渡辺恒雄の後継者、宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

これで3人目、元内閣法制局長官「7月1日の閣議決定は無効であり安保法案は認められない」 きょうの国会

2015年09月08日 17時26分06秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

【平成27年2015年9月8日(火)参議院わが国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会】

 引き続き、「2015日米防衛ガイドライン国内実施2法案」(189閣法72~73号)と「維新の党対案」(189参法16~20号)が議題になりました。

 参考人質疑。

 元内閣法制局長官の大森政輔さんが登場しました。

 大森さんは日本国憲法第9条について「個別的自衛権と集団的自衛権は本質的な差異がある」とし、「両者は別次元であり、憲法9条により集団的自衛権は認められない」としました。

 きょねん、2014年7月1日の閣議決定(国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について)については、

 「本件閣議決定は、内閣が閣議決定できる範囲を超えており、無効である。これにもとづく自衛隊法(などの)改正は認められない」と断言しました。

 衆議院の参考人質疑での、阪田雅裕さん、宮崎礼壱さんについで、元長官の「違憲」発言はこれで合計3人目。

 大森さんは与党協議会(高村座長、北側座長代理)のとりまとめ文書に言及し、「おそれ(虞)という言葉を使っているが、法的に不確実性があることでば、主観的判断によって大きな差異が生じる」として、その時の為政者の判断に左右される法的安定性のない言葉だとしました。

 大森さんは「砂川判決が集団的自衛権を認めているとする論は、法律の基本的理論からして、まったく暴論です。ここでいうボウロンは、傍論ではなく暴論です」と批判しました。

 そのうえで、「集団的自衛権の行使が国策として必要なのならば、憲法改正手続きに乗せるべきだ」としました。

 大森さんは民主党の広田一さんの質疑で、現在の内閣法制局について、

 「私が長く在職した職場であり、旧友がいるので言いにくいのだが、数日前の朝日新聞で元最高裁判所長官(山口繁さん)まで厳しい意見を言っていて、私だけでないのだと感じた。本来ならば顔を上げて、(元内閣法制局長官として)最高裁長官の姿を見られない内心を持っている。我々先輩としてどうしたらいいのか考えるが、最後はその任にある者(横畠裕介・現内閣法制局長官)が責任をもって、脱却するしかないのだと思う。(ここにいる国会議員も)陰ながら応援してやってください」と語りました。

 参考人質疑の後、維新の党対案の「PKO協力法改正案」(189参法23号)と「船舶検査法改正案」(189参法24号)が小野次郎さんから趣旨説明されました。

これで維新対案は合計7法案(参法16~20号、23・24号)となりました。

 中央公聴会を15日(火)午後1時から開くことを多数決で決め、散会しました。

【同日 厚生労働委員会】

別エントリーに書きましたが、「労働者派遣法改悪法案」(189閣法43号)が修正可決しました。

 この日は2時間コースで各会派が一巡。野党議員は「きょうの朝の理事会で与党から採決に関する提案そのものがなかった」と語りました。

 ところが、最後の福島みずほさんの質問が終了したとたんに、自民党の羽生田俊理事がなんらかの動議を提出。野党が抗議し、委員長が休憩を宣言しました。このときの顛末については、もう一つ別のエントリーに書いてあります。

 そして、午後3時28分に再開。動議は採決されていないと思いますが、丸川珠代委員長はここで「質疑の終局」を宣言。ただちに自公の修正案として「9月30日施行」へ修正しました。

 採決の結果、民維共社の反対、自公の賛成多数で修正可決しました。

【同日 参議院文教科学委員会】

 まず一般質疑がありました。民主党からは斎藤嘉隆さん、神本美恵子副代表が質疑に立ち、「会期末の日教組」の勢いが出てきたようです。

 この後、別エントリーにも書きましたが、「公認心理師法案」(189衆法38号)が福井照・衆議院文部科学委員長から趣旨説明。共産党の田村智子さんが質疑した後、採決され、共も含む全会一致で可決しました。

【同日 参議院外交防衛委員会】

 岸田外相が条約5件、「189条約8~12号」を趣旨説明し、散会しました。

 条約5件は、日本とカザフスタン、ウクライナ、ウルグアイ各国との投資協定、カタールとの租税協定、ルクセンブルクとの社会保障協定の合計5条約です。

【同日 参議院内閣委員会】

 「PFI法改正案」(189閣法55号)が担当大臣の甘利明さんから趣旨説明され、きょうは散会しました。

【同日 参議院農林水産委員会】

 まず一般質疑。この後、「6独法を2独法に統合する、農林水産省設置法など改正案」(189閣法32号)が趣旨説明され、散会しました。

【同日 参議院国土交通委員会】

 一般質疑だけなされました。

このエントリー記事の本文は以上です。
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野党力尽きる 労働者派遣法改悪法案「9月30日施行」に修正し可決 週内に成立へ 参議院厚生労働委員会

2015年09月08日 16時34分31秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

(午後12時過ぎに投稿した「【速報】労働者派遣法改悪法案、自民党強行採決を意図か、羽生田俊議員が動議提出も、途中阻止、休憩に」を改題して、情報を加えて再投稿します)

 労働者派遣法改悪法案(189閣法43号)が、2度の廃案、参に回ってから81日間の激闘の末、野党が力尽き、可決しました。9月30日施行へ。

 ◇

 当初2時間コースで質疑。

 福島みずほさんの質疑時間終了とともに、自民党の羽生田俊(はにゅうだ・たかし)さんが何らかの動議を提出しようとしたところ、野党理事らが事前の理事会合意がない行為だとして、阻止し、休憩に入りました。

 羽生田議員は質疑の打ち切り動議を出そうとしたものとみられます。


[画像]議題にない、何らかの動議を、突如提出し始めた羽生田俊・自民党議員を阻止する、民主党の石橋通宏さん(左)、牧山弘恵さん(右)ら、2015年9月8日(火)午後12時7分ごろ、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。 

 ただし、政府原案は「9月1日施行」となっており、すでにその期間を過ぎていることから、与党による修正が必須となっており、修正案に関する動議だったのかもしれません。

 理事会には、民主党の津田弥太郎理事、維新の党の川田龍平理事、共産党の小池晃理事(党本部政策責任者)、社民党の福島みずほ理事らが、与党・自民党の福岡高麿理事、公明党の長沢広明理事(参国対委員長兼務)が、丸川珠代委員長(自民党)をまじえて協議することになります。

 質疑での、川田さん、福島さんらの発言によると、自民党は同日朝の理事会では、採決に関する提案そのものをしていないとのことです。 

 仮に自民党が強行採決を図ろうとした場合、その途中で阻止され、休憩し、理事会に入るパターンは異例。

【追記 2015年9月8日午後4時】

 午後3時28分に再開しました。

 動議は採決されなかったと思いますが、丸川珠代委員長が自ら「質疑は終局しました」と宣言しました。

 自民党の大沼みずほさんが自公の修正案を提出。

 施行日を「9月1日」から「9月30日」に修正。さらに、違法派遣による見なし雇用(労働契約見なし規定)の対象者になっているかどうかを本人に開示するとともに、派遣先は過半数労働組合に説明し、派遣元事業者は派遣先事業者に対して説明するといった、運用上の念押しにすぎない内容です。

 この後、討論。

 民主党は白真勲さんが反対し、「厚生労働省は業者の意見を受け入れて法改正することで魂を捨てた」としました。

 維新の党の川田さんは「理事会で提案がなかった」と採決に抗議し、反対しました。同党対案である「同一労働同一賃金推進法案」(189衆法22号)については「衆院での修正は不十分だが、均等の文字が入ったことは評価できる」と賛成しました。

 共産党の小池さんは採決そのものに反対し、「この法案は常用代替(派遣社員を事実上正社員の仕事をさせ続けられる、いわゆる正社員ゼロ)であり、修正案も1時間前に示されたもので、理不尽で、これほど企業側にべったりした法案は見たことがない。どこをとっても矛盾欠陥ばかりだ」と主張しました。

 社民党の福島みずほさんも「修正案は1時間前に提示されたものだし、先週与党理事から説明があったものより後退している」「この法案は将来必ず禍根を生む」としました。

 午後3時55分、採決。修正案、政府原案とも、民・維・共・社・行田邦子委員・薬師寺みちよ委員の反対、自公の賛成多数で修正可決しました。

 おそらくあす9日の本会議で可決し、衆に回付され、10日ないし11日の本会議で成立するはこび。9月30日(水)施行。

 津田弥太郎さんは附帯決議案で、朗読に25分間ほどかけるすさまじい項目数の附帯決議をつけ、最後まで気を吐きました。附帯決議は50項目だったそうです。

 この後、「同一労働同一賃金推進法案」(189衆法22号)は、民共社反対、自公維賛成多数で可決しました。

 牧山弘恵さんが附帯決議案を朗読しました。牧山さんも7分くらいかけました。

 ◇

 専門26業務派遣労働者が、派遣先で、「お茶くみ」などの違法な扱いを受けていた場合は、10月1日にみなし雇用(みなし労働契約)され、正社員に転換することを義務付けていた、2012年改正を無力化するのがねらい。2012年改正は当時野党の自公も賛成していました。

 短期的には10・1みなし雇用プログラムの無力化ですが、中期的には正社員ゼロ法案と言えます。

 派遣労働者をかえれば、会社内の特定の職を2年でどんどんかえることがなり、正社員を派遣労働者におきかえる、常用代替が可能になります。

 3度目の提出となったこの法案は5月12日(火)に衆議院本会議で審議入り。6月19日(金)に衆委員会で可決し、緊急上程され、本会議で可決。参では7月8日(水)に審議が始まりましたが、「漏れた年金」集中審議を続けるなど、民主党、維新の党、共産党、社民党などの必至の抵抗で、「9月1日施行」を過ぎるところまで、健闘しました。

 しかし、数の力のもと、野党は力尽きました。

 筆者も2年1か月前のエントリー記事からいっかんして反対し続けてきましたので無念です。

このエントリー記事の本文は以上です。

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涙する派遣社員を自民党議員が「早く追い出せ!」「騒ぐな!」 労働者派遣法改悪法案の傍聴席【再追記有】

2015年09月08日 14時35分52秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[画像]2015年9月8日の参議院厚生労働委員会、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 さきほどの労働者派遣法改悪法案の強行採決「未遂」の際、傍聴席で涙する派遣労働者を見た複数の自民党議員が「早く追い出せ!」「騒ぐな!」と発言していたことが分かりました。

 民主党の牧山弘恵さん=上の画像の右側=がSNSで証言しました。

 参議院議長が定める「参議院傍聴規則」では、拍手をしたり、野次を飛ばしたり、食べ物を食べたり、プラカードを掲げたりする行為は禁じられていますが、傍聴席で涙することは禁じられていません。 

【追記 同年同月9日午後9時半】

 涙した派遣社員の傍聴者の方が、民主党議員に寄せた証言が明らかになりました。

 Wさんは「周囲の多くの傍聴者が私を守ってくれました。そして衛視さんも私を追い出そうとはしませんでした」としました。

 Wさんは「自民党議員が私を追い出せと言ったのは知らなかった」としました。

【追記おわり】

 午後4時前に法案は可決しました。週内に成立し、9月30日施行。

 きょう一日の参議院厚生労働委員会の審議は別のエントリーにまとめました=この下に全文掲載します。

[当ブログ内エントリーから全文引用はじめ]

野党力尽きる 労働者派遣法改悪法案「9月30日施行」に修正し可決 週内に成立へ 参議院厚生労働委員会

2015年09月08日 16時34分31秒 | 第189回通常国会2015年1月

(午後12時過ぎに投稿した「【速報】労働者派遣法改悪法案、自民党強行採決を意図か、羽生田俊議員が動議提出も、途中阻止、休憩に」を改題して、情報を加えて再投稿します)

 労働者派遣法改悪法案(189閣法43号)が、2度の廃案、参に回ってから81日間の激闘の末、野党が力尽き、可決しました。9月30日施行へ。

 ◇

 当初2時間コースで質疑。

 福島みずほさんの質疑時間終了とともに、自民党の羽生田俊(はにゅうだ・たかし)さんが何らかの動議を提出しようとしたところ、野党理事らが事前の理事会合意がない行為だとして、阻止し、休憩に入りました。

 羽生田議員は質疑の打ち切り動議を出そうとしたものとみられます。


[画像]議題にない、何らかの動議を、突如提出し始めた羽生田俊・自民党議員を阻止する、民主党の石橋通宏さん(左)、牧山弘恵さん(右)ら、2015年9月8日(火)午後12時7分ごろ、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。 

 ただし、政府原案は「9月1日施行」となっており、すでにその期間を過ぎていることから、与党による修正が必須となっており、修正案に関する動議だったのかもしれません。

 理事会には、民主党の津田弥太郎理事、維新の党の川田龍平理事、共産党の小池晃理事(党本部政策責任者)、社民党の福島みずほ理事らが、与党・自民党の福岡高麿理事、公明党の長沢広明理事(参国対委員長兼務)が、丸川珠代委員長(自民党)をまじえて協議することになります。

 質疑での、川田さん、福島さんらの発言によると、自民党は同日朝の理事会では、採決に関する提案そのものをしていないとのことです。 

 仮に自民党が強行採決を図ろうとした場合、その途中で阻止され、休憩し、理事会に入るパターンは異例。

【追記 2015年9月8日午後4時】

 午後3時28分に再開しました。

 動議は採決されなかったと思いますが、丸川珠代委員長が自ら「質疑は終局しました」と宣言しました。

 自民党の大沼みずほ(大沼瑞穂)さんが自公の修正案を提出。

 施行日を「9月1日」から「9月30日」に修正。さらに、違法派遣による見なし雇用(労働契約見なし規定)の対象者になっているかどうかを本人に開示するとともに、派遣先は過半数労働組合に説明し、派遣元事業者は派遣先事業者に対して説明するといった、運用上の念押しにすぎない内容です。

 この後、討論。

 民主党は白真勲さんが反対し、「厚生労働省は業者の意見を受け入れて法改正することで魂を捨てた」としました。

 維新の党の川田さんは「理事会で提案がなかった」と採決に抗議し、反対しました。同党対案である「同一労働同一賃金推進法案」(189衆法22号)については「衆院での修正は不十分だが、均等の文字が入ったことは評価できる」と賛成しました。

 共産党の小池さんは採決そのものに反対し、「この法案は常用代替(派遣社員を事実上正社員の仕事をさせ続けられる、いわゆる正社員ゼロ)であり、修正案も1時間前に示されたもので、理不尽で、これほど企業側にべったりした法案は見たことがない。どこをとっても矛盾欠陥ばかりだ」と主張しました。

 社民党の福島みずほさんも「修正案は1時間前に提示されたものだし、先週与党理事から説明があったものより後退している」「この法案は将来必ず禍根を生む」としました。

 午後3時55分、採決。修正案、政府原案とも、民・維・共・社・行田邦子委員・薬師寺みちよ委員の反対、自公の賛成多数で修正可決しました。

 おそらくあす9日の本会議で可決し、衆に回付され、10日ないし11日の本会議で成立するはこび。9月30日(水)施行。

 民主党の津田弥太郎さんは附帯決議案で、朗読に25分間ほどかけるすさまじい項目数の附帯決議をつけ、最後まで気を吐きました。附帯決議は50項目だったそうです。

 この後、「同一労働同一賃金推進法案」(189衆法22号)は、民共社反対、自公維賛成多数で可決しました。

 牧山弘恵(牧山ひろえ)さんが附帯決議案を朗読しました。牧山さんも7分くらいかけました。

 ◇

 専門26業務派遣労働者が、派遣先で、「お茶くみ」などの違法な扱いを受けていた場合は、10月1日にみなし雇用(みなし労働契約)され、正社員に転換することを義務付けていた、2012年改正を無力化するのがねらい。2012年改正は当時野党の自公も賛成していました。

 短期的には10・1みなし雇用プログラムの無力化ですが、中期的には正社員ゼロ法案と言えます。

 派遣労働者をかえれば、会社内の特定の職を2年でどんどんかえることがなり、正社員を派遣労働者におきかえる、常用代替が可能になります。

 3度目の提出となったこの法案は5月12日(火)に衆議院本会議で審議入り。6月19日(金)に衆委員会で可決し、緊急上程され、本会議で可決。参では7月8日(水)に審議が始まりましたが、「漏れた年金」集中審議を続けるなど、民主党、維新の党、共産党、社民党などの必至の抵抗で、「9月1日施行」を過ぎるところまで、健闘しました。

 しかし、数の力のもと、野党は力尽きました。

 筆者も2年1か月前のエントリー記事からいっかんして反対し続けてきましたので無念です。

【再追記 2017年4月17日】

 以下の記事を書きました。

[法律の執行状況]改悪労働者派遣法施行1年半で平均月給2200円減る、製造業ですら1400円減、主犯は「パソナ」ではなく「経団連」だったか?

【再追記おわり】

このエントリー記事の本文は以上です。

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[当ブログ内エントリーから全文引用おわり] 

このエントリーの本文記事は以上です。 

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公認心理師法案、参議院文教科学委員会でも可決、あす9日成立へ

2015年09月08日 12時07分56秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[画像]公認心理師法案を挙手による採決で全会一致で可決した、参議院文教科学委員会、2015年9月8日午後12時2分ごろ、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 参議院文教科学委員会(水落敏栄委員長)は平成27年2015年9月8日(火)、午後12時2分ごろ、

 「公認心理師法案」(189衆法38号)を全会一致で可決しました。

 あす平成27年2015年9月9日(水)午前10時から開かれる見通しの、参議院本会議(山崎正昭議長)で採決され、可決し、成立する見通し。

 来週の9月15日(火)、18日(金)ごろに、天皇陛下が公布し、官報に全文が告示される見通し。

 それから2年以内の政令で定める日に施行するため、平成29年2017年春ごろに施行するとみられます。

  きょうの審議では、まず、午前11時50分ごろ、衆議院の福井照・文部科学委員長が参議院に来て趣旨説明しました。

  質疑は希望制で、日本共産党の田村智子文教科学委員が、山下貴司衆議院議員らに「相談者がスクールカウンセラーに精神科受診の有無を言いたくない場合があるが、公認心理師ではどうなる」と問うと、山下さんは「法案の42条のことだが、公認心理師が要支援者に対して主治医の有無を聞くことまで求める法案ではない」と答弁しました。

 田村さんの「スクールカウンセラーの労働時間と社会保険加入状況について地域によってかなりの格差がある」との問いに対しては、文部科学省で義務教育を担当する初等中等局長が答弁しました。田村さんが「スクールカウンセラーに学校に行かなくてもいいと言える権限はあるか」と問うと、下村博文文部科学大臣は「この時期は自殺も多い時期なので、無理をしなくてもいいんだよと言えるようにしたい」と答弁しました。
 
  質疑は共産党のみで、同党も含めて、全会一致でした。斎藤嘉隆さんの朗読による、附帯決議が採択されました。

 [法案全文を衆議院ウェブサイトから全文引用はじめ]

   公認心理師法案
目次
 第一章 総則(第一条―第三条)
 第二章 試験(第四条―第二十七条)
 第三章 登録(第二十八条―第三十九条)
 第四章 義務等(第四十条―第四十五条)
 第五章 罰則(第四十六条―第五十条)
 附則
   第一章 総則
 (目的)
第一条 この法律は、公認心理師の資格を定めて、その業務の適正を図り、もって国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的とする。
 (定義)
第二条 この法律において「公認心理師」とは、第二十八条の登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。
 一 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。
 二 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
 三 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
 四 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。
 (欠格事由)
第三条 次の各号のいずれかに該当する者は、公認心理師となることができない。
 一 成年被後見人又は被保佐人
 二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
 三 この法律の規定その他保健医療、福祉又は教育に関する法律の規定であって政令で定めるものにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
 四 第三十二条第一項第二号又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
   第二章 試験
 (資格)
第四条 公認心理師試験(以下「試験」という。)に合格した者は、公認心理師となる資格を有する。
 (試験)
第五条 試験は、公認心理師として必要な知識及び技能について行う。
 (試験の実施)
第六条 試験は、毎年一回以上、文部科学大臣及び厚生労働大臣が行う。
 (受験資格)
第七条 試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、受けることができない。
 一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学(短期大学を除く。以下同じ。)において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業し、かつ、同法に基づく大学院において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めてその課程を修了した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者
 二 学校教育法に基づく大学において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者であって、文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において文部科学省令・厚生労働省令で定める期間以上第二条第一号から第三号までに掲げる行為の業務に従事したもの
 三 文部科学大臣及び厚生労働大臣が前二号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認定した者
 (試験の無効等)
第八条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、試験に関して不正の行為があった場合には、その不正行為に関係のある者に対しては、その受験を停止させ、又はその試験を無効とすることができる。
2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、前項の規定による処分を受けた者に対し、期間を定めて試験を受けることができないものとすることができる。
 (受験手数料)
第九条 試験を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の受験手数料を国に納付しなければならない。
2 前項の受験手数料は、これを納付した者が試験を受けない場合においても、返還しない。
 (指定試験機関の指定)
第十条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、文部科学省令・厚生労働省令で定めるところにより、その指定する者(以下「指定試験機関」という。)に、試験の実施に関する事務(以下「試験事務」という。)を行わせることができる。
2 指定試験機関の指定は、文部科学省令・厚生労働省令で定めるところにより、試験事務を行おうとする者の申請により行う。
3 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、前項の申請が次の要件を満たしていると認めるときでなければ、指定試験機関の指定をしてはならない。
 一 職員、設備、試験事務の実施の方法その他の事項についての試験事務の実施に関する計画が、試験事務の適正かつ確実な実施のために適切なものであること。
 二 前号の試験事務の実施に関する計画の適正かつ確実な実施に必要な経理的及び技術的な基礎を有するものであること。
4 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、第二項の申請が次のいずれかに該当するときは、指定試験機関の指定をしてはならない。
 一 申請者が、一般社団法人又は一般財団法人以外の者であること。
 二 申請者がその行う試験事務以外の業務により試験事務を公正に実施することができないおそれがあること。
 三 申請者が、第二十二条の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者であること。
 四 申請者の役員のうちに、次のいずれかに該当する者があること。
  イ この法律に違反して、刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
  ロ 次条第二項の規定による命令により解任され、その解任の日から起算して二年を経過しない者
 (指定試験機関の役員の選任及び解任)
第十一条 指定試験機関の役員の選任及び解任は、文部科学大臣及び厚生労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、指定試験機関の役員が、この法律(この法律に基づく命令又は処分を含む。)若しくは第十三条第一項に規定する試験事務規程に違反する行為をしたとき又は試験事務に関し著しく不適当な行為をしたときは、指定試験機関に対し、当該役員の解任を命ずることができる。
 (事業計画の認可等)
第十二条 指定試験機関は、毎事業年度、事業計画及び収支予算を作成し、当該事業年度の開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあっては、その指定を受けた後遅滞なく)、文部科学大臣及び厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 指定試験機関は、毎事業年度の経過後三月以内に、その事業年度の事業報告書及び収支決算書を作成し、文部科学大臣及び厚生労働大臣に提出しなければならない。
 (試験事務規程)
第十三条 指定試験機関は、試験事務の開始前に、試験事務の実施に関する規程(以下この章において「試験事務規程」という。)を定め、文部科学大臣及び厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 試験事務規程で定めるべき事項は、文部科学省令・厚生労働省令で定める。
3 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、第一項の認可をした試験事務規程が試験事務の適正かつ確実な実施上不適当となったと認めるときは、指定試験機関に対し、これを変更すべきことを命ずることができる。
 (公認心理師試験委員)
第十四条 指定試験機関は、試験事務を行う場合において、公認心理師として必要な知識及び技能を有するかどうかの判定に関する事務については、公認心理師試験委員(以下この章において「試験委員」という。)に行わせなければならない。
2 指定試験機関は、試験委員を選任しようとするときは、文部科学省令・厚生労働省令で定める要件を備える者のうちから選任しなければならない。
3 指定試験機関は、試験委員を選任したときは、文部科学省令・厚生労働省令で定めるところにより、文部科学大臣及び厚生労働大臣にその旨を届け出なければならない。試験委員に変更があったときも、同様とする。
4 第十一条第二項の規定は、試験委員の解任について準用する。
 (規定の適用等)
第十五条 指定試験機関が試験事務を行う場合における第八条第一項及び第九条第一項の規定の適用については、第八条第一項中「文部科学大臣及び厚生労働大臣」とあり、及び第九条第一項中「国」とあるのは、「指定試験機関」とする。
2 前項の規定により読み替えて適用する第九条第一項の規定により指定試験機関に納められた受験手数料は、指定試験機関の収入とする。
 (秘密保持義務等)
第十六条 指定試験機関の役員若しくは職員(試験委員を含む。次項において同じ。)又はこれらの職にあった者は、試験事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
2 試験事務に従事する指定試験機関の役員又は職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
 (帳簿の備付け等)
第十七条 指定試験機関は、文部科学省令・厚生労働省令で定めるところにより、試験事務に関する事項で文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを記載した帳簿を備え、これを保存しなければならない。
 (監督命令)
第十八条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、指定試験機関に対し、試験事務に関し監督上必要な命令をすることができる。
 (報告)
第十九条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、文部科学省令・厚生労働省令で定めるところにより、指定試験機関に対し、報告をさせることができる。
 (立入検査)
第二十条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、その職員に、指定試験機関の事務所に立ち入り、指定試験機関の帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第一項に規定する権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
 (試験事務の休廃止)
第二十一条 指定試験機関は、文部科学大臣及び厚生労働大臣の許可を受けなければ、試験事務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
 (指定の取消し等)
第二十二条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、指定試験機関が第十条第四項各号(第三号を除く。)のいずれかに該当するに至ったときは、その指定を取り消さなければならない。
2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、指定試験機関が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて試験事務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
 一 第十条第三項各号の要件を満たさなくなったと認められるとき。
 二 第十一条第二項(第十四条第四項において準用する場合を含む。)、第十三条第三項又は第十八条の規定による命令に違反したとき。
 三 第十二条、第十四条第一項から第三項まで又は前条の規定に違反したとき。
 四 第十三条第一項の認可を受けた試験事務規程によらないで試験事務を行ったとき。
 五 次条第一項の条件に違反したとき。
 (指定等の条件)
第二十三条 第十条第一項、第十一条第一項、第十二条第一項、第十三条第一項又は第二十一条の規定による指定、認可又は許可には、条件を付し、及びこれを変更することができる。
2 前項の条件は、当該指定、認可又は許可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、当該指定、認可又は許可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであってはならない。
 (指定試験機関がした処分等に係る審査請求)
第二十四条 指定試験機関が行う試験事務に係る処分又はその不作為について不服がある者は、文部科学大臣及び厚生労働大臣に対し、審査請求をすることができる。この場合において、文部科学大臣及び厚生労働大臣は、行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第二十五条第二項及び第三項、第四十六条第一項及び第二項、第四十七条並びに第四十九条第三項の規定の適用については、指定試験機関の上級行政庁とみなす。
 (文部科学大臣及び厚生労働大臣による試験事務の実施等)
第二十五条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、指定試験機関の指定をしたときは、試験事務を行わないものとする。
2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、指定試験機関が第二十一条の規定による許可を受けて試験事務の全部若しくは一部を休止したとき、第二十二条第二項の規定により指定試験機関に対し試験事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき又は指定試験機関が天災その他の事由により試験事務の全部若しくは一部を実施することが困難となった場合において必要があると認めるときは、試験事務の全部又は一部を自ら行うものとする。
 (公示)
第二十六条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、次の場合には、その旨を官報に公示しなければならない。
 一 第十条第一項の規定による指定をしたとき。
 二 第二十一条の規定による許可をしたとき。
 三 第二十二条の規定により指定を取り消し、又は試験事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき。
 四 前条第二項の規定により試験事務の全部若しくは一部を自ら行うこととするとき又は自ら行っていた試験事務の全部若しくは一部を行わないこととするとき。
 (試験の細目等)
第二十七条 この章に規定するもののほか、試験、指定試験機関その他この章の規定の施行に関し必要な事項は、文部科学省令・厚生労働省令で定める。
   第三章 登録
 (登録)
第二十八条 公認心理師となる資格を有する者が公認心理師となるには、公認心理師登録簿に、氏名、生年月日その他文部科学省令・厚生労働省令で定める事項の登録を受けなければならない。
 (公認心理師登録簿)
第二十九条 公認心理師登録簿は、文部科学省及び厚生労働省に、それぞれ備える。
 (公認心理師登録証)
第三十条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師の登録をしたときは、申請者に第二十八条に規定する事項を記載した公認心理師登録証(以下この章において「登録証」という。)を交付する。
 (登録事項の変更の届出等)
第三十一条 公認心理師は、登録を受けた事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を文部科学大臣及び厚生労働大臣に届け出なければならない。
2 公認心理師は、前項の規定による届出をするときは、当該届出に登録証を添えて提出し、その訂正を受けなければならない。
 (登録の取消し等)
第三十二条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を取り消さなければならない。
 一 第三条各号(第四号を除く。)のいずれかに該当するに至った場合
 二 虚偽又は不正の事実に基づいて登録を受けた場合
2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が第四十条、第四十一条又は第四十二条第二項の規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて公認心理師の名称及びその名称中における心理師という文字の使用の停止を命ずることができる。
 (登録の消除)
第三十三条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師の登録がその効力を失ったときは、その登録を消除しなければならない。
 (情報の提供)
第三十四条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師の登録に関し、相互に必要な情報の提供を行うものとする。
 (変更登録等の手数料)
第三十五条 登録証の記載事項の変更を受けようとする者及び登録証の再交付を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国に納付しなければならない。
 (指定登録機関の指定等)
第三十六条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、文部科学省令・厚生労働省令で定めるところにより、その指定する者(以下「指定登録機関」という。)に、公認心理師の登録の実施に関する事務(以下「登録事務」という。)を行わせることができる。
2 指定登録機関の指定は、文部科学省令・厚生労働省令で定めるところにより、登録事務を行おうとする者の申請により行う。
第三十七条 指定登録機関が登録事務を行う場合における第二十九条、第三十条、第三十一条第一項、第三十三条及び第三十五条の規定の適用については、第二十九条中「文部科学省及び厚生労働省に、それぞれ」とあるのは「指定登録機関に」と、第三十条、第三十一条第一項及び第三十三条中「文部科学大臣及び厚生労働大臣」とあり、並びに第三十五条中「国」とあるのは「指定登録機関」とする。
2 指定登録機関が登録を行う場合において、公認心理師の登録を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を指定登録機関に納付しなければならない。
3 第一項の規定により読み替えて適用する第三十五条及び前項の規定により指定登録機関に納められた手数料は、指定登録機関の収入とする。
 (準用)
第三十八条 第十条第三項及び第四項、第十一条から第十三条まで並びに第十六条から第二十六条までの規定は、指定登録機関について準用する。この場合において、これらの規定中「試験事務」とあるのは「登録事務」と、「試験事務規程」とあるのは「登録事務規程」と、第十条第三項中「前項の申請」とあり、及び同条第四項中「第二項の申請」とあるのは「第三十六条第二項の申請」と、第十六条第一項中「職員(試験委員を含む。次項において同じ。)」とあるのは「職員」と、第二十二条第二項第二号中「第十一条第二項(第十四条第四項において準用する場合を含む。)」とあるのは「第十一条第二項」と、同項第三号中「、第十四条第一項から第三項まで又は前条」とあるのは「又は前条」と、第二十三条第一項及び第二十六条第一号中「第十条第一項」とあるのは「第三十六条第一項」と読み替えるものとする。
 (文部科学省令・厚生労働省令への委任)
第三十九条 この章に規定するもののほか、公認心理師の登録、指定登録機関その他この章の規定の施行に関し必要な事項は、文部科学省令・厚生労働省令で定める。
   第四章 義務等
 (信用失墜行為の禁止)
第四十条 公認心理師は、公認心理師の信用を傷つけるような行為をしてはならない。
 (秘密保持義務)
第四十一条 公認心理師は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。公認心理師でなくなった後においても、同様とする。
 (連携等)
第四十二条 公認心理師は、その業務を行うに当たっては、その担当する者に対し、保健医療、福祉、教育等が密接な連携の下で総合的かつ適切に提供されるよう、これらを提供する者その他の関係者等との連携を保たなければならない。
2 公認心理師は、その業務を行うに当たって心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない。
 (資質向上の責務)
第四十三条 公認心理師は、国民の心の健康を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため、第二条各号に掲げる行為に関する知識及び技能の向上に努めなければならない。
 (名称の使用制限)
第四十四条 公認心理師でない者は、公認心理師という名称を使用してはならない。
2 前項に規定するもののほか、公認心理師でない者は、その名称中に心理師という文字を用いてはならない。
 (経過措置等)
第四十五条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
2 この法律に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、文部科学省令・厚生労働省令で定める。
   第五章 罰則
第四十六条 第四十一条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
第四十七条 第十六条第一項(第三十八条において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第四十八条 第二十二条第二項(第三十八条において準用する場合を含む。)の規定による試験事務又は登録事務の停止の命令に違反したときは、その違反行為をした指定試験機関又は指定登録機関の役員又は職員は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第四十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
 一 第三十二条第二項の規定により公認心理師の名称及びその名称中における心理師という文字の使用の停止を命ぜられた者で、当該停止を命ぜられた期間中に、公認心理師の名称を使用し、又はその名称中に心理師という文字を用いたもの
 二 第四十四条第一項又は第二項の規定に違反した者
第五十条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした指定試験機関又は指定登録機関の役員又は職員は、二十万円以下の罰金に処する。
 一 第十七条(第三十八条において準用する場合を含む。)の規定に違反して帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかったとき。
 二 第十九条(第三十八条において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
 三 第二十条第一項(第三十八条において準用する場合を含む。)の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。
 四 第二十一条(第三十八条において準用する場合を含む。)の許可を受けないで試験事務又は登録事務の全部を廃止したとき。
   附 則
 (施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第十条から第十四条まで、第十六条、第十八条から第二十三条まで及び第二十五条から第二十七条までの規定並びに第四十七条、第四十八条及び第五十条(第一号を除く。)の規定(指定試験機関に係る部分に限る。)並びに附則第八条から第十一条までの規定は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
 (受験資格の特例)
第二条 次の各号のいずれかに該当する者は、第七条の規定にかかわらず、試験を受けることができる。
 一 この法律の施行の日(以下この項及び附則第六条において「施行日」という。)前に学校教育法に基づく大学院の課程を修了した者であって、当該大学院において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めたもの
 二 施行日前に学校教育法に基づく大学院に入学した者であって、施行日以後に心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて当該大学院の課程を修了したもの
 三 施行日前に学校教育法に基づく大学に入学し、かつ、心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者であって、施行日以後に同法に基づく大学院において第七条第一号の文部科学省令・厚生労働省令で定める科目を修めてその課程を修了したもの
 四 施行日前に学校教育法に基づく大学に入学し、かつ、心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者であって、第七条第二号の文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において同号の文部科学省令・厚生労働省令で定める期間以上第二条第一号から第三号までに掲げる行為の業務に従事したもの
2 この法律の施行の際現に第二条第一号から第三号までに掲げる行為を業として行っている者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者であって、次の各号のいずれにも該当するに至ったものは、この法律の施行後五年間は、第七条の規定にかかわらず、試験を受けることができる。
 一 文部科学大臣及び厚生労働大臣が指定した講習会の課程を修了した者
 二 文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において、第二条第一号から第三号までに掲げる行為を五年以上業として行った者
3 前項に規定する者に対する試験は、文部科学省令・厚生労働省令で定めるところにより、その科目の一部を免除することができる。
 (受験資格に関する配慮)
第三条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、試験の受験資格に関する第七条第二号の文部科学省令・厚生労働省令を定め、及び同条第三号の認定を行うに当たっては、同条第二号又は第三号に掲げる者が同条第一号に掲げる者と同等以上に臨床心理学を含む心理学その他の科目に関する専門的な知識及び技能を有することとなるよう、同条第二号の文部科学省令・厚生労働省令で定める期間を相当の期間とすることその他の必要な配慮をしなければならない。
 (名称の使用制限に関する経過措置)
第四条 この法律の施行の際現に公認心理師という名称を使用している者又はその名称中に心理師の文字を用いている者については、第四十四条第一項又は第二項の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
 (検討)
第五条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の規定の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
 (試験の実施に関する特例)
第六条 第六条の規定にかかわらず、施行日の属する年においては、試験を行わないことができる。
 (登録免許税法の一部改正)
第七条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
  別表第一第三十二号の次に次のように加える。
   八の二 公認心理師法(平成二十七年法律第   号)第二十 登録件数 一件につき一万五千 
     八条(登録)の公認心理師の登録                  円
 (文部科学省設置法の一部改正)
第八条 文部科学省設置法(平成十一年法律第九十六号)の一部を次のように改正する。
  第四条第十二号の次に次の一号を加える。
  十二の二 公認心理師に関する事務のうち所掌に係るものに関すること。
 (厚生労働省設置法の一部改正)
第九条 厚生労働省設置法(平成十一年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。
  第四条第一項第八十九号の次に次の一号を加える。
  八十九の二 公認心理師に関する事務のうち所掌に係るものに関すること。
  第十八条第一項中「第八十七号から」の下に「第八十九号まで、第九十号から」を加える。
 (アルコール健康障害対策基本法の一部改正)
第十条 アルコール健康障害対策基本法(平成二十五年法律第百九号)の一部を次のように改正する。
  附則第七条のうち厚生労働省設置法第四条第一項第八十九号の次に一号を加える改正規定中「第四条第一項第八十九号」を「第四条第一項第八十九号の二」に改め、第八十九号の二を第八十九号の三とする。
  附則第七条中厚生労働省設置法第十八条第一項の改正規定を削る。
 (内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能の強化のための国家行政組織法等の一部を改正する法律の一部改正)
第十一条 内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能の強化のための国家行政組織法等の一部を改正する法律(平成二十七年法律第   号)の一部を次のように改正する。
  第十一条のうち厚生労働省設置法第四条第一項第八十九号の次に一号を加える改正規定中「同項第八十九号」を「同項第八十九号の二」に改め、第八十九号の二を第八十九号の三とする。
  第十一条のうち厚生労働省設置法第十八条第一項の改正規定中「「第八十七号から」の下に「第八十九号まで、第九十号から」を加え、」を削る。
  附則第二十八条のうちアルコール健康障害対策基本法附則第七条のうち厚生労働省設置法第四条第一項第八十九号の次に一号を加える改正規定の改正規定及び同法第十八条第一項の改正規定を削る改正規定中「第四条第一項第八十九号」を「第四条第一項第八十九号の二」に、「第四条第一項第八十九号の二」を「第四条第一項第八十九号の三」に、「八十九の二」を「八十九の三」に、「八十九の三」を「八十九の四」に、「改め、同法第十八条第一項の改正規定を削る」を「改める」に改める。
  附則第二十九条中「第四条第一項第八十九号」を「第四条第一項第八十九号の二」に、「同項第八十九号」を「同項第八十九号の二」に、「同項第八十九号の二」を「同項第八十九号の三」に、「八十九の二」を「八十九の三」に、「八十九の三」を「八十九の四」に改め、「、第十一条のうち厚生労働省設置法第十八条第一項の改正規定(同項中「第八十七号から」の下に「第八十九号まで、第九十号から」を加える部分に限る。)」を削る。

     理 由
 近時の国民が抱える心の健康の問題等をめぐる状況に鑑み、心理に関する支援を要する者等の心理に関する相談、援助等の業務に従事する者の資質の向上及びその業務の適正を図るため、公認心理師の資格を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

[全文引用おわり] 

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