田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

冬の石狩川河岸を遡る 21 後編

2017-02-18 16:10:56 | 冬の石狩川河岸遡行スノーシュートレッキング

神納橋 ⇒ 観魚橋   トレッキング実施日 ‘17/2/14

 この日の後半はおおむね旧国道を往く非常に楽なトレッキングだった。エゾシカとの遭遇を楽しみながらのトレッキングが続いた。しかし、ただ一か所だけ非常にスリリングな場面に遭遇し、冷や汗を流した私だった…。 

 「夢殿観世音菩薩像」を過ぎてからは、エゾシカ天国(?)に迷い込んだようだった。向こう岸にも、こちら側にも次々とシカの群れが現れた。さすがに私が歩く左岸側で遭遇した群れは、ボス(リーダー)の甲高い鳴き声を合図に、一斉に逃げ去ってしまう。
 しかし、向こう岸だと、さすがに安心するのか甲高い鳴き声はするものの、じーっとこちらを見てはいるが直ぐには逃げないので、何度かその姿をカメラに収めることができた。

               
               ※ 対岸の崖のところにいたシカです。(下の写真も)意外に小さいようにも思えるのですが…。
               

               
               ※ 何か動物の巣の入口と思われます。キタキツネではないかと思うのですが…。

 周りの背丈の低い木々は悲惨である。ことごとくシカたちの食料にされ、木の皮が剝がされていた。シカたちにとってもエサの少ない冬を越すのに必死なのだろう。私の行く手には彼らが何度も行き来するためか、しっかりとした獣道ができていた。

               
               ※ 写真のようにシカが届くところの低木はことごとくといってよいほど、木の皮が剥がされていました。
               

 神居古潭と旭川の間の旧国道12号線は、石狩川沿いの河岸ギリギリに道路が造られていた。その後、道路の直線化・複線化、それに伴うトンネル化など改良が進んで現在のような道路になった。
 そこで河岸ギリギリに造成された旧国道は、現在自転車・歩行者道路として利用されているようである。私の行く道はここだった。

               
               ※ 写真のように橋梁状に造られた国道12号線が石狩川の川岸ギリギリを走っていました。
          
               

                         
 ところが、神居古潭側の一部は道路を複線化(二車線化)するための土地がなかったようで、橋梁のようにして道路が造られ石狩川にせり出すような形になっていた。私は当然その橋脚部分を進まねばならなかった。
 はじめのうちは良かった。まだそれなりの幅があり、余裕をもって進めた。次第に川岸が迫り、橋梁の下を歩くようになった。橋梁のところが屋根のように私を覆い始めた。
 私は絶えず前方に注意しながら、果たしてずーっと前進できるのか、半信半疑で進んだ。もし前進できないようなところに遭遇したら引き返すしかない。

               
               ※ 私は橋脚の横を進むことを強いられました。

 そんなときだった。前方に足の置き場が幅20センチくらいしかないところに出くわした。
 幅20センチというとスノーシュー片足がようやく乗る程度である。「どうしょう?」と考えた。もし落下したら2メートル下である。幸いそこは直ぐに川ではなく、石原だった。落ちても大怪我はすまい。そう判断し、前進を決断した。
 幅20センチでは足を交差することもできない。私は左足を前にして、体はできるだけコンクリートにもたせ掛けるようにして、左足をずらしながら前進させ、そこに右足を摺り寄せるという方法で前進した。
 20センチの幅は、バランスを崩すだけで真っ逆さまである。恐る恐る、ジワリジワリとまるでナメクジのように進んだ。長さにして10メートルもあっただろうか?そこをおよそ10分もかけて渡り終えた。渡り終えた私は全身汗びっしょりだった。

               
               ※ 恐怖の20センチ幅の橋脚です。渡る前(上の写真)と渡った後(下の写真)、その狭さが分かっていただけると思います。
               

 難関を乗り越え、一休みすることにした。そこにはちょうどビールの空きケースのようなものが転がっていた。おまけに頭上は橋梁が覆っている。座って休憩できるとは、これまでのスノーシュートレッキングでは最上の休憩場所だった。
 持参の熱い紅茶で喉を潤し、この日後半のトレッキングに再スタートしたのは11時30分だった。

               
               ※ 橋梁下の絶好の休憩ポイントでした。青いプラスチック箱に腰かけて…。

               
               ※ 私のトレッキングの友のポールとザックです。プラスチック箱の上のものはタオルに包んだステンレスボトルです。
                熱い紅茶を冷やさないように、専用ケースをさらに包んで保温に努めました。

 再スタートして間もなく、橋梁部分から離れ、旧国道上を往く楽なトレッキングに移った。
 再スタートから30分後、石狩川を跨ぐような施設が目に入った。以前に見た「北空知頭首工」のような施設である。傍に寄ってみると、「神竜頭首工」と掲示され、灌漑用の施設であるとの説明も書かれていた。
 しかし私の中では疑問が沸いた。「神竜頭首工」の両岸は鋭い崖が迫っている。どこにも灌漑するような田畑は見当たらない。いったいどこへ灌漑するのだろう、と…。
 疑問に思った私は、帰宅後北海道開発局に電話をして尋ねた。すると、「神竜頭首工」で取水した水は導水管によって、旭川、あるいは深川、滝川方面まで運ばれ、そこの田畑に導かれているという回答だった。その個所が頭首工を造成するのに適した地形だったということか?

               
               ※ 対岸には「旭川サイクリングロード」の表示が…。本当にトレッキングは不可能だったのだろうか?

               
               ※ 旭川、深川、滝川地方に農業用水を供給する「神竜頭首工」です。

 頭首工を過ぎると、スノーシュートレッキングを楽しむための絶好のステージだった。新しい国道は「春志内トンネル」という直線状のトンネルを往くが、旧国道はトンネルを巻くように石狩川沿いを往く。そこが自転車・歩行者道路として整備されているため灌木なども生えていない。
 エゾシカとの遭遇を楽しみながらのトレッキングが続いた。

               
               ※ 旧国道12号線は、写真のような表示が立てられ、スノーシュートレッキングを楽しむには絶好のステージでした。

               
               ※ 旭川が近くなってきたせいか、スキーのシュプールが残っていました。右側2本がシュプール。左側はシカの足跡です。

               
               ※ 最も近くで撮ることのできたシカの姿です。

               
               ※ 私の姿に慌てて崖上に逃げるシカたちです。


 問題は場所がはっきりしないバス停である。一応の目星はつけてきているものの、そこを見逃すと大変なことになる。
 新国道が春志内トンネルを抜けて、旧国道と並行するように走るようになった。
 すると、私が目的としていたバス停の一つ手前のバス停「春志内」が目に入った。
 これで一安心。後は送電線の近くにあるであろう「観魚橋」のバス停を見つけることができればOKである。

               
               ※ 目安にしていた送電線が頭上を向こう岸まで延びていました。

               
               ※ この日最後の石狩川の姿です。

 さらに前進を続けた私は、14時20分、無事に「観魚橋」バス停を見つけることができ、スノーシューを脱ぎ、14時56分発「深旭線」の路線バスで、この日の宿泊先の旭川に向かったのだった。

               
               ※ 最後はお決まりの愛機を「観魚橋」バス停と共にパチリと…。

     

 この日の総歩数 22,381歩   距離換算 16.87Km