5月25日のモナコGPと、6月8日のカナダGPは、どちらも荒れたレースだったが、見所満載で実に面白かった。
まず、モナコGP。ウィナーはハミルトン選手。幸運もあったとはいえ、デビュー2年目の彼が、雨のモナコという難しいコンディションのレースを制したことは、やはり素直に賞賛せざるを得ない。
中嶋一貴選手も7位入賞。一発の速さではニコ・ロズベルグ選手に見劣りするとはいえ、新人ドライバーが雨のモナコでポイントを取るとは大したものだ。「納豆走法」、そして「雨のナカジマ」。お父さんのDNAは、確実に彼に受け継がれている。
残念だったのが、4位走行中だったスーティル選手が、ライコネン選手に追突されてリタイアしてしまったこと。フォース・インディアというチームがポイントを取れる稀な機会だっただけに、非常に可哀相な事故であった。だが、スーティル選手はベッテル選手と共に、次代のF1を担う有望な若手だ。二人とも将来は、もっと体制の整ったチームでポイント争いをするのは確実であろう。
いつの間にかパトレーセ選手の最多出走記録を塗り替えたバリケロ選手が、久々の入賞。セナ選手と共にレースを走ったことのあるドライバーは、彼だけとなってしまった。ジョーダンやスチュアートといった弱小チームで走っていた頃の彼は、実に輝いていた。実は、私が今最も応援しているドライバーは、このバリケロ選手である。なんとか、もう一度表彰台に立つ彼の姿を見たいものだ。
そして、カナダGP。昨年のカナダで大クラッシュを演じてしまったクビサ選手が、初優勝!あまり若く見えないが、彼はまだ23歳。今年になってからは、速さのあるハイドフェルド選手を全く寄せ付けない。まったくもって驚きだ。
実は、私はハイドフェルド選手も結構好きなのだ。早く彼にも優勝してほしいと思っている。
信じられなかったのが、ピットレーン出口で信号待ちのライコネン選手にハミルトン選手が追突し、両者リタイア・・・ハミルトン選手は、昨年もピットレーンでコースアウトして貴重なポイントを逃している。やっぱ、まだ若いのね。この事故は、今年のチャンピオンシップを左右する、大きなポイントとなったりするかも・・・追突されても、あまり怒っていなかったように見えたライコネン選手は「大人だなぁ」と思ったが、モナコGPでスーティル選手を駆逐してしまった一件があったから、冷静でいられたのかもしれない。
荒れたレースだったとはいえ、最近ウェバー選手の影に隠れがちだった「DC」ことクルタード選手が、久々の表彰台を得たのは、驚きであった。やはりウィリアムズ・マクラーレンとトップチームを渡り歩いただけのことはある。いぶし銀な感じが、かつてのブートセン選手を想わせる。
2008年のチャンピオンシップの行方も、混沌として分からなくなってきた。やはりフェラーリの2人に、ハミルトン選手とクビサ選手を加えた4人での争いとなりそうだ。
いつも疑問に思うのは、雑誌等のマスメディアでのマッサ選手の評価が非常に低いことだ。彼はサーキットでの得意不得意があり、波のある選手だが、速い時は手がつけられないくらい速い。彼がワールドチャンピオンになる可能性も、結構高いと私は睨んでいる。