田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画 18 白痴 ~ シネマの風景フェスティバル 1

2010-06-30 13:06:45 | 映画観賞・感想

 北海道内を舞台にした懐かしい映画(と言っても新しい映画もあるのだが)を連続上映する「シネマの風景フェスティバル」が札幌東宝プラザ(中央区南2西5)で6/26~7/2の日程で始まった。私はお得な回数券を購入し、6本全部を観ようと張り切っている。懐かし映画の感想を数回にわたってレポートすることにする。

              
        ※ 「シネマの風景フェスティバル」のパンフレットです。
 
 まず最初にフェスティバルで上映される6本のラインナップを紹介することにします。(  )は制作年とロケ地です。

 ◇赤いハンカチ(1964年 函館市)
 ◇ギターを持った渡り鳥(1959年 函館市・森町)
 ◇白痴(1951年 札幌市)
 ◇南極料理人(2009年 網走市)
 ◇Love Letter(1995年 小樽市)
 ◇網走番外地(1965年 網走市)

 映画を鑑賞した順に一言ずつ感想めいたことをレポートすることにします。

              
        ※ 「白痴」の映画ポスターです。原節子があくまで主役です。

 最初に観たのが「白痴」です。
 この映画はご存じのとおり、ドフトエスキー原作の作品を黒澤明監督が舞台をロシアから札幌に移して映画化したものです。
 この映画が完成したときには4時間25分もの長さがあったそうですが(黒澤監督らしいこだわり?)、映画会社の意向で2時間46分に短縮されたそうです。そのためでしょうか、私が観てもストーリーが判然としない部分があったのも事実です。特に終末の部分には不満が残ります。

 映画は昭和26年の冬の札幌のさまざまな場所でロケしていますが、人口がまだ約32万人台の古き札幌の様子が活写されています。今と違い道路の除雪なども行きとどいていないため、まるで豪雪地帯のような市内の様子が印象的です。
 作品をズタズタにされ、黒澤監督としては映画として成功だったのか、失敗作だったのか、後年の評価もさまざまのようです。
 映画の中で黒澤作品らしさを見せてくれたのが、氷上カーニバルの場面だろうか。カットされた映画にしては長い時間執拗にカーニバルの様子を追い続けるところに黒澤監督の片鱗を見る思いがします。

 キャストとしては、三船敏郎、原節子、森雅之、久我美子、志村喬らが出演しています。当時から原節子はもう大女優と言われていたのだと思いますが、彼女の妖艶な美しさより久我美子の理知的な若々しいキリっとした表情がモノクロ映画の中では際立っていたように思います。
 また、三船敏郎の眼だけがギラギラと光っていた若々しい顔(当時31才?)が印象的でした。

        
        ※ 黒澤監督との交流を語る品田三郎氏です。

 映画上映の前に映画評論家の品田三郎氏の「黒澤監督と昭和の札幌」と題するトークがありましたが、その中でフィルムをカットすることを要求する会社に対して黒澤監督が「それならフィルムを縦にカットする」と激怒したことを披露してくれました。
                       (映画観賞日 ‘10/06/27)