田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

地域生涯学習活動実践交流セミナー

2017-02-23 21:20:54 | 講演・講義・フォーラム等
 少々長くて硬いネーミングのセミナーであるが、昔取った杵柄ということもあり、道民カレッジ受講者も参加対象に加えていただいたことで参加してみようと考えた。現在、社会教育関係者が抱えている課題について少しは理解できたように思えたセミナーだった。 

               

※ ちょっとしたアクシデントがあり、予定していた冬季アジア大会のバイアスロン競技の観戦がかなわなくなった。残念!ということで別な話題を…。 

 2月16~17日の両日、かでる2・7において、表記セミナーが開催された。参加対象はあくまで社会教育行政の関係者たちだったのだが、私たち道民カレッジ受講者に対しても門戸が開かれたセミナーだったので参加してみようと思った。というのも、私は現職時代にわずか6年間ではあるが、社会教育行政を経験させてもらったという過去があり、懐かしさも手伝って参加を決めた。

 セミナーのテーマは「人口減少問題に対応した社会教育行政の在り方~行政間連携と地域住民との協働に向けた方策について~」というものだった。
 日程はかなり細かく分かれていた。一日目が講義、報告、事例研究、分科会。二日目が分科会、全体会、シンポジウム(対談、特別講演)となっていた。

 日程の全てをレポすることはとてもできない。そこで私から見て特に印象的だったことに絞ってレポしてみたい。

               
               ※ NPO法人グランドワーク西神楽理事の谷川良一氏の事例報告の様子です。

 一つは、事例研究ということで発表された「NPO法人グランドワーク西神楽」の発表である。このNPO法人の取り組みは行政に頼らず、住民自らが積極的に地域づくりを実践している事例である。
 西神楽は旭川市の一地域であるが、そもそもは阪神大震災の際に被災児童を企業・行政とパートナーシップを結んで受け入れたことかに始まったという。(東日本大震災のときもさらに多くの被災児童を受け入れている)
 そのことを機に、地域のパークゴルフ場を自分たちで造成し、管理し、自己資金を作ることができたそうだ。それからは、地域に起こる様々な課題に対して自分たちで解決するという姿勢で活動しているという。
 その活動ぶりを如実に物語るのが7つの専門委員会の存在である。その専門委員会とは、◇地域の環境と景観を考える専門委員会、◇農業と未来を考える専門委員会、◇地域の歴史と遺産を考える専門委員会、◇子供たちの健全な育成を考える専門委員会、◇NPOの事業を考える専門委員会、◇西神楽さと川パークゴルフ滋養運営管理委員会、◇地域の高齢者福祉を考える専門委員会、とある。
 これらの専門委員会の中には事業を起こして、地域にさまざまなサービスを提供しているという。そしてそこには高齢者たちの雇用も生み出している。
 平成26年度でNPO法人では年間1億円を売り上げ、40名を雇用しているそうだ。
こうして、行政に頼らず、時には行政を巻き込み、地域づくりを行っているという素晴らしい実践に触れることができた。
 一度、西神楽地区を訪れてみたいと思った。

 次に印象的だったのは、「人口減少問題に対応した社会教育行政の在り方」と題した、対談と特別講演だった。
 対談は、地域の社会教育に対して全国的な視野からアドバイスする「人と組織と地球のための国際研究所」の川北秀人氏と、財政破綻によって人口減少が顕著な夕張市の社会教育主事の木村愛氏の二人が対談した。
 主として川北氏が木村氏に質問する形で対談は進められた。
 その中で木村氏が語ったことが印象的だった。「確かに破綻によって、金も場所も失い、多くの人も去ったが、残った人たちが一緒に起ち上がってくれた。見方を変えれば、破綻によって本当の社会教育が実践できているとも思う」と語ったが、その言葉は、ある意味これからの地域の社会教育行政の在るべき姿を語っているようにも思えた。

               
               ※ 私が参加した分科会「開講15周年を迎えた今後の道民カレッジを考える」という分科会の様子です。
                
 その他にも多々参考になることがあったが、すべてをレポすることはできない。
 「人口減少問題」は、特に北海道の地方においてはその傾向がすでに顕著に表れていて、待ったなしの問題だともいえる。
 それは社会教育行政のみならず、地方の行政にとっては喫緊の課題でもある。
 私が社会教育行政に携わっていたころは、地域住民の学習意欲の喚起を命題とはしていたが、まだどこかに悠長さが漂い、真剣さが足りなかったようにも思われる。しかし、今は地域住民が、自らの地域課題に対して真剣に学び、解決していくことが望まれている。 
 そうした状況にあって、社会教育関係者はいかに「住民の学びを喚起し、地域の課題解決に結び付けてゆくか」、そのコーディネイト力が問われているということなのだと私は理解したのだが…。