※ この写真はオランゴ環礁の全体写真です。カオハガン島はこの環礁の右手前にポツンと緑が見える小さな島です。
このところの私は自分でも呆れるくらいたくさんの講演・講座を受講する日々が続いている。まるで日課のように…。それくらい札幌では聴こうと思えば待ってくれている講演・講座の類が用意されているということなのだ。(これでも私はなんでもかんでも受講しているわけではない。自分の興味関心の抱くものを選別して受講しているつもりである)
そんなことで、いっそのことブログタイトル名を「田舎おじさん 札幌で聞く・聴く・訊く」にしようかと思うほどである。ということで、しばらくはブログの投稿も受講したことの感想的なものが主となってしまうがご容赦いただきたい。
11月13日(水)午後、北海道新聞本社において「道新ぶんぶんクラブ」主催の講演会「何も無くて豊かな島 カオハガン島からの贈り物」と題して、カオハガン島オーナーの崎山克彦氏の話を聞いた。
そのカオハガン島であるが私も今回初めて知った。島はフィリピンのセブ島に近い、オランゴ環礁に属する小さな島だということだ。面積は約5万平方メートル、札幌ドームより小さい感じで、そこに約600人が暮らしているという。
※ カオハガン島の位置図です。イメージできますか?
その島が売りに出されていたのを1987年、当時52歳だった崎山氏が購入したという。(当時の価格で約一千万円だったそうだ)
それから数年後、崎山氏は島に移り住み、23年が経過したという。
崎山氏は、カオハガン島を「この島に適した過程を踏んで」発展させ、その中で「ほんとうの発展の目的であるはずの、真の人間の「しあわせ」を考えてみたいと思ったそうだ。
そのために、単に「自然環境」だけではなく、信頼や、互恵性に基づいた、ネットワークを重視する「社会関係環境」までを含めた環境を、次世代に引き継ぐ「持続可能」なものにするために23年間カオハガン島で活動を続けてきたと言う。
※ カオハガン島のオーナー崎山克彦氏です。
崎山氏はそのための活動資金を産み出すために「カオハガン・ハウス」という島を訪れる人たちのための宿泊施設を作り、そこの運営利益を100%活動資金に充てているそうだ。そして宿泊施設の従業員として島民たちに働いてもらうことで雇用も生んでいるという。
崎山氏の話では、23年間の間に島に必要なさまざまな施設を作ったり、制度を整えたりと、獅子奮迅の活躍で住みよい島づくりに努めた結果、当初330人程度だった島民が600人にまで増えたという。これ以上の人口増は望まないが、それも島民たちと話し合い、理解を得ていきたいという。
カオハガン島では2050年までを見通した島のあり方を構想する「カオハガン2050」運動を展開中で、大きな自然を保ちながら、自然と共に歩む生活を志向していきたいと話した。
話をお聴きしていて、自らの考え・生き方に向かって全力傾注する崎山氏の生きざまに心から「格好いい生き方だなあ」と思った。
一つだけ疑問に思った点があった。それは崎山氏の話から島にはどうやら村長がいるらしい。島のオーナーである崎山氏とその村長との関係はどのようなものなのか、という点である。話を聴くかぎりでは、崎山氏が考えられていることが次々と実現していっているように聞こえてきたのだが…。
講演の後の質疑応答で伺いたいと思ったのだが、元気の良いおばさんパワーに圧倒されてしまい、質問できずに終わってしまったのが残念だった。