【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【4/13】自民党衆参は調整できず「銃刀法改正案」が「デジタル庁」より先に参・内閣委で審議入り、立憲「オリックス」名指しで反対討論も国家戦略特区法案可決

2021年04月13日 17時01分17秒 | 第204通常国会令和3年2021年
[写真]末松信介・参議院自民党国会対策委員長、3年前の2018年、議院運営委員長室で、委員長の許可を得て、宮崎信行撮影。

 大阪は1000人超えで感染爆発。国会は特区で立法爆発。政府は、処理水の太平洋放出を決め世界的なニュースになっていますが「武漢肺炎の中国に比べればマシ」という欧米などSNS世論となっています。

 北海道2区の補欠選挙が始まり、立憲民主党公認の松木謙公さん、維新公認の山崎泉さんら合計6名が立候補しました。

【参議院内閣委員会 きょう令和3年2021年4月13日(火)】

 「銃刀法改正案」(204閣法37号参先議が趣旨説明されました。「デジタル庁3法案とマイナンバー2法案」(204閣法26号乃至30号)はあすの本会議で審議入りするはこび。参議院自民党は衆議院側のせっつきに乗りませんでした。

 「銃刀法改正案」はクロスボウ・ボウガンの規制を強化するもので、家庭内事件で、ボウガンが頭を貫通した女性が隣家に助けを求めた事件を立法事実とするもの。当日テレビで事件を知った人にとっては衝撃的ですが、その1件のみが立法事実として警察庁が細かい改正案を出したものです。今国会の参議院先議議案の審議入りはこれがラストになります。

【衆議院本会議 同日】

 「プロバイダ有限責任法改正案」(204閣法38号)全会一致で可決し、参議院に送られました。SNSでの名誉毀損で、プロバイダに対する発信者情報開示と加害者に対する損害賠償を1つの裁判で行うことを可能とする、総務省所管の法案。

 「令和2年度子育て世帯支援特別給付金の差し押さえ禁止法案」(204衆法12号)が提出され、採決。全会一致で可決すべきだと決まりました。

 
[画像]衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 前回の本会議でフェイスシールドで登壇し、申し合わせに明記がないとはいえ不適切だと議運委員長に叱られた、とかしきなおみ委員長がマスク姿で登壇。

 「防衛省設置法改正案」(204閣法19号)は立憲・共産反対、自民・公明・国民・維新の賛成多数で可決し、参議院に送られました

 「平成28年度決算承認案」「平成29年度決算承認案」は立共維国反対、自公賛成多数で承認されました。但し、国有財産無償貸し付け状況総計算書は、国立大学の無償貸し付けを推進する立場で、例年通り、共産党も賛成に回りました。

 先週金曜日の定例日は本会議は開かれなかったのもの、西村大臣の政府事前報告とそれに対する質疑で議院運営委員会が開かれる珍しいパターンとなっていました。

【衆議院地方創生に関する特別委員会 同日】

 昨年来、提出をめぐり農相と地方創生相の静かなバトルが続いていた、養父市の企業による農地所有を可能とする国家戦略特区を1年間延長する「国家戦略特区法改正案」(204閣法34号)立共反対、自公賛成で可決すべきだと決まりました。養父市民の9割も何が起きているのか関係ない話ですが、審議は紛糾。

●立憲、オリックスを名指しで批判

 立憲の亀井亜紀子さんは反対討論で「最大の問題は、オリックス農業の親会社であるオリックスの社外取締役2名が内閣府の会議に入っている利益相反だ」とオリックスを名指しし、言外に竹中平蔵さんをあげつらいました。

 対政府質疑で、立憲の佐々木隆博さんは「鉄鋼民という言葉は無いが、農民という言葉がある。農業は土地と一体になっている。農業と土地を切り離そう切り離そうという動きを企業と内閣府のごく一部でやっている」と、地方創生アベノミクス成長戦略9年間の「構造改革特区」「国家戦略特区」の欺瞞を暴きました。

【衆議院消費者問題に関する特別委員会 同日】

 自民党の永岡桂子特別委員長が仕切りました。

 「デジタルプラットフォーマー新法案」(204閣法53号)

 対政府質疑で公明党の伊佐進一さんが「事業者から政府への情報開示が努力義務になっているが、義務規定にすべきだ」と指摘。この後、立憲民主党が修正案を提出。柚木道義さんは「立法の意義は認めるが、消費者被害防止の観点から努力義務は義務にすべきだし、内閣総理大臣の営業停止の要請は勧告とすべきではないか」とする修正案を出しました。しかし、自公は乗らず、賛成少数で否決。この後採決された政府原案は全会一致で可決すべきだと決まりました。

 ちなみに、永岡委員長と柚木さんは、13年前のガソリン国会で議長室近くでスーツが敗れた大乱闘の当事者同士ですが、連続して議席を維持しています。永岡さんが与党理事の際には、特商法の改正案で「恋愛感情を利用したデート商法」も規制すべきだと立法府与野党の審議の高まりを受けて「老いの不安につけこんだ商法も規制する」と合わせ技で、与野党全会派一致の衆議院修正をまとめていました。

【衆議院総務委員会 同日】

 先週、与野党国対委員長が合意した、株式会社フジ・メディア・ホールディングスの金光修代表取締役兼COOに対する参考人質疑がありました。もちろん参考人質疑ですので、石田祝稔委員長が立ち上がり、出席のお礼を述べました。


[画像]衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
 金光さんは「過去の一時期、外資規制に違反していた」と率直に答弁。このため、武田良太総務大臣も「放送法の改正を検討したい」と答弁するところまででとどまりました。

 最後に「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律案」(204閣法31号)が趣旨説明されました。

【参議院法務委員会 同日】

 「相続登記を義務付ける民法改正案」(204閣法55号)と「相続土地国庫帰属法案」(204閣法56号)の対政府質疑が続きました。上川陽子法相は白い不織布マスクで答弁。委員からは、罰則のタイミングについて所有者不明土地を減らす趣旨に沿うよう検討すべきだとの意見が出ました。次回は参考人質疑。

【参議院財政金融委員会 同日】

 一般質疑がありました。

 最も有名なサラリーマンである元アナウンサーの議員が「預金保険機構の貸借対照表に短期借入金が477億円あるので、繰り上げ返済すべきではないか」と問いました。利息はたかが年10億円未満でしょう、銀行は青色吐息の現状で、勘弁してくれよ、という感想しか持ちません。

【参議院文教科学委員会 同日】

 「文化財保護法改正案」(204閣法20号)。まず大臣がミスの経緯を謝罪して、法案の趣旨説明をしました。質疑は次回。散会。

【参議院厚生労働委員会 同日】

 「育児・介護休業法改正案」(204閣法42号参先議の参考人質疑。

【参議院農林水産委員会 同日】

 「農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法改正案」(204閣法40号)が審議入りしました。

●衆議院から法案が回ってきている参議院第1種常任委員会に限定すれば、国土交通委員会と環境委員会の2つの委員会が定例日とされるきょう開かれませんでした。両方とも立憲が委員長ポストを持っています。国交の法案は衆議院では本会議で登壇案件として代表質問が行われました。

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