【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

農業競争力強化支援法案提出、資材価格調査を「おおむね1年以内に行う」と明記する異例の附則

2017年02月10日 23時59分59秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

(13日投稿で、10日付にバックデートしました)

 「農業競争力強化支援法案」(193閣法21号)が、平成29年2017年2月10日(金)、提出されました。

 当ブログでは昨年8月の記事でこの動きを伝えましたが、上述のタイトルで、政府提出法案「閣法」として出されました。

 施行日は成立3か月後(公布の日から起算して3か月以内の政令で定める日)。附則第2条で、「農業資材価格調査はおおむね1年以内に行う」と明記しました。法案に施行日だけでなく、法律が政府に要求する調査の期限を明示するのは、異例の書きぶり。政府外与党議員(小泉進次郎自民党農林部会長ら)が逐条審査して立法したものであり、力の入りようを感じます。

 法案は、農業者と集荷業者間の取引状況に関する調査も義務付けており、これも1年以内に行うよう明記しました。

 全国中央会を廃止する改正JA法に続いて、資材販売業者及び集荷業者としてのJAを規制する法案で、今回は県中央会が影響を受けることになりそうです。JAなどの再編計画や、民間事業者の新規参入に向けて、官民ファンドの出資、政策金融、機構の債務保証などが盛り込まれました。減税措置は、すでにこの法案の成立を前提にして、「所得税法改正など平成29年度税制改正法案」(193閣法6号)に入っています。

 政府は同日、「農業機械化促進法廃止及び農研機構法改正案」(193閣法22号)と、「主要農作物廃止法案」(193閣法23号)もあわせて提出しました。193閣法23号は、当ブログが先月(

米の品種改良などのバイオゲノムの民間参入促進、主要農作物種子法廃止法案、第193回通常国会に提出へ

)報じました。193閣法22号は、「廃止法案」ですが、県庁による農機具の研究を、独立行政法人に移す内容。193閣法23号は、県庁の農林試験場の品種改良などですが、法律を廃止することで、民間企業の参入を促すねらい。両法案とも、県庁の品種改良・農機具研究をさせないのではなく、民間企業が県知事に申し出て参入しやすくなるのがねらいだと思われます。

 改革の方向性としては、JA全中廃止につづき、今回の3法案で、県中央会の役割の制限も、想定されるところです。

 第193回通常国会では、2007年ごろから続く、民進党の「農業者戸別所得法案」(政権時は法案未提出で、第1次第2次野党期に議員立法として提出)をめぐる二大政党による論争の集大成となる、政府と農業者が折半する「農業災害補償法改正案」が3月上旬に提出するはこび。農林水産委員会で、ここ4年前後続いている、与野党激突となり、法案審査の波が高くなることも考えられます。与党内での骨抜きに向けた巻き返し動きもあり得ます。

この記事の本文は以上です。

(C)2017  宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
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都市緑地法及び都市公園法改正法案提出、公園の整備・カフェを民間に開放する新自由主義、おととしの「公園内保育所特区」はわずか2年で全国恒久法に【追記有】

2017年02月10日 23時59分28秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

(13日投稿で、10日付にバックデートしました)

【追記 同年5月3日】

 下に述べた法律は、平成29年4月28日(金)の参議院本会議で賛成多数で可決し、成立しました。(参照、参議院ホームページ。)

【追記終】 

 「都市緑地法及び都市公園法改正案」(193閣法24号)を、政府は平成29年2月10日(金)の閣議で決定し、衆議院に提出しました。

●都市公園法改正条項で、民間企業の参入容易に

 今回の法案では、都市公園法の改正条項で、民間企業の公園リニューアルや、カフェ、レストランの設置が可能になります。これには、都市開発資金の貸付に関する法律にもとづく貸付が受けられるようです。

 公園整備のPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ、民間の活用による公的資本整備)が、10年から30年に延長されます。

●都市緑地法改正条項で、市長による固定資産税軽減、予算補助が容易に

 都市緑地法の改正条項では、民間の市民緑地整備で、固定資産税の軽減や予算補助を明記します。ここは市長と民間の関係になりますので、汚職が懸念されます。

●おととし成立の「公園内保育所特区」はわずか2年で全国恒久法に

 おととしの集団的自衛権安保国会(第189回国会)の延長国会で成立した改正特区法(平成27年法律56号)の「公園内保育所特区」(都市公園内における保育所設置の管理者による占用の許可)を、特区から全国へ広げる内容。

 (関連エントリー2015年4月特区法改正案、今国会に再提出「公証人特区」「地域限定保育士」「公園内の保育所」

 改正特区法からわずか2年で、全国に広げる恒久改正法案が出てきました。私自身、上にリンクを張った2015年4月の自分の記事で気づいたのですが、「地域限定保育士特区」はそのままのようです。全国どこでも、自治体が公園内に保育所を設置できるようになったのに、県と期間が限定された免許を持つ、一部の保育士さんは雇用継続に不透明感をもつかもしれません。

●公園への民間開放は、新自由主義のバイブル「フリードマンの資本主義と自由」の規制緩和リスト14のうちの1つ

 政府の規制をなくし、民間に売り渡す、新自由主義経済の元祖である、ミルトン・フリードマン教授の「資本主義と自由」(邦訳は村井章子さん、日経BP社発行)は、政府がやる必要がない仕事のリストの一つとして「国立公園」を上げています。このリストでは、小泉構造改革で、「郵便事業の民間(ヤマト運輸など)への開放」「高速道路公団民営化」などが実現しています。ただ、「公営住宅」は逆に充実する方向です。アンチ新自由主義の方も、「資本主義と自由」だけは、手元に揃えておいた方がよいかもしれません。

 このように公園への民間参入は新自由主義の権化であり、アメリカの財政難の際も最初に「シャットアウト」(閉鎖)されたのが公園です。明治維新後に、上野公園ができるまで、日本に「公園」はなかったわけですが、「外出するとお金を使わざるを得ない街づくり」がされた日本で、数少ないお金を使わない喫茶店。公園の在り方について、大所高所長期計画で考えることも必要でしょう。

 このようにステークホルダーに有利な規制緩和が、アベノミクス第3の矢の成長戦略だったというのが実態。しかし、法律として天皇が公布し、官報に全文が載りましたから、民主主義にもとるとは言い切れない。

 それともう一つ、特区法が2年で全国恒久法になること。この2点はアベノミクスの光と陰として、おさえておきましょう。

この記事の本文は以上です。

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[きょうの国会]参議院の組織及び運営の改革協議会設置、衆議院予算委員会は小休止

2017年02月10日 14時02分00秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

[画像]山本順三・参議院議院運営委員長、2017年2月10日、参議院インターネット審議中継からキャプチャ。

【参議院本会議 平成29年2017年2月10日(金)】

 国会同意人事があり、安藤裕子・国家公安委員らが、投票総数235、賛成235、反対0の全会一致で両院で同意されました。

 中央労働委員会公益委員などは、投票総数235で、「賛成214反対21」や「賛成227反対8」といった採決結果。全員が賛成多数で可決し、両院で同意されました。

 この後、昨年夏、愛媛選挙区での苦戦を逆転して当選した、自民党の、山本順三・参議院議院運営委員長が登壇。

 「さる1日に、伊達議長主宰の各会派代表者会議で合意した」と語り、

 参議院の組織及び運営の改革協議会(参議院改革協)の設置と、その設置要領を提案しました。全会一致で議決し、残り2年半の任期中に結論を出すことになりました。公職選挙法改正の周知期間を考えると、1年半未満しか、時間がありません。

【衆議院 平成29年2017年2月10日(金)】

 朝日新聞1面トップに「荒れる国会」という記事が載りましたが、きょうは、日米首脳会談などもあり、審議はありませんでした。

 金田法相(男性、平成研究会)、稲田防衛相(女性、清和政策研究会)がターゲットになっています。民進党の岡田克也前副総理は、同日のメルマガで「予算委員会で、我が党の若手が非常にいい質問をしています」と評価しました。

 法相や防衛相は初入閣組がつとめることが多いです。自民党内でも秋まで半年前後ある、法相や防衛相の椅子を懸けて、平成研7期生や清和会女性6期生あるいは福井県連が気もそぞろになってくるかもしれません。

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