各省が検討し、次々と法制化されている、「所有者不明土地」への対策として、海外転出者にマイナンバーカードの継続利用ができるように、総務省が、法務省など各省と交渉することになりました。
2019年秋以降に、国会に、住民基本台帳法やマイナンバー法などを一部改正する法案が提出されることもありそうです。
これは、「住民生活のグローバル化や家族形態の変化に対応する住民基本台帳制度等のあり方に関する研究会」(小幡純子座長)が先月まとめた「最終とりまとめ」が指摘しました。
このなかで、所有者不明土地を減らすため、住民が市町村外に提出した際には、住民票の除票を150年間保存することを市町村に求めました。しかし、海外転出者については、直近の国内在住市町村の「除票」から探しても「直近の除票」が「現在の状況」をそのまま反映しているとはかぎりません。そのため、本籍地市町村が持つ「戸籍の附票」の方が「国外転出先を管理しているのでなじむ」と研究会が報告。これを受けて、研究会の事務局を務めた総務省が、法務省など関係省庁に対して、マイナンバーカードを海外でも有効に活用してもらうことをを検討するよう働きかけることになりました。
もちろん、国外転出者には、運悪く国内で事業に失敗して、国内の債務者から逃れるために、夜逃げして、フィリピンに高飛びしている男性もいっぱいいます。そもそも、事業者を動かす資本主義とは(1)所有権の絶対性(2)契約の自由ーーの2つの原則でできています。なおで、貸借の契約も、債務者と債権者は半分ずつ悪い。これが契約自由の原則。なので、フィリピンに夜逃げするのは、資本主義経済のプレーヤーにとっては「当然の権利」。何も恥じることなどありません。夜逃げする方と、夜逃げされた方の、瑕疵は半分ずつ。
とはいえ、海外でもマイナンバーカードと聞くと起業マインドを失速させて国益を損ないかねません。このような観点からも、マイナンバーカードの海外での利用促進には、慎重な検討が求められます。マイナンバーカードをめぐる、官と民の「権力の攻防」は、筆者としては興味深く見守っているところです。
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