会では法案が一本もかからなかった総務委員らがていねいに審査しました。おなじく日切れのはずの、NHK予算案は未提出。 

【同日 衆議院厚生労働委員会】

 「戦没者等の遺族に対する特別慰霊金支給法改正案」(189閣法22号)が審査れました。採決では、維新の党の「(石原慎太郎議員は)出て行け!」で名をはせた浦野靖人さんが修正案を提出。相続への配慮を求めた修正案だったようですが否決。その後の政府原案採決では、維新も含めた全会一致で可決しました。戦後70年を迎えて、ご遺族に国債をさしあげる法案。

【同日 衆議院経済産業委員会】

 大臣所信に対する質疑の後、「北朝鮮経済制裁の継続の承認の件」(189承認1号)が宮澤洋一経産相から趣旨説明され、質疑は来週水曜日に持ち越して散会しました。

【同日 衆議院文部科学委員会】

 理事に郡和子さん、牧義夫さんらが就任。この後、国政調査承認要求だけで散会しました。ここは日切れ法案が合計3本、「五輪相の新設」などがかかっているはずですが、おそらく、下村博文大臣の「博友会」問題に関する説明責任などが理事会で協議されているのではないか、と考えられます。


[当ブログ内エントリーからの全文引用おわり]

このエントリー記事の本文は以上です。

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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岡田克也さんが安倍内閣不信任決議案で演説 10年前の雪辱、5党まとめ上げた第189回通常国会

2015年09月18日 23時23分58秒 | 岡田克也、旅の途中

 民主党代表の岡田克也さんは平成27年2015年9月18日(金)の衆議院本会議に登壇。

 民主党、維新の党、日本共産党、生活の党と山本太郎となかまたち、社会民主党の合計5党をまとめあげて提出した

 「安倍内閣不信任決議案」について、枝野幸男幹事長の1時間50分にわたる趣旨弁明に続いて、賛成の立場から討論しました。

 岡田さんは、平成17年2005年8月8日午後7時過ぎの衆議院本会議で、小泉内閣不信任決議案が議事進行係から緊急上程され、議題になりました。閣僚全員がひな壇に上がり、NHK生中継中に衆議院解散詔書が朗読され、趣旨弁明の機会を奪われました。10年ぶりの雪辱となりました。平成21年2009年7月中旬の「麻生内閣不信任決議案」の賛成討論は、岡田克也幹事長を幹事長代理として支えていた、野田佳彦さん(のちに総理)に譲っていました。

 下野後に、おもに衆議院予算委員会を舞台に安倍晋三首相との安保討論の集大成ともいえる演説で、万が一、安保法が成立することがあったとしても、運用、再改正に向けて、基本となる演説です。

 以下、演説全文をコピーアンドペーストします。

 安倍内閣不信任決議案に対する賛成討論

               平成27年9月18日
               岡田 克也(民主党)

(はじめに)
 安倍総理、あなたは集団的自衛権行使を含む安全保障関連法案を参議院特別委員会で強行採決しました。衆参両院での200時間を超える審議の中で、議論を重ねれば重ねるほど法案の矛盾が明らかとなり、政府の答弁も場当たり的で全く説得力のないものでした。この法案が憲法違反であることが明確になりました。圧倒的多数の憲法学者、歴代内閣法制局長官経験者、更には元最高裁判所長官・判事までもが憲法違反と断じました。国会の周りを連日のように法案反対や憲法違反を叫ぶ人々が取り囲み、いままで政治に関心を示さなかった、子どもを連れたお母さんや若いカップル、学生など、普通の人たちが強い危機感を持って自らの意思で反対の声を挙げています。国民の6割以上がこの国会での法案成立に反対し、8割が政府の説明不足を指摘しています。
 
 これは、単なる法案反対ではありません。平和憲法の根幹をなす憲法9条の解釈を根本的に変え、歴代内閣が一貫してできないとしてきた海外での武力行使を可能とすることに、圧倒的多数の国民が反対しているのです。
 
 そういう中での強行採決は、我々の先輩たちが築き上げてきた戦後民主主義の否定に他なりません。安倍総理の暴走を到底認めることはできません。安倍内閣が即時退陣することを求めます。
 
 以下、安倍内閣不信任決議案に賛成する理由について、具体的に説明いたします。


(法案提出に至る手順の瑕疵)
 安倍総理は、昨年の予算委員会などにおける私を含めた各党の質問に対して、どのような論理で、どのような場合に集団的自衛権を認めるのか、全く答えませんでした。そして、公明党との与党協議が合意できた昨年7月1日、その日のうちに、いきなり閣議決定したのです。法案の国会提出は本年5月で、それまで内容の説明は一切なされませんでした。
 
 また、安倍総理は4月に米国連邦議会で演説し、夏までの法案成立を明言しました。日本の国会で同様の発言をすれば、立法権を軽視するものとして、大きな問題になったことは間違いありません。それを米国議会で約束したのみならず、そのことが問題ないと安倍総理は強弁しています。このような安倍総理の感覚こそが、三権分立という民主主義の根幹に対する無知、無理解の表れです。
 
 以上、安全保障関連法案提出に至るまでの安倍総理の振る舞いは、立法権を持つ国会の権能の極端な軽視、国民に対する説明姿勢の完全な欠如など、民主主義国家日本のリーダーとしての資質を根本的に欠くものです。このような安倍総理は即刻退陣すべきです。


(憲法違反の安全保障関連法案)
 安倍内閣の集団的自衛権の行使容認は、憲法違反以外の何物でもありません。

 まず、安全保障関連法案の前提となっている憲法解釈の変更は、集団的自衛権行使を明確に否定した昭和47年政府見解と真逆の結論を導き出しました。にもかかわらず、「基本的な論理の枠内」と詭弁を弄したり、そもそも集団的自衛権を視野に置いていない砂川事件判決を挙げて、最高裁判決と軌を一にすると強弁したりと、便宜的・意図的な憲法解釈の変更です。これらは明らかに法的安定性を無視するものであり、かつ立憲主義に反するものです。

 また、法案にある存立危機事態は、その要件・定義が極めて曖昧です。本来、武力行使の可否を判断する極めて重要な要件・定義であるにもかかわらず、論理的・具体的に説明できないことが、200時間の審議の結果、はっきりしたのです。
 
 安倍総理は、存立危機事態の認定は、最終的には時の内閣が客観的・合理的に判断すると答弁しました。しかし、これでは、我が国が武力行使できるか否かという判断を時の内閣に白紙委任するも同じであり、これもまた立憲主義に反しています。
 
 このように、二重、三重の意味で憲法に違反する集団的自衛権を行使しようとする安倍内閣は即刻退陣すべきです。


(繰り返される不正確、不誠実な国会答弁)
 安倍内閣の不正確、不誠実な国会答弁も目に余るものがあります。
 
 例えば、ホルムズ海峡の機雷掃海について追及され、総理は最近、現実問題として発生することを想定していないと答弁しました。これは、極めて不誠実な答弁です。武力行使に該当する機雷掃海が可能となるという事実は何ら変わっていないからです。
 
 邦人輸送中の米艦防護も然りです。総理は記者会見で自ら、赤ん坊を抱える母親が乗った米国艦船のパネルを用いて、国民に訴えかけました。国会でも同じ説明を何度も繰り返しました。しかし、米国の艦船に日本人が乗っているかどうかは、存立危機事態の認定や集団的自衛権の行使には直接関わりがないということが、国会答弁によって判明しました。
 
 日本国民の命と平和な暮らしがかかっている極めて重大な法案であるにもかかわらず、安倍総理をはじめとする政府の説明は信じられないほどに不正確、そして不誠実です。このような答弁を繰り返す安倍内閣を断じて容認するわけにはいきません。安倍内閣は即刻退陣すべきです。


(平和主義の揺らぎ)
 憲法9条の平和主義の根幹をなす専守防衛や海外派兵の禁止についても、政府は詭弁を弄し続けています。
 
 相手から武力攻撃を受けたときに初めて必要最小限の防衛力を行使する専守防衛の考え方は、我が国防衛の基本方針です。自国が攻撃を受けていないにもかかわらず武力を行使する集団的自衛権が、専守防衛の考え方と矛盾することは誰の目にも明らかですが、安倍総理は、専守防衛は何ら変わらないという驚くべき答弁を繰り返しています。
 
 個別的自衛権行使にあたり、海外派兵は認められないことも国会審議を通じて確立した基本方針です。安倍総理は、集団的自衛権の場合も、必要最小限度の実力行使を超えるため海外派兵は憲法上許されないことに変わりないとしています。しかし、日本自身に対する武力攻撃を排除する個別的自衛権と、他国に対する武力攻撃を排除する集団的自衛権それぞれの必要最小限度が同じであるはずがありません。集団的自衛権の行使を認めれば、他国の領土、領海、領空であっても、新三要件に合致する限り、自衛隊を派遣できるようになるのです。その歯止めはどこにもありません。
 
 更に、海外の戦争に巻き込まれることは絶対にないと総理は繰り返し答弁しています。しかし、日本が武力攻撃を受けていない国に対して武力行使をすれば、反撃を受ける可能性が高まることは、誰が考えても明らかです。

 こういった平和主義の根幹に関わる基本的な考え方を根底から覆しているにもかかわらず、国民に真実を語らない安倍内閣は、国民に対してあまりにも不誠実です。安倍内閣は即刻退陣すべきです。


(危機に瀕する憲法と立憲主義)
 「日本国憲法はGHQの素人がたった8日間で作り上げた代物」。いまやあまりにも有名となった安倍総理の憲法観です。我々は、憲法あるいは立憲主義に対する安倍総理の姿勢に根本的な疑念を持ちます。国の最高法規である憲法の役割は、国民の自由と権利を守るために国家権力を制約するものであるという基本原理を、安倍総理は理解していないということです。
 
 だからこそ、長年積み上げられた憲法解釈を自分に都合よく、いとも簡単に変更し、武力行使の可否という国家の存立に関わることの基準すら極めて曖昧な法案を強引に成立させようとしているのです。
 
 自民党の憲法改正草案を見ると、制約なしに幅広く集団的自衛権を行使することが明記されています。限定的集団的自衛権の行使は、そのための一里塚に過ぎないのです。

 いま、私たちの前には2つの道があります。1つは、自民党がその憲法改正草案に掲げるように、集団的自衛権を何ら制約することなく行使できる国です。もう1つは、憲法の平和主義の理念を活かし、海外での武力行使には慎重である国です。どちらの道を私たちは選ぶのでしょうか。

 自国の防衛のために武力を行使することはあっても、海外での武力行使はしないというのは、戦後70年、日本が築き上げてきた国家としての大方針です。それを十分な国会での議論もなく、国民の理解もなく、一内閣が勝手に変えていいはずがありません。安倍内閣は即刻退陣すべきです。


(安倍内閣不信任案に賛成を求める)
 憲法と平和を守るため、いまこの瞬間も、国会周辺で、全国各地で、安全保障関連法案に反対する多くの人々が必死に訴えています。そして、その後ろには、同調する圧倒的多数の国民がいます。国民の8割、1億人の日本人が政府の説明は不十分と言い、6割、7000万人以上の国民が今国会での法案成立に反対しています。この本会議場で法案の審議を始めた5月と比べても、この数は一貫して変わっていません。もう答えは出ているのです。この法案は廃案にすべきなのです。それが長い国会審議を経た国民の結論です。
 
 総理は、デモや集会に参加する人々など、日本人のほんの一握りに過ぎないと考えているのかもしれません。しかし、それは大きな間違いです。普段政治に関心がなかった普通の人たちが全国で、自らの意思で立ち上がって、声を挙げているのです。戦後70年、平和で豊かな日本をつくるために努力された多くの先人たちの声でもあります。そして、日本を引き継ぐ未来の日本人たちの声でもあるのです。

 この本会議場にいる我々のみが、安倍総理、安倍内閣の暴走を止めることができるのです。いまから採決される内閣不信任決議案に賛成することは、憲法の平和主義を守ることであり、日本の立憲主義、民主主義を守ることです。

 自民党の皆さん、公明党の皆さん、皆さんは本当に平和主義、立憲主義、そして民主主義を大きく傷つけることに加担するのですか。この本会議場のすべての皆さんに訴えます。1人ひとりがいま一度、私たちの未来のためになにをすべきか、静かに思いを巡らせてください。心ある与野党議員の皆さんが、安倍内閣不信任決議案に賛成していただくことを強く期待し、私の賛成討論といたします。

以上

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