平成27年2015年7月5日週は、欧州連合、ユーロ通貨圏内のギリシャで、欧州中央銀行から求められた緊縮財政策をめぐる国民投票で、緊縮をひかえて債権団(欧州中央銀行、国際通貨基金など)と繰り延べや資金支援を求めるチプラス首相が信認を得ました。
これを受けた、6日(月)の世界株式市場は、多少の下落となりました。相対的に安全資産とされる、日本円(JPN YEN)は、株安にはなったものの、通貨高、債券高となりました。
ところが、中国上海株式市場、おもに、中国人投資家向けのA株市場で、下がり始め、中華人民共和国政府は、証券会社に対して手元の勘定による買い支えを指示。ところが、自社株防衛のため、半数以上の上場企業がなんらかの理由をつけて株式取引を自ら停止するよう申し入れ、上海株式市場がシステム不全状態になる異例の事態となっています。
その後、8日昼、日本時間の9日未明には、ニューヨーク証券取引所が現地の午前11時半から午後2時半にかけてシステムが停止しました。これについて、取引所やアメリカ連邦捜査機関は「サイバーテロだとする兆候はない」と発表しました。そのため、「自作自演説」も出そうですが、いずれにせよ、こういうことは最終的に証拠はでません。同取引所以外での株売買は続いており、若干の株安となっているようです。
リーマンショック後の世界金融は、アメリカによる大規模な金融緩和に続き、日欧中などほとんど全通貨圏が緩和しています。通貨は、債券を通じて緩和されるため、株安、通貨安よりも、むしろ債券安が実態経済に影響するという、我々人類の歴史上初の時代を迎えています。
ギリシャショック後の今週の欧州は、ギリシャ債券は当然のことながら大幅安なので年利2けたの高金利。「捨て銭」を使って購入する機関投資家もいるものと思われます。だから、緊縮せずに債権団と交渉することも可能になるのでしょう。ユーロ圏内の次の「人身御供」になりうる、イタリア、スペインも債券安です。
その一方、ユーロ圏内の通貨、株式は小幅な値下がりにとどまり、安定性を保っているようです。これも世界各極同時の金融緩和の「おかげ」でしょう。
ギリシャショックの直後に、中国上海ショックが来ました。
現在、我が国の通貨、債券は健全性を保ち、短期的には「有事の円(YEN)」として買われ、価値を高めているようにみえます。その一方、上海、ニューヨークを受けて、株式では、日経平均先物が、日本風にいえば「1000円以上暴落」すなわち「前日比5%安」となっており、2015年7月9日(木)の日本株式市場は大きく下げる可能性が高まっています。
日経平均株価の大幅な値上がりの割に、国内企業の「公募増資」は少なく、あまり株式市場から資金調達をしていない傾向が浮き彫りになっています。むしろマネタリーベースの拡大と債券高による低金利で、高担保の大企業が運転資金を、通貨で調達しているのでしょう。
一方、厚生年金や、日銀の緩和マネーが、信託銀行を通じて、株式に向かっていることから、日本株式暴落となると、多額の含み損をかかえます。
ただ、実体経済のマネー循環への株式の影響はさほど大きくないことから、自民党政府への支持が大きく下がることはないと考えられます。
グローバル化とIT化のもと、マネタリーベースを拡大した現在の金融市場は、上がろうが、下がろうが、「変動性」すなわち「ボラティリティ」を投資家が求めています。国内の景気指標が前年比や前月比で、改善したり、悪化したりするのはこの、債券市場の変動性=不安定性が原因です。
市井の人々が債券を中心とした金融の不安定性で、先行きが不安になったり、落ち着かなくなったりすることが増えそうです。
以上
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