この度、一般市民が裁判に参加する裁判員裁判が札幌地方裁判所で行われました。今年度道内では初めての裁判員裁判ということでマスコミも注目し、たくさんの報道陣が駆けつけていました。三日間にわたって行われた裁判のほとんどを傍聴しましたので、その様子をドキュメント風にレポートしたいと思います。
5月18日(金)午前11時、それまで二日間にわたって行われてきて裁判員裁判の判決が宣告される法廷が開廷した。
今回もまた最初の時と同様に開廷前に報道陣の撮影が行われた後、被告人、被害者など関係者がそれぞれ席に着いた後、開廷しさっそく裁判長より判決が宣告された。
その判決の内容は…
「被告人を懲役3年に処する。被告人を5年の執行猶予とし、その間保護観察に付する」
というものだった。
その後、争点となっていた2点についての判断が述べられた。
一点目の被告人が犯行時に被害者に被害者に抱きつき暴行しようとした意図があったかどうか、という点について、「被害者の供述には信用できる点が多いが、明確に抱きついて暴行しようとしたと認定することには無理がある」と、この点については“疑わしきは罰せず”を適用したようである。
もう一点の現場から見つかった性具の使用意図について、被告人はその使用意図はなかったと主張したが、この点については被告人の供述は信用しがたく明らかに使用意図があってその場に持ち込んでいたものと推定できるとした。
そうした上に立って、被告人はすでに180日間拘留されていること、賠償金130万円を支払ったこと、5年間北海道を離れることを約束していること、犯罪が初犯であることなどから執行猶予を付するのが相当し判断した、と判決理由を述べて閉廷した。

※ 裁判の結果を伝える翌日の北海道新聞です。
ドキュメントいうことでできるだけ主観を排除する記述を心がけたつもりであるが、全てを終えて私なりの感想を2~3述べてこのシリーズを閉じることにする。
まず、裁判員裁判ということであったが、ドキュメントレポートの中でも記したとおり裁判員からは一度の発言もなくいささか拍子抜けの感があった。もちろん私たちから見えない評議の中ではそれなりに存在を示したかと思われるが、ふだん普通の市民生活をおくっている者がいきなり専門用語の飛び交う裁判法廷でどれだけ裁判の中に市民感覚を反映できるのかという点には若干の疑問も残った。
次に、裁判のコストについてである。
途中でもレポートしたが、今回の裁判に関わっている関係者は実に27名である。
その方々が三日間。いやいやそんなもんじゃない。相当日数をこの裁判に関わっていることになる。そのコストたるや相当なものと推察される。人権を護りながら裁判を進めるという制度がこうしたことを生んでいると思うのだが、考えさせられた。
三つ目に、当然といえば当然であるが、裁判官、検察官、弁護人ら法曹関係者の有能性を感じたことである。その点について本レポートでは書ききれなかったのだが、検察官、弁護人の応酬、裁判官の判決理由などなど…、ぜひ一度裁判を傍聴されることをお勧めし、本シリーズを閉じることにします。
5月18日(金)午前11時、それまで二日間にわたって行われてきて裁判員裁判の判決が宣告される法廷が開廷した。
今回もまた最初の時と同様に開廷前に報道陣の撮影が行われた後、被告人、被害者など関係者がそれぞれ席に着いた後、開廷しさっそく裁判長より判決が宣告された。
その判決の内容は…
「被告人を懲役3年に処する。被告人を5年の執行猶予とし、その間保護観察に付する」
というものだった。
その後、争点となっていた2点についての判断が述べられた。
一点目の被告人が犯行時に被害者に被害者に抱きつき暴行しようとした意図があったかどうか、という点について、「被害者の供述には信用できる点が多いが、明確に抱きついて暴行しようとしたと認定することには無理がある」と、この点については“疑わしきは罰せず”を適用したようである。
もう一点の現場から見つかった性具の使用意図について、被告人はその使用意図はなかったと主張したが、この点については被告人の供述は信用しがたく明らかに使用意図があってその場に持ち込んでいたものと推定できるとした。
そうした上に立って、被告人はすでに180日間拘留されていること、賠償金130万円を支払ったこと、5年間北海道を離れることを約束していること、犯罪が初犯であることなどから執行猶予を付するのが相当し判断した、と判決理由を述べて閉廷した。

※ 裁判の結果を伝える翌日の北海道新聞です。
ドキュメントいうことでできるだけ主観を排除する記述を心がけたつもりであるが、全てを終えて私なりの感想を2~3述べてこのシリーズを閉じることにする。
まず、裁判員裁判ということであったが、ドキュメントレポートの中でも記したとおり裁判員からは一度の発言もなくいささか拍子抜けの感があった。もちろん私たちから見えない評議の中ではそれなりに存在を示したかと思われるが、ふだん普通の市民生活をおくっている者がいきなり専門用語の飛び交う裁判法廷でどれだけ裁判の中に市民感覚を反映できるのかという点には若干の疑問も残った。
次に、裁判のコストについてである。
途中でもレポートしたが、今回の裁判に関わっている関係者は実に27名である。
その方々が三日間。いやいやそんなもんじゃない。相当日数をこの裁判に関わっていることになる。そのコストたるや相当なものと推察される。人権を護りながら裁判を進めるという制度がこうしたことを生んでいると思うのだが、考えさせられた。
三つ目に、当然といえば当然であるが、裁判官、検察官、弁護人ら法曹関係者の有能性を感じたことである。その点について本レポートでは書ききれなかったのだが、検察官、弁護人の応酬、裁判官の判決理由などなど…、ぜひ一度裁判を傍聴されることをお勧めし、本シリーズを閉じることにします。