【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

[性犯罪改正刑法3年後見直し規定]「刑事訴訟法改正案」も検討へ、親が子に強制性交したら公訴時効を被害者が30歳から起算するなどを法制審で検討へ

2021年04月12日 21時00分44秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
 当ニュースサイトで連続して書いてきた、「強制性交等罪」を初めて法定化した、平成29年改正刑法の「3年後見直し規定」にもとづく報告書の案がまとまりました。

 法務省がさきほどネット公開した、「性犯罪に関する刑事法検討会 とりまとめ報告書(案)」では、これまで報道されてこなかった、公訴時効の延長について論点が整理されました。

 加害者が親である場合、被害者である子は、経済的に依存しているので、被害を申告することは難しいので、被害者が25歳あるいは30歳になってから公訴時効を起算することを検討すべきだ、としました。外国の法律を参考に、18歳から、28歳から、という案も併記されました。その一方、被告人の立場から、法的安定性を損なうだとか、加害者と被害者が世間からどういう関係に見えていたかの証言を集めにくくなるといった、疑わしきは被告人の利益にという刑法体系から、加害者の不利を検討することの意見も出されました。

 この問題に関するインフルエンサーである山本潤さんは、実父による性交は他の家庭でも常識だと長く思っていたそうです。

 このほか(1)加害者が2名以上現場にいた場合に刑に加重するかどうか(2)法定刑の下限を逆に下げるかどうか(3)被害者が未成年の場合の規定をもっと設けるべきかどうか(4)性交同意年齢を何歳にするかどうか(5)性的姿態の撮影行為を罰に加えるかどうかーーなどの論点も提示されました。今後は法制審議会にステージが移りますので、刑法及び刑事訴訟法の改正案が国会に提出されるのはもう1、2年かかるかもしれません。

 今回の検討会は昨年6月にでき、15回開かれました。これに先立ち、前の法務大臣は、法務官僚(検察官)による勉強会を設置。省内で大臣官房・刑事局のみならず、保護局・矯正局も加わり、「加害者の治療」「加害者の教育」について教授らからヒアリング。筆者は刑法以外の法律も改正するような政策パッケージになるかどうか興味を持ち、大臣官房の審議官に電話取材を試みましたが、取材ノートを見れば明確ですがおそらく4回、居留守を使われ、取材できませんでした。今回の有識者会議では「治療」「教育」は入っていませんが、刑法だけでなく刑事訴訟法の改正に広がったのは評価できると思います。


[写真]皇居二重橋前から撮影した法務省・検察庁、4年前の2017年1月、宮崎信行撮影。

 生き馬の目を抜く荒川河川敷(近く)で生まれ育った私は考え方が映画「タクシー・ドライバー」のロバート・デニーロが演じた役に近く、それがどういうものかいちいち説明しませんが、昨夏は、女性の下着姿の公選ポスターについて、関係者に首謀者を教えろと迫り、落選2日後に「宮崎に脅迫された」と生活安全警察に告発されたものの、逆にすべての内容を生活安全警察から私の携帯に電話があり、告発者の人となり、告発者に対する刑事処分のあり方、私の自宅警備の相談をされるなど、完全な返り討ちとなり告発者は東京のこわさに面食らったようです。


[写真]法務省赤れんが庁舎、4年前の2017年、宮崎信行撮影。

 今回の報告書は、被告人すなわち加害者の法的保護の目線が強いようにも感じますが、公訴時効のところは、今後の法制審に大いに期待したい感想を持ちました。

関連記事)2014年9月13日付



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