今年度の一般会計総額を100・2兆円に補正する、今年度最終補正(平成28年度第3次補正)予算案が衆院を通過しました。審議入り、採決、本会議とも、すべて職権立ての圧倒的与党ペースでした。来週火曜日31日に成立のはこび。
民進党が単独で委員会に、提出した組み替え動議は否決されました。
基本的質疑1日目に続いて、締めくくり質疑でも質問に立った民進党の玉木雄一郎さんに対して、安倍首相が「なに言ってるんですかあなたは」「質問すればいいじゃないですか」「最低限、~~なってたいね」などと野次を飛ばし、麻生副総理、菅原筆頭理事らも野次を飛ばす場面がありました。
質疑終局宣言後に、長妻理事が抗議するも、委員長は「申し合わせ通りに進める」と一蹴。
蓮舫新代表率いる民進党は打つ手なしといったところです。
ただ、本会議で今井雅人さんが「政権を担える政党になる」という当たり前のようで、あまり民進党が言わない一言を演説してくれたので、勇気が出ました。
【衆議院予算委員会 平成29年2017年1月27日(金)】
第3次補正予算案の基本的質疑2日目。既に、浜田靖一委員長によって、職権で採決が決まっていました。
長妻昭さんが「まず抗議したい。きのう、30分間しか野党が質問していない段階で、採決が決まっていた」としました。
小川淳也さんは、文科省高等教育局長の学校法人早稲田大学天下りについて、前日に通告した、当時の人事課長である現在の高等教育局長が政府参考人として出席していないと指摘。自民党側は「出席について理事会の協議が整わなかった」と説明しました。ただ、小川さんの質疑の残り5分間は後回しにして、出席を求めることで合意しました。
共産党の赤嶺政賢さんは、オスプレイ不時着水事故について、防衛大臣のほか、気象庁長官、海上保安庁長官に質問しました。これ思ったのですが、海保長官に質問するのですから、自衛隊も制服組が答弁してもいいような気がしました。
日本維新の会の足立康史さんは、先の国会で提出した101本法案について、「国会では全会派の(審議入りの)賛成がないと成立しない。民進党をはじめ皆さんの協力をいただきたい」と語り、自公民共各党に対する態度を改めました。「なるべくまとめて出したい」とし、再提出を宣言しながらも事務局への配慮も見せました。
日本維新の会の丸山穂高さんは、同党結党の原点である夢洲へのIRカジノ施設誘致にむけて、ギャンブル依存症対策を質問。日本人が4・8%、アメリカが1・4%、オーストラリアが2・1%だなどと指摘し、「日本ではそのうち、9割がパチンコだ」としました。塩崎厚労相は調査を確約しました。安倍首相は「昨年末にギャンブル依存症等推進関係閣僚会議を立ち上げた」と答弁。丸山さんは「パチンコの入場規制が必要だ」としました。同じく厚労省が担当する生活保護についても、「生活保護を受給した日にパチンコに行っているとの指摘を多く聞く」とし、大臣が「実情を調査したい」と語りました。丸山さんはパチンコの収益が北朝鮮に送金され、核開発に使われているという、公然の秘密を取り上げました。1993年に当時の武藤嘉文外相が記者懇談会で言及し、新聞記事になっているとしました。岸田外相は「承知していない」としましたが、安倍首相は「官房長官時代に北朝鮮に法執行するチームをつくった」とし、パチンコ業界からの送金の在り無しには触れないものの、方向性に沿った前向きな答弁を繰り出しました。
この後、政府参考人として、文部科学省の高等教育局長、科学技術・学術政策局長、官房審議官(高校・大学接続担当)がはかられ、全会一致で認められました。小川さんが5分間の質疑。ただ、全省的な調査中という答弁に終始しました。
午後3時13分頃、締めくくり質疑に入りました。自民党と公明党を代表して宮下一郎さんが災害対策(0・2兆円追加補正)に限って質疑。
この後、玉木雄一郎さんは「今のような状態では、とてもしめくくれません」としましたが、上述のとおり、総理・副総理や与党側筆頭理事から野次を浴びる中終わりました。公益財団法人文教協会について取り上げられました。共、維のあと、午後4時19分頃、質疑終局を宣言。野党理事が詰め寄りましたが、委員長は「取り決め通り、やろう」と理事会は開かず、議事を進めました。
ここで、民進党単独で組み替え動議が提出され、「国連等分担金は全額当初予算に移し、その分見合いの国債発行を削る」としました。
討論では、自公を代表して真山祐一さんが賛成。民進党の辻元清美さんが「実質的質疑は昨日から始まったばかりなのに、職権で採決が決まった」と語り原案反対、組み替え動議賛成。共産党の宮本徹さんは「防衛費の後年度負担が、安倍内閣で1・5倍になっている」と批判し、反対。維新は政府原案に賛成を表明。
採決の結果、民共反対、自公維賛成多数で、第3次補正予算は可決しました。本会議に緊急上程。次回は公報、散会。
【衆議院総務委員会】
竹内譲委員長が、電波の件、消防の件などの、国政調査要求の手続きをとりました。
「地方交付税法及び特別会計法改正案」(193閣法1号)が高市総務相から趣旨説明され、地方交付税の特定財源である国税5税の法定譲与税の下振れにより、「0・5兆円減収になるが、地方財政を維持するために、一般会計から穴埋めする」としました。
民進党の小川淳也さんが「委員長に抗議したい。きょうの委員会は職権で決まった。今後は与野党の話し合いによる運営をお願いしたい」としました。質疑を始め、「苦渋の選択だが、民進党は賛成する」としながら、臨時財政特例債の発行による、地方交付税の見通しの暗さに言及。
質疑終了後、共産党が反対討論。
採決の結果、共反対、自公民維社賛成多数で可決しました。
【衆議院本会議】
午後5時設定ですが、7時過ぎに開会。
補正予算の討論では、民進党の今井雅人さんが「総理は民進党批判に明け暮れている。もうやめてほしい」「政権を担える政党になる」と語りました。きょうの日経新聞「交遊抄」に今井さんが登場。大蔵省の次官級ポスト、財務官だった榊原英資さんの勉強会のメンバーだったとのこと。榊原財務官は民間の会社社員と勉強会をつくっていたので官僚らしくなく「ミスター円」としてアジア通貨危機を乗り切れ、20年経ってもオピニオンリーダーでいられることは有名です。今井さんがそのメンバーで、2009年選挙の立候補でも事前に相談していたということは初めて知りました。
自民党は、たまたま、きょうの審議で、父親の武藤嘉文外相の名前が出た、武藤容治さんが与党を代表して賛成し、「ダッカの日本人テロ事件もあった」と国連等の分担金に理解を求めました。
共産党は高橋千鶴子さんが「P1哨戒機などの防衛費増額に反対する」としました。
日本維新の会の井上英孝さん(大阪1区)は賛成討論をしながらも、注文を付けました。
起立採決で、民共反対、自公民賛成多数で可決し、参議院に送られました。
この後、「地方交付税法改正案」(193閣法1号)が緊急上程。
採決の結果、共反対、自公民維賛成多数で可決し、参に送られました。今国会の法律案の衆可決第1号。
【参議院】
ありませんでした。
この記事の本文は以上です。
(C)2017 宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki
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