宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。

参議院厚生労働委員会で田村憲久厚労相「欧州と比べて日本は民間経営の病院が多いから悲鳴が聞こえる」

2020年12月10日 14時21分05秒 | 第203回臨時国会(2020年10月下旬)菅首相初答弁
[画像]雄弁に語る田村憲久厚労大臣、きょう2020年12月10日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 国会の閉会中審査はきょう参議院厚生労働委員会を開催。来週は衆参の内閣委となります。

【きょう令和2年2020年12月10日(木) 参議院厚生労働委員会】

 私は中学校1年生のときに英語のシュート先生がおこっていた経験から、真珠湾攻撃は「12月8日ではなく12月7日」だと考えていますが、きょう「12月10日」は正真正銘の新進党結党から26年目の日になります。

 参議院厚生労働委員会は「新型コロナウイルス感染症対策等に関する集中審議」2時間半コースとなりました。

 いつものように雄弁をふるった田村憲久大臣ですが、きのうから目の焦点が合わず、朝病院に行ったそうで、田島麻衣子議員がつくったA4判の紙が読めないと自ら語りました。答弁者について、周りの官僚を見渡して誰も答弁しないので大臣自ら答弁するシーンもありました。規制改革に熱心な田村さんですので、省内で擁護や、後期高齢者2割をめぐる自民党政調や公明党との調整が心労になっているのかもしれません。ご用心ください。

 自民党で、日本看護協会組織内で国対にも熱心に取り組む石田昌宏さんは「病床充足率では換算されていないが、看護師は慣れない病棟だとすぐに対応できず。シフトを変えることで、急に夜勤が入ったり、プライベートなスケジュールを変更したりしている看護師が多い」と悲壮感を漂わせました。そのうえで「診療報酬を上げるべきだ」と強く迫りました。

 石田さんのこの質問について、田村大臣は「欧州の例の紹介もあったが、日本では民間の病院が多いので、経営が厳しい」とし、「悲鳴の声も上がっており、無利子無担保のお金を融資して、診療報酬が入るまでの時間稼ぎをしてもらっている。コールセンターも設置した」としました。野党からも指摘があった6月の2次補正で2・2兆円ついたコロナ緊急包括支援交付金が病院に届いていないとの指摘について「県には交付している。県から交付して収益差が合うようにしてもらう」とし、病院設置の許可者である県の柔軟さを期待しました。

 厚労省が県別の病床確保数を把握できていないと先月の予算委員会で指摘されましたが、旭川など北海道とともにひっ迫する大阪市などの維新の会、東徹さんの質問に対して、厚労省は数字を十分に把握して答弁しているように思えました。

 365日テンションが高い衆議院と違って、参議院では与野党から悲壮感に支配された空気が漂った感じがしました。

【きのう 首相官邸】

 きのうの東京・紀尾井町で、菅義偉自民党総裁と山口那津男公明党代表が会談し、後期高齢者の自己負担は「個人年収200万円以上は2割」で決着したようです。毎年この時期の公明党は「850万円」か「800万円」とか所得による線引きを求めてきて、確定申告所得税で新しく「給与所得控除」ができるなど物事を複雑にして、民主主義を分断している。これは反論ばかり受けますが、私にはそのように見えます。閣議決定はあすか。このほか、イージス艦2隻増加とイージスアショアに代わるスタンドオフ火力ミサイルの導入が近く決まりそうです。

【きょう 自民党税制調査会】

 午後、税制改正大綱を決定。

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◎選択的夫婦別姓が最高裁判所で認められることが確実に、最高裁がきのう3件を大法廷に回す決定、民法750条と戸籍法74条

2020年12月10日 05時23分58秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
[写真]最高裁判所(高速道路左側)、右手前は立憲民主党本部、5年前の2015年、宮崎信行撮影。

 選択的夫婦別姓(選択的夫婦別氏)を、最高裁判所が容認する判決を出すことが確実な情勢となりました。

 これは、けさの朝日新聞1面が「夫婦別姓 憲法判断へ 最高裁 民法規定 大法廷審理」と報じたことで分かりました。また、NHKも報じました。

 大法廷に回った場合は、憲法判断が必ずなされることになっており、5年前の「サイボウズ青野社長の判決」が変更されることは9割以上確実。裁判の期日はまだ分かりませんが、2021年の半ばには判決が出るでしょう。

 記事によると、戸籍法74条の「婚姻をしようとする者」は「夫婦が称する氏」を「届書に記載して、その旨を届けねばならない」との規定により、国分寺市、八王子市、世田谷区の3自治体が婚姻届を不受理にしたことが、憲法14条の法の下の平等などに反するとした裁判。なお当ニュースサイト内の過去記事にある、「民法での訴訟」で負けた、青野慶久・サイボウズ社長が作戦を変えて「戸籍法での訴訟」を提起した一連の運動の流れによる事案だと思われます。

 最高裁判所の政治化は顕著で、法務省民事局長の経験があった初の親子2代の長官だった寺田逸郎前長官は、2013年「民法900条相続の婚外子差別」について、民法では初めて憲法違反だと判断。2015年には「民法733条離婚した女性の6か月間再婚規定」と「民法750条」の2つの事案を同日に大法廷で判決しました。が、前者は違憲、後者は合憲としました。自民党保守派に配慮して2つのうち1つを違憲としたとの観測が有力です。

 2018年に大谷直人長官に交代した直後に、青野社長グループが上述の裁判を提起。今回の第二小法廷の岡村和美裁判長は法務省で2つの局長をした経験もあることから、法務省内での動きなどを読んでいると推察され、最高裁が民法と戸籍法、少なくとも戸籍法の規定について、憲法違反を含めた2015年合憲判決の変更をすることが9割以上確実となりました。

 民法750条「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の姓を称する」との規定は争われたことがあまりなく、条文そのものを削除しても、あまり影響は大きくないと考えられます。

 当ニュースサイト内の関連記事のご紹介。

 2018年1月10日付「
【司法】選択的夫婦別氏を念頭に、戸籍法の憲法違反を提訴 サイボウズ・青野社長訴訟」。なお当記事中の「婚外子差別と同日」は「再婚6か月規定と同日」の誤りです。

 2015年12月16日付「

 2013年9月4日付「◎民法900条「婚外子相続差別」は違憲だが、民主党・前川清成が通常国会に法案を出していた!

 この3つの過去記事を、下から順に読んでいただくと、民法の最高裁判決の歴史がかなり分かりやすく書いてあると自画自賛します。

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