渡辺恒雄あとつぎ宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

2019年秋以降に法案提出も、マイナンバーカードの海外継続利用、総務省研究会が法務省との検討を要請、フィリピン夜逃げは困難に?

2018年09月03日 10時52分38秒 | 第201回通常国会(2020年1月から6月)「コロナ感染症」

 各省が検討し、次々と法制化されている、「所有者不明土地」への対策として、海外転出者にマイナンバーカードの継続利用ができるように、総務省が、法務省など各省と交渉することになりました。

 2019年秋以降に、国会に、住民基本台帳法やマイナンバー法などを一部改正する法案が提出されることもありそうです。

 これは、「住民生活のグローバル化や家族形態の変化に対応する住民基本台帳制度等のあり方に関する研究会」(小幡純子座長)が先月まとめた「最終とりまとめ」が指摘しました。

 このなかで、所有者不明土地を減らすため、住民が市町村外に提出した際には、住民票の除票を150年間保存することを市町村に求めました。しかし、海外転出者については、直近の国内在住市町村の「除票」から探しても「直近の除票」が「現在の状況」をそのまま反映しているとはかぎりません。そのため、本籍地市町村が持つ「戸籍の附票」の方が「国外転出先を管理しているのでなじむ」と研究会が報告。これを受けて、研究会の事務局を務めた総務省が、法務省など関係省庁に対して、マイナンバーカードを海外でも有効に活用してもらうことをを検討するよう働きかけることになりました。

 もちろん、国外転出者には、運悪く国内で事業に失敗して、国内の債務者から逃れるために、夜逃げして、フィリピンに高飛びしている男性もいっぱいいます。そもそも、事業者を動かす資本主義とは(1)所有権の絶対性(2)契約の自由ーーの2つの原則でできています。なおで、貸借の契約も、債務者と債権者は半分ずつ悪い。これが契約自由の原則。なので、フィリピンに夜逃げするのは、資本主義経済のプレーヤーにとっては「当然の権利」。何も恥じることなどありません。夜逃げする方と、夜逃げされた方の、瑕疵は半分ずつ。

 とはいえ、海外でもマイナンバーカードと聞くと起業マインドを失速させて国益を損ないかねません。このような観点からも、マイナンバーカードの海外での利用促進には、慎重な検討が求められます。マイナンバーカードをめぐる、官と民の「権力の攻防」は、筆者としては興味深く見守っているところです。

このエントリーの本文記事は以上です。

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住民基本台帳法など改正案、2019年通常国会に提出のはこび、住民票除票150年保存、所有者不明土地

2018年09月03日 10時21分36秒 | 第198回通常国会2019年1月、改元、参院選へ激闘

[写真]総務省を背にする宮崎信行、先月2018年8月撮影。

 政府は「住民基本台帳法改正案」を、2019年1月召集の通常国会に提出することにしました。与野党の審議のうえ、新元号に前後して成立する公算が高そうです。

 内容は、住民票除票を150年間保存するように市町村に義務付けるのが柱。

 これは、先月平成30年2018年8月22日(水)の「住民生活のグローバル化や家族形態の変化に対応する住民基本台帳制度等のあり方に関する研究会」(小幡純子座長)の最終とりまとめを法制化するものです。

 法案は、(1)住民票除票の150年保存(2)電子証明書のスマートフォンでの活用(3)健康保険証のマイナンバー利用で暗証番号の簡略化ーーの3点を、1本に束ねたり、数本に分けて出し、総務省が国会に呼びかけることになりそうです。

 上記の研究会では、転居時に市町村がつくる住民票の除票の長期保存のほかに、市町村がデータを引き継いで「住民履歴票」(仮称)というものをつくる構想を検討。しかし、有識者は「プライバシー保護の観点から慎重な配慮が必要だ」として、「やるべきでない」と結論付けました。事業に失敗して夜逃げしたり、DV夫から逃げたりするうえで、住民票をつくらない人が増えそうですから、妥当でしょう。

 研究会は、所有者不明土地を作らない観点から、海外に転出する日本国民が、マイナンバーを海外で継続的に利用できるようにして、情報がつながる必要性を指摘。これは、総務省のほかに、法務省などとの検討が必要なことから、二段階の長期的な検討課題として、2019年通常国会での法改正項目案の提出は先送りする見通し。

 「所有者不明土地」をめぐる対策は、農林水産省、国土交通省が相次ぎ「法制上の措置」に成功。7年前は、東日本大震災復興にあたって、民主党の黄川田徹元総務副大臣(昨秋引退)などが提出した議員立法には反対論が強くて挫折しました。しかし、高齢化と昭和22年改正民法による法定相続人の倍増により、細切れな土地でしかも所有者が不明という絶望的な状況が全国で相次いでいます。

 私なんかは、所有者が細切れの土地を公用地として買収するときに説得してハンコを集める仕事ができる人が、市町村で副市長になるエリートコースだと、思っていた時期もありますが、全国どこでも、一気に問題が噴出して、にっちもさっちもいかない状況が頻出しているようです。

 国が主導権を持って所有者不明土地問題にあたることで、市町村、家主導の土地活用で、なるべく大資本不動産企業主導の再開発は、新幹線駅前ぐらいにしてもらわないと、民主主義政治が壊れかねないので、ぜひ、各省の担当の方はがんばっていただきたいです。

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