【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

[きょうの国会]予算は与党ペース変わらず、衆院委員会で気になる「大臣所信は災害復旧から」【追記有】

2017年02月17日 17時34分23秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

 別エントリーで速報しましたが、税制改正法案が国税・地方税とも審議入り。来週火曜日午前9時から財金委、総務委で審議されます。

 一般法案(恒久法案)を審議する、衆議院の委員会は、与党が年度内に成立させたい法案がある、国土交通委員会、環境委員会、内閣委員会で、大臣の所信的発言がありました。国土交通、環境大臣なども災害の復旧復興から所信演説を始めており、各府省が予算を取りやすい風潮が透けて見えました。

【衆議院予算委員会 平成29年2017年2月17日(金)】

 平成29年度予算案は、11日目(一般質疑3日、地方公聴会1日含む)となりました。

 集中審議3日目で、「安倍内閣の基本的姿勢・社会保障等」。

 テレビ・ラジオ入りでは佳境といったところですが、与党ペースは全く崩れず、予算案は早くも来週に衆議院通過を巡る攻防になります。

 与党からは、兵庫6区の大串正樹さん、埼玉4区の豊田真由子さん。ともに、2012年初当選ですが、若手地方議員が民進党総支部長に就任している選挙区です。公明党の伊佐進一さんは大阪6区ですが、大阪府内の3つの公明党選挙区では得票率が最も低い成績でした。自民党は無派閥か、清和会か、という起用が多く、自民党1月調査の「自公で遥かに過半数だが、3分の2には届かない」のペーパーを私は持っていませんが、当選2期生の厳しさがあるようです。

 大串さんは働き方改革、豊田さんは診療報酬と介護報酬双方の6年に1度の大改定、伊佐さんは前任の福島豊元衆議院議員から受け継いだ発達障害者支援法の議員連盟について。

 民進党は長妻昭筆頭理事が切り込み、「労働基準法36条など改正案」(189閣法69号)の撤回を要求しましたが、総理ははねのけました。大西健介次席理事に対して、安倍首相は、36協定の上限規制は働き方改革会議で過半数で決める筋合いのものではないとして、今国会に提出しないスケジュール感を隠しませんでした。

 南スーダンPKOの「日報」問題。辻元清美さんは防衛省・自衛隊が「賞恤金」(しょうじゅつきん)を訓練で、上限6000万円から9000万円に引き上げた訓令について。稲田防衛相は「賞じゅつ金の引き上げは、リスクの増減に関係なく新しい任務の付与によるものだ」と語りました。

 共産党の本村伸子さんは、昨年10月付のエントリーでもとりあげた、JR東日本リニア中央新幹線に対する鉄道・運輸機構からの3兆円(40年返済=30年据え置き)の融資について。うち1・5兆円は審議中の予算案に入っています。本村さんは、昨年の麻生財務大臣の、40年後まで生きていないから責任をとれないという趣旨の発言に言及。


当ブログ内関連エントリーから抜粋引用]

 (平成28年度第2次補正予算案の衆議院予算委員会での、)締めくくり質疑では、共産党比例東海1位の1期生、本村伸子さんが質疑。強く反対し、「リニアへの負の影響はないのか」と安倍首相にただしましたが、首相は「大阪までの全線開通を最大8年間前倒しできる」と答弁しました。麻生財務相が「私はその頃100歳を過ぎている」と答弁すると、本村さんは「生きていてください。生きていて責任をとってください」と発言しました。


[当ブログ内関連エントリーから抜粋引用おわり]

 本村さんは、ふだん属する国土交通の石井啓一大臣(公明党・北関東)ではなく、自民党総裁としての安倍首相に質問。ここで、石井国交相が挙手し、「事実関係を説明したい」としながら「自民党の公約は知らない」と語り、本村さんは「だから、自民党総裁に聞いている」と返すと、石井大臣が怒気を見せました。国会内で公共対決が見られることになりました。こういう複雑な構図でなく、日本の国会も英国のようにシンプルにしないといけません。

 質疑が終了。大臣が退席。この後、昨日の地方公聴会の報告がありました。第1班は三菱重工業小牧製作所訪問後に、愛知県内の地方公聴会で、豊田・中経連会長らを公述人にして会議。第2班は、沖縄県で地方公聴会。報告が終わり、次回の委員会は、週明け20日(月)午前9時から開くことにして散会しました。

【衆議院国土交通委員会 平成29年2017年2月17日(金)】

 国政調査(たとえば、河川・道路・港湾・住宅に関する事項などを含む)を全会一致で議長に求めることを決めました。

 続いて、国政調査の国土交通政策の基本的な施策について。

 石井啓一大臣が所信的発言をしました。

 「昨年の糸魚川大火を受けて、密集市街地対策を最優先します。国交省の強みである現場力を活かす」と語りました。今国会の大臣所信では、総務大臣、国土交通大臣、後述の環境大臣が災害復旧から話し始めています。こういうのは、各府省は横串をさしていないですから、各府省とも、災害復旧復興というと、予算が付きやすい風潮が、あるのではないかと感じました。だれが総理大臣でも財政が厳しいことは変わらず、復興特会の精査も必要な時期でしょう。

 副大臣が平成29年度の国交省分の予算案を説明して、散会しました。次回は未定。

【衆議院環境委員会 平成29年2017年2月17日(金)】

 国政調査(たとえば、循環型社会の形成に関する事項を含む)の承認要求を議決。

 山本公一環境大臣の所信では、「現在の環境行政の柱は東日本大震災からの復興創生を加速することと、循環型社会の形成だ」としました。副大臣は「環境省の一般会計は0・3兆円だ」と説明しました。一般会計はいまだに2011年の1・5倍程度です。きょうの一部報道では、環境省は現在3か所に分散しており、日本郵政ビル(旧郵政省、経産省の隣で、財務省・文科省の向かい側)に転居する観測が浮上しているようです。外局の原子力規制委員会も同居する計画。今国会の法案でも、環境省が過酷な職場になっていることが垣間見えるものもありますので、私としては、今国会では環境省の体制についてもテーマの一つにしていきたいと思います。

 所信、予算説明に続き、衆では経産委と同じく、富越公害等調整委員長が昨年の報告。次回は21日(火)午前10時。

【衆議院内閣委員会 平成29年2017年2月17日(金)】

 大臣の所信表明がありました。

 菅官房長官は「まず天皇陛下のご公務の負担軽減について」と首相施政方針演説と同じ内容から入り、すぐに内閣官房・内閣府の課題や、来年度予算案について「内閣府は3・5兆円」と説明しました。

 この後、松本国家公安委員長、高市マイナンバー担当大臣(総務相)、金田特定秘密保護法担当相(法相)、鶴保沖北相、石原経財相、加藤一億総活躍相。

 加藤さんは、「第4次男女共同参画計画にもとづき」内閣府男女共同参画局の運営すると述べました。

 続いて、山本幸三・行革相は、「特区は、規制改革推進会議にもとづき検討する」「公文書管理については、国会周辺に国立公文書館を設けるよう検討する」と語りました。この後、丸川五輪相。

 さらに、石井啓一水循環政策担当相(国土交通相)が所信を述べました。最後に、国交省の政務三役であり、末松副大臣と、根本政務官の2人が、内閣府の副大臣、政務官としてあいさつしました。昨年8月から内閣府をかねる、国交省の2人だけが、あいさつをしたのかはよく分かりませんし、あまり興味も無いです。

【衆議院財務金融委員会 平成29年2017年2月17日(金)】

 既に店開きは済んでおり、前日の総務委に続き、税制改正法案が審議入り。

 まず、提出者全員から撤回の要求があったとして、

 古川元久さんら提出の「所得税など平成28年度民進党税制改正法案」(190衆法10号)=きょねん2月14日水曜日提出=

 山尾志桜里さんら提出の「消費増税の延期及び給付つき税額控除導入検討法案」(190衆法52号)=きょねん5月25日水曜日提出=

 の両案が、全会一致で「撤回」と決まりました。2つの民進党対案(提案)は消費増税延期を含む昨年の税制改正法成立で内容が古くなっていました。撤回にともない、両法案は衆参とも「廃案」になりました。

 麻生財務大臣が「所得税法改正など平成29年度税制改正法案」(193閣法6号)を趣旨説明。

【追記 投稿日夜10時】

 民進党は同日、基礎控除・配偶者控除・扶養控除を、所得控除から税額控除にするなど、非課税・低所得世帯にやや有利とされる所得税改革条項を盛り込んだ対案を提出しました=民進党ニュース=。議案番号はおそらく「193衆法2号」になるとみられます。来週の財金委で、閣法と同時審議になるかどうか、注目されます。

【追記終わり】

 衆財金委、次回は21日(火)午前9時から。

【参議院 平成29年2017年2月17日(金)】

 審議はありませんでした。

  決算委員会の視察は2日目で、九州電力川内原子力発電所に行きました。

この記事の本文は以上です。

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[お知らせおわり]  


平成29年度税制改正法案は、衆・委員会で審議入り、21日から質疑【追記有】

2017年02月17日 13時02分24秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

 所得税法改正など平成29年度税制改正法案(193閣法6号)が、平成29年2017年2月17日(金)の衆議院財務金融委員会で審議入りしました。

 前日に、衆議院本会議で代表質問。地方税法改正案(193閣法10号)も16日に本会議で代表質問し、そのまま、衆議院総務委員会で審議入りしました。

 実質質疑は、両委員会とも、21日(火)午前9時から。

 衆財金委では、冒頭、昨年、民進党が対案として提出していた「税制改正法案」(190衆法10号)と「消費増税延期と給付つき税額控除法案」(190衆法52号)の2本は、提出者からの要望で、撤回され、廃案となりました。民進党は新しい対案を、きょう、提出。


【追記 投稿日夜10時】

 民進党は同日、基礎控除・配偶者控除・扶養控除を、所得控除から税額控除にするなど、非課税・低所得世帯にやや有利とされる所得税改革条項を盛り込んだ対案を提出しました=民進党ニュース=。議案番号はおそらく「193衆法2号」になるとみられます。来週の財金委で、閣法と同時審議になるかどうか、注目されます。

【追記終わり】

 このエントリー記事の本文は以上です。、