さて、本日は友人の尾車氏と共に、待望のスバルのミニヴァン「エクシーガ」の試乗へと出かけた。
まず、試乗させていただいたのは、2.0i-L(AWD:236万2500円)である。ヘッドライトのブルーのアイラインが、はたして必要かどうかは、議論の分かれるところであろう。
Aピラーがいい角度で立っており、視界良好なのはその他のスバル車にも共通の、大いなる美点である。実際、他社のミニヴァンのAピラーは視界の邪魔になることが多いのだ。三角窓の大きさよりも、三角窓を必要としないAピラーの立ち方の方が、私は重要だと思う。
なお、レガシィではクロスが貼られているAピラー内側だが、エクシーガはインプレッサ同様プラスティック樹脂のままである。
おおむねインプレッサ/フォレスターと共通のインテリア&計器盤。水温計は廃されて、その代わりに「エコゲージ」が付いている。コレは、実用上は大いに結構な装備である。ただし、半ドア警告灯はやはりレガシィのような「ドア毎表示」が望ましい。
赤めの木目調パネルは、私的にはあまり好みではない。
ちなみに、このクルマは未だに4ATである。とはいえ、街乗りにおいて痛痒を感じることは皆無であった。このユニットはターボモデルの5ATユニットよりも18kg軽い。おそらく、スバルは名よりも実を取って、NAモデルにはこの4ATを採用したのだろう。VWのDSGには確かに負けているとは思うが、この4ATもそんなに悪いモノではない。それよりも、大問題は、MTの設定がないことだというのが、私の率直な意見である。
ミニヴァンとはいえ、フロアシフトを採用し、1列目⇔2列目のウォークスルーは出来ない。だが、私はそれでイイと思う。やはり、クルマはフロアシフトがイイ。
だがしかし、それなのに、なぜかパーキングブレーキは足踏み式・・・やはり、フロアシフト車のパーキングブレーキは、一般的な「センターコンソール部装着のレバー式」の方が違和感がないのだが。このクルマが「足踏み式を」採用した意図は、謎である。
3列目へのアクセスは、2列目席の肩口に付いているレバーを下げるだけでOK。コレはなかなか使いやすく、乗降性は良好だった。
3列目席は、高いアイポイントとルーミーな室内のおかげで、閉塞感は無く、居心地は悪くない。乗り心地も許容できる範囲内にある。インプレッサベースゆえか、しなやかでジェントルな乗り味。驚くべきは、走行中でも3列目と1列目の人間が、普通に会話が出来る静粛性。この点は、ひょっとしたら私のレガシィ2.0iより上かも・・・
2列目席最後端位置での、そのレッグルームはこんな感じ。2列目席をもっと前に出して、空間を広げることも可能である。ヘッドクリアランスにも余裕があり、私の全体的な印象としては、この3列目席の居心地は、軽自動車の後席よりも上だと思う。
ただし、3列目席使用時のラゲッジルームは、やはり必要最小限といったところ。やはり、このクルマの場合も、普段は3列目席は倒しておくのが、正しい姿であろう。
3列シートのAWD車だが、サブトランクを備えており、「パンク修理セット」ではなく「テンパータイヤ」をきちんと積んでいるところが、スバルの偉いところ。
ただし、2列目中央席のシートベルトが2点式なのと、フォレスターに標準装備のVDCが一部グレードのメーカーオプションとなってしまったのは、やや残念。また、全車「オーディオレス」なのも、微妙な点ではある。見かけ上の車両本体価格を低く見せるためなのかもしれないが、その辺はややスバルらしからぬところではある。
さて、お次はターボモデルの2.0GT(278万2500円)。
黒木目調のパネルは、私としては好きな部類。SI-DRIVEのS♯モードは、やはりなかなか愉しい。ただし、いかにも燃費には悪そうなシフトスケジュールではある。その後にインテリジェントモードで走らせると、まるでオブラートでエンジンを包んでしまったかのようなそのフィールに、これまたビックリだった。
この試乗車には近年流行の「パノラミックガラスルーフ」が装着されていた。2列目席に座っていると、この装備の恩恵を強く感じる。まことに開放的で、愉しい装備だ。私だったら、必ず装着するであろう。
エクシーガは、全体的にとてもよく出来たクルマで、きっと売れるだろうと思う。
だがしかし、5年も前に登場したBPレガシィとあまりにもイメージが似ていることは、いかがなモノだろう。今はまだいいが、数年で古臭く見えてしまう可能性もあり、もうすこし新味が欲しかったところだ。また、カタログ上の燃費も決して悪くはないのだが、BPレガシィから進歩しているワケでもない。私が今買うなら、インテリアの質感等を勘案し、やはりBPの方を選ぶ。
とはいえ、6人以上乗せなければいけないという状況だったら、数あるミニヴァンの中から、エクシーガを迷わず選択する。これ、ホント。