【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

雇用保険法の更なる改正法案、2018年通常国会以降に提出へ、「A社週10時間」「B社週10時間」の兼業も対象へ

2017年02月21日 21時38分00秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

 このエントリーの投稿日である、平成29年2017年2月21日の時点では、「雇用保険法改正案」(193閣法3号)が衆議院で審議入りを待っていますが、早くも次の改正法案の構想が浮上しました。

 これは、同日付日経新聞が報じたもので、雇用保険の対象を拡大。週合計20時間以上勤務で適用するようになり、A社週10時間、B社週10時間の兼業でも対象になるとするもの。

 政府は、2018年通常国会以降に改正法案を提出する、と報じています。

 スケジュール感としては、今2017年夏に有識者検討会を新設し、その後に、労政審で議論。早ければ2018年に法案提出という考えのようです。

 もちろん、雇用保険の対象になる、ということは、保険料を払うことになるでしょう。

 通例、給与所得者の場合は、労働災害保険料と雇用保険料を、労働保険料として天引きされます。2つの保険料が1つの費目で天引きされるのは、これが唯一。

 内閣官房にある働き方改革会議や、外国人材などを活用する内閣府の特区担当、外国人技能実習生の法務省などとも協議されるのでは。

 報じているのは、日経経済1面で、財務省・経産省・厚労省など経済官庁と日銀を主に報じるページ。

 多少うがった見方ですが、この日の国会では、財務省・総務省執筆の税制改正法案の審議が始まり、103万円の壁などと呼ばれる、配偶者のパートタイム労働をめぐった所得税の配偶者控除の見直しで、厚労省を呼んでの審議が、与野党ともされました。これは、パートタイムで働く労働時間が増えると、社会保険料も上がり、税負担が軽くなっても、可処分所得がへるかもしれない、との懸念が与党も持っているようです。事前の部会や質問通告で、この動きを厚労省が察知していたことは間違いないでしょう。


 最強官庁とよばれる財務省も、法務省から商業登記の情報が流れてくるのに、厚労省が持つ雇用保険料や厚生年金保険料のデータが財務省に流通しないことに懸念を持っているとされています。

 「痛税感」が無い税、ともいわれる社会保険料負担と税負担の双方を勘案した税制の必要性が急務の課題となりつつある中での、厚労省の何らかの思惑含みの発信だ、と感じました。

この記事の本文は以上です。

(C)2017  宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
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[きょうの国会]「森友学園」「南スーダン」は各委員会に横展開、税制改正法案審議入り、予算採決は週またぎ

2017年02月21日 17時07分34秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

[写真]河津桜と国会議事堂、きのう、2017年2月20日、国会前庭で、筆者・宮崎信行撮影。

 朝9時から税制改正審議がスタート。きょうは既に関連エントリーを、1本2本、書きました。予算審議は、公聴会。金曜日がプレミアムフライデーとして早期退庁奨励日のため、衆議院採決は週をまたぐ見通し。

【衆議院予算委員会 平成29年2017年2月21日(火)】

 平成29年度予算案は、13日目(そのうち一般質疑が4回、集中審議は3回開催済み)。

 公聴会。

 午前の部と、午後の部ともに2時間半コースで開かれました。

 午前の部はボランティアセンターの今井さんが登場し、南スーダンPKOについて「マシャル派が帰ってくるかもしれない」と語りました。給付型奨学金をめぐる議論もありました。午後の部では、中小企業の事業承継について経営者の人の意見。連合事務局長や全労連幹部も公述しました。

 なお、身体的特徴なので詳述しませんが、ある公述人がなで肩でした。国会議員にはあまりなで肩はいません。ここ半年くらい、私もまた立候補したくなってきたのですが、私もなで肩なので、ああやって意見を述べる人の側がいいのかもしれないと感じました。

【衆議院環境委員会 平成29年2017年2月21日(火)】

 山本公一大臣の所信的発言に対する一般質疑がありました。原子力規制委員会の提出した法案が※こめじるし指定されていますが、きょうは審議入りせず散会しました。

【衆議院財務金融委員会 平成29年2017年2月21日(火)】

 「所得税法など平成29年度税制改正法案」(193閣法6号)が実質審議入り。

 自民党の勝俣孝明さんが、配偶者控除の適用年収の引き上げと、NISA(ニーサ)について質問。厚労省の馬場成至政務官(自民党参議院議員)が「厚生年金の加入拡大を促し、労働局が労使交渉を呼びかける」と、社会保険の加入も呼びかけていく考えを答弁しました。

 自民党の山田美樹さんは、前経済産業政務官ですが、「研究開発税制の充実が必要だ」としました。麻生財務相は「新薬の開発というと、アメリカ、スイス、日本、イギリスが進んでいる。ドイツはだいぶ遅れた」とし、イノベーションの余地があることを強調しました。今次改正案では、前期比での増減という基準が研究開発税制に加わる内容です。

 公明党の上田勇さんは「中小サービス業の生産性向上のための税制が必要だ」としました。

 民進党の古川元久さんは「昨夏、自民党税調で配偶者控除の抜本改正をしようという話になったようだ」と、テレビ・社説・世論調査を巻き込んだ議論を振り返り、その骨抜きともいえる閣法と比較して、「民進党は、基礎控除、配偶者控除、扶養控除を所得控除から税額控除に変える法案を提出した」としました。パナマ文書で話題になり、今次法案でも強化される国際課税について古川さんは「国際税務専門官は359人しかいない。地方にもお金持ちがいる」とし、体制強化を求めました。

●森友学園への国有地売却は、民進党と共産党が追及

 現在たいへん話題になっている、学校法人森友学園(もりともがくえん)が大阪の国有地(旧運輸省大阪航空局所有)を購入した問題では、民進党の今井雅人さん、共産党の宮本岳志さんらが追及しました。

 共産党の宮本徹さんは「税制中立な法案になっている」とし、財政難のおり、課税を強化すべきだとの認識を示しました。共産党は「消費税反対」のポスターをよく張っており、もちろん所得税累進課税の強化、大企業の内部留保への課税をずっと言っていましたが、ちょっと意外な気がしました。

【衆議院総務委員会 平成29年2017年2月21日(火)】

 「地方税法改正など平成29年度税制改正法案」(193閣法10号)と「地方交付税法改正案」(193閣法11号)

 自民党の1期生である、宗清皇一さんは「介護の現場などでは年末の就労調整がある」と指摘しながら、「配偶者特別控除の見直しで、国税は400億円増収になるが、地方税は500億円減収になるのは問題だ」として、地方交付税の措置などを求めました。

●タワーマンションで階数ごとの固定資産税増減で細かい審議

 今次改正の特徴は、これから建設されるタワーマンションの固定資産税を階数ごとに増減させる細かい内容が入っています。これについて、自治省出身の民進党の議員が「階数だけでなく、南向きや、角部屋なども考慮しないと、公平ではない」とより細かい話をしており、面食らいました。

●水道法改正案(まもなく提出)に共産党は反対のかまえ

 当ブログでは、水道法改正案提出予定に関するエントリーにアクセスが多く集まっています。共産党の田村貴昭さんは、厚労省健康局水道課を呼び、水道の民営化について質疑。田村さんは公営水道の老朽化に理解を示しながらも、災害時などでの民間委託に懸念を示しました。政府側は、世界では最公営化しているケースもあり、2・5億人分が民営化後に再公営化されたとする国連の機関の試算もあることを答弁。田村さんはパリの事例などを上げて、水道法改正案(まもなく提出)に対して同党が厳しい姿勢で審査するかまえをみせました。

【参議院 平成29年2017年2月21日(水)】

 ありませんでした。

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麻生財務相「パートタイム社会保険料と時間をかけて検討」配偶者控除見直しで、財務・総務両委で厚労省呼ばれる

2017年02月21日 13時49分33秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

[画像]厚生労働省の馬場成至政務官(自民党参議院議員)が衆議院総務委員会でたびたび答弁、2017年2月21日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 税制改正法案の審議では、配偶者控除を使える要件の緩和(合計所得金額の上限引き上げ)をめぐる、「平成29年度の所得税法改正案」(193閣法6号)、地方税法改正案(193閣法10号)で、社会保険料との関係を問われる場面が目立ちました。

 実質審議初日の、平成29年2017年2月21日(火)の衆の財務金融、総務の両委員会ではともに、厚労省の幹部を呼びました。

 総務委では、厚生労働省の馬場成至政務官(自民党参議院議員)が

 「社会保険料の負担上げを勘案しても、プラスになる」と民進党の奥野総一郎さんに答弁しました。

 財金委では、民進党の古川元久さんが「103万円の壁、130万円の壁という言葉があるが、実際には税の壁は無い。就業調整の緩和につながらないのではないか」と質問。麻生財務大臣も「たしかに、法律的に103万円の壁は無く、あるのは社会保険料の壁だ」と認めました。

 同委で、民進党の重徳和彦さんから「働く人に中立的な税制を確保できるのか」と問われた麻生財務相は「時間をかけて議論する」と語り、厚労省との検討を語りました。ただ、「時間をかけて」と語ったことから、今次改正ではなく、来年、再来年以降に棚上げしたとも言えます。

 重徳さんは、法人経営者が社会保険料の重さなどを勘案して、個人事業主になる、「個人成り」があるとし、社会保険料と税の関係について整理するべきだとしました。これに対して、厚労省事務方は「私は事業経営をしたことが無いので分かりにくい面もある」としながらも、検討していく必要性は語りました。

 きょうの審議は先週確定していましたが、きょう付けの日経新聞5面は、社会保険料のひとつ、雇用保険料を複数の仕事をかけもちするパートタイム労働者から徴収する案を審議会にかけて、来年の通常国会に法案を出したい意向を報じました。これは別エントリー記事で後ほど書きますが、50年戦争ともいわれた、財務省の国税、総務省の地方税の対立よりも、厚労省の社会保険料をめぐるかけひきが活発になりそうです。

 返す返すも、なぜ、「消費税8%」「消費税10%」だけに、あれだけ、狂信的な国会内外の関心が集まってしまったのか。世の無情を感じます。

 [きょうの国会]のエントリー記事は後ほど、書く予定です。

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配偶者控除の見直しで、国は400億円増収、地方は500億円減収、税制改正法案実質審議始まる

2017年02月21日 09時17分43秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

 「所得税法など平成29年度税制改正法案」(193閣法6号)は、平成29年2017年2月21日(火)の衆議院財務金融委員会で実質審議入りしました。

 同院総務委員会でも、「地方税平成29年度改正法案」(193閣法10号)及び「地方交付税法改正案」(193閣法11号)が同時に審議入り。

 総務委の質疑の中で、与党議員は、「国税が400億円増収、地方税が500億円減収になる見通しだ」と語り、政府側が認めました。

 改正条文は、所得控除38万円を使える、 配偶者の所得上限を引き上げる内容。

 配偶者の年収が増えることで、非課税世帯(所得税ゼロ)から、新たに課税世帯になる世帯がいることで、国・所得税が増税になると思われます。一方、地方税である住民税は、年収にかかわらず、均等割があるので、課税世帯(課税ベース)に増減はあまりなく、増えた所得控除の総額に、住民税率をかけた金額が減収になる、ということだと思います。

 自民党の宗清皇一さんに対する政府の答弁。宗清さんは、与党議員ですが、国会審議の場で、自治体への地方交付税措置をするよう、高市総務相に求めましたが、総務省からは特に返答はありませんでした。

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