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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

吠える、吠える! 金子勝講演会

2017-02-10 16:39:18 | 講演・講義・フォーラム等
 慶大教授で、経済学者として著名な金子勝氏が現政権に批判的であることは知っていたつもりだったが、想像していた以上に舌鋒鋭く現状に対する批判を繰り返した。金子氏の全てを受け入れるつもりはないが、氏の経済の世界から見た歴史観・世界観には傾聴すべきところも多々含まれていた。 

               

 2月6日(月)午後、北海道生協連60周年記念企画として、ホテルポールスター札幌で、慶大教授で経済学者の金子勝氏の講演会があり、聴く機会を得た。
 講演のテーマは「新自由主義・グローバルリズムの本質と国民生活への影響 ~トランプ政権誕生で何が変わる~」と題するものだった。会場は500名以上の聴衆で溢れかえっていた。金子氏の知名度だろうか?それとも?

 金子氏は開口一番「トランプの登場で、安倍氏が普通の人に見えてきた」と話すと、会場はドッと沸いた。
 それから金子氏は現政権の経済政策の失敗を次々と挙げ、それを糊塗するかのように代わりの事実を吹聴する現政権の姿は、トランプが唱えるオルタナティブ・ファクト(代替的真実)と通ずるところがあると指弾した。

               

 その後も金子氏は、我が国の現状を、特に経済面からその衰退ぶりを「金子語(金子氏独独の語り口)」で指摘し聴衆の笑いを誘いながら続けられた。それはまるで金子氏が吠えているようにも思えるほどだった。
 経済用語を駆使した金子氏の話についていけないところもあったが、金子氏が産業構造の歴史的変化を読み解くことが重要だと指摘した部分は参考になった。それによると…、

 1870年代後半以降、世界は大不況に襲われたが第一次世界大戦を経て、技術革新が進むことによって息を吹き返した。
 続いて1930年代に世界は大恐慌の波をかぶるが、第二次世界大戦を経て石油文明へと移行することによって、自動車・航空機産業などの発達が世界(先進国)を潤した。
 次は1970年代のニクソンショックと二つの石油ショックによる不況に見舞われた。それを救ったのが金融と情報通信産業、それにグローバリゼーションだと金子氏は言う。
 2000年代に入って、2003年のイラク戦争、2008年のリーマンショック、2011年の福島第一原発事故と、世界はまたまた混迷の時期を迎えているとした。

                    

 金子氏が指摘したグローバリゼーションの進展によって、我が国の金融はことごとく再編を迫られ、さらには我が国産業界の花形だった家電業界が今や無残な状況となっていることからも、出口のみつからない混迷の時期を迎えているのかもしれない。
 
 そこで金子氏が示した処方箋は、これまでの重化学工業を軸とした「集中メインフレーム型」の構造から、「地域分散ネットワーク型」システムへ移行することが重要と提案した。
 そうした方向に移行しつつある典型例として、金子氏は「スーパーマーケット」から「コンビニ」へ小売業の中心が移行している現況を指摘する。
 スーパーコンピュータとICT(情報通信技術)、IoT(あらゆる物がインターネットを通じてつながることによって実現する新たなサービス、ビジネスモデル、またはそれを可能とする要素技術の総称)の発達によって、ヒトやモノが集中する必要性が減少し、地域に分散した形でネットワークで繋がっていればコトは足りるという考え方である。

 最後に金子氏は、リップサービスかな?とも思われるが、そうした構造に変化していくとき「北海道にもチャンスがある!」と結んだ。