【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

[きょうの国会]「学校法人」国会に、昨年の「保育園(社会福祉法人など)落ちた日本死ね国会」から1年

2017年02月23日 17時37分18秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

 衆議院での当初予算案審議は「学校法人国会」となりました。

 文部科学省から学校法人早稲田大学など計19件以上の再就職や、文科省・県教委をめぐる、学校法人森友学園の私立小学校建設にともなう国有地の払い下げ問題の2点が焦点となっています。

 私は2012年の「3党合意国会」以降、大学全入時代といわれる学校法人の過剰分を、社福法人などが経営する保育園に移すべきだとの考えを強く打ち出しています。森喜朗元文部大臣・東京オリパラ組織委会長率いる清和会・学校法人利権がようやく陽の目を浴びることになりました。

【平成29年2017年2月23日(木)衆議院予算委員会】

 平成29年度予算案は15日目。分科会の2日目及び一般質疑の5日目となりました。

 第四分科会では、山口県で学校法人を経営する自民党清和会の1期生(比例中国ブロック単独)が登場。「私が勤務する(経営する)学校では、車いすの生徒がいます。先日、初めての北海道スキー合宿のさいは、友達同士が手助けしてくれた。障害のある生徒から受ける心の糧は多い」と語りました。同じ派閥の先輩である、松野博一文部科学大臣は「委員は私立学校を経営しているということで、現場の視点を聞かせてほしい」と語りました。学校法人理事長と衆議院議員の兼職は認められており、政務三役入りする場合は一時的に退く必要があります。清和会と学校法人の蜜月ぶりを感じる場面でもありました。

 第四分科会では、民進党の小宮山泰子さんが冒頭、「天下り問題の内部調査が、省内の情報公開で、ここまで明らかになったのは、松野大臣がこれまで文部科学省と培ってきた信頼関係の賜物だと思う」と率直にねぎらう場面がありました。私も小宮山さんに同感です。一方、民進党の蓮舫代表は同日午後の定例記者会見で「天下りの十数件のリストのうち、どれだ予算案に口利きしたかの資料はまだ出されておらず、強く抗議する」と語りました。

 第一分科会乃至第八分科会は、午後12時過ぎ、ほぼ同じ時刻に終えました。8人の主査が午後の予算委で報告=後述=。

 午後の部の一般質疑5日目では、学校法人森友学園と土地の払い下げが民、共から集中的に取り上げられました。学校法人の問題、国有地の払い下げの問題は、自民党政治そのものだと思います。ようやく国会で取り上げられるようになったか、という思いです。ただ、学校法人については、文科省と県教委(府教委)のはざま、土地については、国交省と財務省のはざまで追及しきれない感じでした。私も政府参考人に同情します。政権交代と情報公開なき政治で、どうにもならない状況になってしまったとも思います。

 野党が一巡しただけで、午後5時過ぎにきょうの質疑は終わりました。大臣が退席し、8つの分科会の報告がありました。

 第一分科会の西村康稔主査は「天皇の公務の負担軽減、IRカジノ施設の在り方、南スーダンPKOなどを質疑した」と報告しました。

 第二分科会の武藤容治主査は「固定資産税の収納の在り方や、ふるさと納税を質疑した」。

 第三分科会の葉梨康弘主査は「テロ等準備罪の意義と課題について」。

 第四分科会で2期生の大串正樹主査は「奨学金の充実、私立小学校の設置の是非などが質問された」と語りました。

 第五分科会の菅原一秀主査は「働き方改革や2019年ラグビーワールドカップ(W杯)の医務室の在り方などが議論された」。

 第六分科会主査で2期生の野中厚さんは「米の生産調整の見直しや、築地市場の豊洲移転についての質疑があった」と語りました。。

 第七分科会の宮下一郎主査は「商店街の振興や、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉と汚染水の取り組みなど」。
 

 第八分科会で公明党の赤羽一嘉主査は「河川の災害対策、地域経済における道路交通の在り方、JR東海中央リニア新幹線の課題」などを議論したとし、詳しいことは会議録を参照してほしいと報告しました。

 次回はあす午前8時55分から開くことにして、散会しました。あすで衆議院のNHK国会中継はいったんおわり、数カ月程度ないかもしれません。

 さて、学校法人早稲田大学が経営する、同大政治経済学部政治学科での私の同級生(女性)のご次男が、学校法人麻布学園が経営する麻布中学校の入学試験に合格し、4月から入学することになりました。他の男性のご親族は皆、有名私立小学校からエスカレーターのようです。ママは地方の公立高校卒業です。私も被害にあった東京中学受験産業の「勝利ママ」が早稲田大学政治経済学部政治学科卒業であることに、素直に喜びながらも、やはり頭は遺伝(環境遺伝)の要素が強いことを初めて目の当たりにした思いです。学校法人をめぐる様々な課題が、人間の欲望から切り離して、国益の観点から語られることをのぞみます。それが家庭の幸せにつながります。ちなみに、私学の監督官庁は、東京都教育委員会(県教委)。部活などで大会に出る時には、市教委の世話になることになります。

【衆議院総務委員会 平成29年2017年2月23日(木)】

 「地方税法改正案」(193閣法10号)、「地方交付税法改正案」(193閣法11号)の審議は3日目(実質審議2日目)。

 野党のみ一巡しました。これで質疑は2巡。その後、委員長はきょうの散会を宣言しました。質疑は終局していません。次回は公報で伝えられ、予算委員会の採決にあわせて開会し、採決に進む見通し。予算案と税制改正法案が一体で参議院に送られることは確実な情勢。

この記事の本文は以上です。

(C)2017  宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
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