1983年に、満を持してFF化された、カローラ・セダン。
実は、私は歴代のカローラ・セダンの中で、この5代目の「E80系」が一番好きである。
低く構えたノーズと、ハイデッキで短めのトランク。
このスタイルは、初代FFジェミニに勝るとも劣らないと、私は、気弱に思う。
24年前の「HIROMI GO」も、今とほとんどキャラクターが変わっていないのが、なんだか、とても、うれしいですネ。
さて、カローラといえば、その後派生した2ボックスの「FX」や「ランクス」にも5ドアが設定されていた。
それに先立って、この5代目のE80系には、まごうかたなき「5ドアセダン」が存在していたのだった。
テールランプやリヤガーニッシュよりも高い位置に配されたナンバープレートが、なんとも前衛的ではあるが、やや落ち着き感に欠ける。
「風を切る前向きのリヤ」というコピーには、ちょっと無理があるか・・・
5ドア車らしく、シートアレンジは多彩である。
ダブルフォールディング式ではないが、5:5分割可倒式リヤシートの使い勝手も悪くなさそう。
リヤゲートも当時としては珍しく、バンパーレベルから開く。
当時、ようやく認可されたドアミラーは手動リモコン式。
フェンダーミラー仕様車は電動リモコン式だった模様。
「ハイオーナーカーの快適装備」パワーウインドゥ。
ドアパネルに平面に付けられたこのスイッチは、やや使いにくそうではある。
「高級車の装備、電磁ドアロック」・・・流れた月日を感じさせますネ。
この樹脂ホイールキャップが、どれだけ空力に効いたのかは、実際には謎であるといえましょう。
この5ドア。カローラシリーズの中でもやや上級車的な位置付けで、1600のEFIエンジンは、4ドアセダンには設定はなく、5ドア専用だった。
また、前述のパワーウインドゥ・電磁ドアロックも5ドアのみに設定されていた装備なのだ。
トヨタは、なんとか5ドア車を普及させるべく、いろいろとユーザーを誘導する措置を取ってはいたのだが、やはり「5ドアセダン」は定着することなく、カローラシリーズからフェイドアウトすることになるのである。
「風を切る前向きのリヤ」では、やっぱ、無理だった。合掌。
さて、当然私はこのクルマを運転したことはないが、当時の資料「新型カローラ&スプリンターのすべて」が手元にある。
この本の中で、FRのレビン&トレノを「岡崎宏司」氏が、FFの4ドア&5ドアを「星島浩」氏がインプレッションを熱く語っている。
星島氏曰く、「今度のカローラは違う。80点主義から《100点主義》に変わった。どこからでもかかってこい!」とのこと。
こういうクルマも、若かった頃、乗っておくべきでした・・・