[写真]国土交通省、今月2018年9月、宮崎信行撮影。
第2次第3次安倍内閣の、総務省・国土交通省・農林水産省が法務省とともに進めてきた「所有者不明土地」の問題で、行政が利用できるようにする施策に加えて、所有者不明土地の発生抑制そのものにとりくむことになりました。
2020年通常国会に「土地基本法改正案」などを提出するかまえ。
先週、2018年9月20日(水)国土審議会土地政策分科会特別部会は、「人口減少社会における土地制度の在り方」として「土地が適切に管理され、利用されるために所有者が負うべき責務」について話し合うことを決めました。今月から来年2月まで4回程度開いて、とりまとめる日程も決めました。
住宅新報(2018年9月25日付)2面によると、1989年に成立した土地基本法は、時代背景から「土地は利用価値があり、その価値は上がるもの」という認識が前提となってつくられているとしています。
これについて、20日の特別部会では「所有権や利用権だけでなく管理権の制定も大事」と増田寛也委員(野村総合研究所顧問)が提案。部会長の山野目章夫早大教授らが、管理、保全など「管理権」として提起された言葉について、ニュアンスを考えていくことを議題にすることにしました。増田委員は「土地の放棄制度も議論すべきだ」と語りました。他の委員から「登記を義務化すると登録免許税がかかる。しかし土地を放棄したら本人が楽になるだけという制度をつくってもいけない」と提案しました。上記住宅新報記事をもとに、20日会合のやりとりを再現しました。
国交省は特別部会に来年度概算要求と税制改正要望の内容も示しましたが、このなかに、所有者不明土地の発生の抑制にむけた施策はまだ含まれていないようです。
特別部会は、相続登記の義務化について、法務省の検討に期待する考えを示しました。
この法務省の動きについては、当ブログでも、「戸籍法改正案を2019年通常国会以降に提出へ、マイナンバーと戸籍謄本副本の紐づけなど法制審議会に答申
」「2019年秋以降に法案提出も、マイナンバーカードの海外継続利用、総務省研究会が法務省との検討を要請、フィリピン夜逃げは困難に?」といった記事で既に報じています。
これとは別に、総務省は「住民基本台帳法など改正案、2019年通常国会に提出のはこび、住民票除票150年保存、所有者不明土地」の検討を進めており、2019年通常国会に提出される見通し。
特別措置法の成立直後に、恒久法・基本法の改正議論がすぐに始まるいつものパターンですが、私権の制限につながりかねない論点も含まれています。特別部会は4回程度で最終とりまとめとする日程が示されましたので、方向性は既に見えているようです。
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