【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

安倍首相がトランプ米大統領と会談、TPP断念、南シナ海などで、対中国・対ISの日本自衛隊の役割強化示唆

2017年02月11日 03時58分16秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

 日本の安倍首相は、米国ワシントンDCのホワイトハウスを訪れ、ドナルド・J・トランプ米国大統領と会談。日本時間の平成29年2017年2月11日(土)未明の午前3時(米現地時刻10日)過ぎから記者会見しました。

 安倍首相は記者の問いに対して「TPPについて大統領の考えは承知している」と述べました。TPPに関する説得はしなかったもようで、発効要件の引き下げも断念し、TPP漂流ではなく、TPP断念を示唆したものとみられます。

 「麻生副総理とペンス副大統領の分野横断的な対話をすることで合意した」と安倍さんは冒頭の発言で明かしました。

 産経新聞のタキタ記者の質問に対して、トランプさんは「為替の切り下げは、私は長い間苦情を言ってきた。他の人が思うより早く、私たちは公平な土俵をつくることができる」と語りました。大統領が「為替の切り下げ」という言い方をしたことから、当初懸念された、日米FTA為替条項による日銀量的金融緩和の変更ではないとみられます。伝統的な為替介入や、中国による公定の通貨切り下げを日米が牽制するなどの意図があると考えられます。大統領は量的緩和による通貨切り下げは念頭にない雰囲気でした。

 安倍首相は冒頭発言で、「アジア太平洋地域で、自由かつ公平なマーケットをつくる。アジア太平洋地域の平和と繁栄を確立し、日本も積極的平和主義で抑止力を維持し、在日米軍の重要性を再確認した」と語りました。そして、「力によるいかなる現状変更を認めない」「テロとの戦いの協力を強化する」としました。名指しを避けながらも、中国と、ISイスラム国との戦いについて、日本自衛隊が平和安保法制にもとづく関与を強めることを明示しました。

 大統領は冒頭発言で北朝鮮を名指ししてミサイル防衛での協力を明言。産経タキタ記者の質問に答えて、大統領は「きのう、中国の国家主席と電話会談した」とあかしました。冒頭発言にはありませんでしたが、前政権から続いて、日米による、経済・安全保障の「封じ込め」のレジームのなか、中国との対話を続けるしたたかさ、交渉術(Art of Deal)を見せました。

 首相はまっさきに「私の名前はABEあべ、だが、アメリカでエイブと呼ばれることがある」としながらもエイブラハム・リンカーン大統領と同じなので光栄だとし、「アメリカはチャンスの開かれた国だ。過去も、現在も、これからもだ」と述べました。トランプ政権の、黒人など人種差別的な排外主義を牽制したと思われる発言です。

 記者会見後の共同発表で、トランプ大統領は今年の来日招待に応じる姿勢をしめしたようです。

 このエントリー記事は、NHK、CNNを視聴して作成しました。トランプ大統領の発言の一部は、NHKの同時通訳にもとづいている部分があります。

 (C)2017年、宮崎信行。