【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

橋下徹さんら官房機密費による菅義偉の切り崩し「常識を超える」と岡田克也代表批判、派遣法衆通過[追記有]

2015年06月19日 20時27分21秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[写真]民主党の岡田克也代表、2015年6月19日、国会内、筆者撮影。

 民主党の岡田克也代表は、昨年秋の「危険ドラッグ禁止法」制定から共調していた、維新の党の橋下徹最高顧問と国会対策委員長が、会期末前週となった今週に相次いで、菅義偉官房長官(自民党)と会い、突如、豹変し、労働者派遣法改悪法案(189閣法43号)の可決に協力したことについて、報償費(官房機密費)をもらったとの観測について、「まず、想像で物を言うつもりはありませんので、コメントはいたしません」と明言を避けました。

 岡田さんは「官房長官がいろいろ手を尽くす、野党と会うというのは官邸としては一つのやり方かと。なるべく味方を増やすという意味で、別にその中身がどうかということではなくて、会うということについて申し上げればそういう面はありますが、それに対して会う野党は、これも私の常識を超えます。法案が非常に重要な局面にあるこういうタイミングですから」として、会期末前週に官房長官と会った野党国対委員長を批判しました。会期145日目にして、閣法成立率が56%にとどまっていることについて、「法案はこれだけしか通っていないのは異例だ」とし、「私たちは妨害しているのではないので真摯に対応してほしい」とし、与党国対の緩みぶりに苦言を呈しました。


 7年前の会期末、2008年6月18日に岡田さんが出した初の著書「政権交代」には、「ある意味での極限状態に直面したとき、一人の人間がとる行動は繰り返されるものだ」「一度裏切った者は、二度裏切る。ぎりぎりの状況では本質を隠しおおせないのだ。それを理解さえすれば、批判する必要はない」(118ページ)。

 ことしの会期末、橋下氏らはそういう人だったと分かりました。

【平成27年2015年 衆議院厚生労働委員会】

 ついにこの日が来てしまいました。

 まず、渡辺博道委員長は総理入り一般質疑を宣言。民主党の中島克仁さんは「派遣法の補充質疑だ」と位置付けました。質疑は終局し、討論、採決。まず労働者派遣法改正案(189閣法43号)に対して、維新の党単独提出の修正案が出て、維新のみの賛成少数で否決しました。この後、政府原案が、民維共の反対、自公の賛成多数で可決しました。

 続いて、民主党・維新の党提出の「同一労働同一賃金推進法案」(189衆法22号)を、自公維3党が勝手に修正してしまい、民共の反対、自公維の賛成多数で修正可決しました。泥棒猫のような後味の悪さでした。 

【同日 衆議院本会議】

 今国会の一般法案としては初めての緊急上程。議事進行係が自席のマイクのスイッチを入れ忘れるハプニングがありました。

 緊急上程の動議は採決され、民主党が反対。民主党は退席しました。

 「労働者派遣法改正案」(189閣法43号)に討論では維新の党の松田直久さん(三重1区)が「原案に反対、同一労働同一賃金法案の修正に賛成」だとしました。

 この後、採決。両法案とも可決し、参議院に送られました。

 これに先立ち、「国交省の海洋関係の独立行政法人改革法案」(189閣法48号)が賛成多数で可決。参議院先議なので成立しました。

【同日 参議院本会議】

 「第5次地方分権一括法」(189閣法51号)が投票総数230、賛成219、反対11で、
 「改正地域再生法」(189閣法53号)が投票総数230、賛成199、反対31で可決し、成立しました。

 一括法は1次~4次と違い、今回は衆参とも地方創生特別委員会で審査されました。

【同日 参議院災害対策特別委員会】

 「活動火山対策特別措置法案」(189閣法74号)が全会一致で可決しました。

【同日 参議院経済産業委員会】

 「特許法改正案」(189閣法44号)と「不正競争防止法改正案」(189閣法45号)の参考人質疑が行われました。

【同日 衆議院経済産業委員会】

 まず、質疑を終局していた「貿易保険法改正案」(189閣法52号)を可決。この後、一般質疑。そして、「官公需法案」(189閣法40号)の趣旨説明がありました。

【同日 衆議院安全保障特別委員会(我が国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会)】

 「2015年ガイドライン国内実施のための安保法制2法案(189閣法72号、189閣法73号)」を質疑しました。

【同日 衆議院国土交通委員会】

 「北朝鮮経済制裁のための入港禁止の延長の決議(189承認4号)」を承認しました。

【同日 衆議院法務委員会】

 「刑事訴訟法改正案」(189閣法42号)の与党の質疑がありました。

【同日 衆議院内閣委員会】

 「内閣官房と内閣府のスリム化のための国家行政組織法改正案」(189閣法54号)。ともに内閣府政務官経験のある、泉健太さん、津村啓介さんが質疑し、政権交代ある二大政党政治らしくなってきました。

 泉さんは、「内閣官房沖縄連絡室」と「内閣府沖縄担当部局」の重複を指摘しました。津村さんは橋下行革を評価し、小泉総理のリーダーシップにつながったとしながらも、新ビル「8号館」が活用した組織の見直しがないと批判しました。

【同日 参議院政府開発援助などに関する特別委員会】

 山本順三委員長(自民党)が各会派が合意した「開発協力大綱のもとでの我が国の政府開発援助の在り方」というペーパーを朗読しました。参議院独自のODA特別委ですが、開発協力大綱への変更の中、特別委として生き残りを模索しているようです。ペーパーの読み上げ後、岸田外相が「決議を尊重する」と答弁しました。ただ、外相をこれだけ国会に拘束するのだったら、廃止も検討すべきでしょう。

【同日 法律公布】

 「改正大気汚染防止法」(189閣法37号)が平成27年6月19日法律41号として公布されました。水銀における水俣条約(両院承認済み)の発効から2年以内の政令で定める日に施行。

 「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」(189閣法36号)は、平成27年6月19日法律42号。水俣条約の発効と同時に施行。

 水俣条約は5月22日(金)に両院承認済みです。

[追記 2015年6月22日午前8時半]

 官報特別号外で、

 「18歳19歳に選挙権を付与する改正公職選挙法」(189衆法5号→平成27年6月19日法律43号)が公布されました。28年6月18日(土)施行。

[追記おわり]

以上。 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿