
新聞によると8月22日と23日、トヨタ・日産・ホンダ・スズキ・ダイハツ・そしてスバルの6社合同で「オータム ニューカー フェスタ 2009」なるイベントがアクセスサッポロで開催されるとのこと。64台もの種々の試乗車が用意されているらしい。我々クルマ好き取材班は、慌ててその会場に駆けつけた。

まず乗ってみたのは、やはりスバル。アウトバック3.6R(5AT)を走らせたのは、これが初めてだった。アイポイントは、素のレガシィよりも明らかに高く、運転席からはボンネットの抑揚がよく分かる。フェンダーが張り出しているので車幅が広いが、車両感覚が摑みやすく取り回しがそう悪くないのは、スバル車に共通の美点である。
この3.6Lフラットシックスは、やはり静かでスムーズで、そしてトルキーである。とはいえ、車全体の動きは、B4やツーリングワゴンよりもややおっとりした感じではあった。私はやはりSパッケージの脚を好む。

さて、せっかくの機会なので、ここは普段あまり乗れないクルマに乗るべきであろう。次に試乗させていただいたのは、クラウン・ロイヤルサルーン3.0L4WD(6AT)である。Aピラーの立ち方等がマトモなので、このクルマも車両感覚は摑みやすい。それにしても、近年こういう国産の真っ当な4ドアセダンは、本当に少なくなってしまった。

走り出すと、低速域でのパワステの軽さに驚いたが、巡航速度に達すると、想像とは違って意外なくらいにシャキッと走る。15年以上前に乗った叔母のマークⅡは非常になまくらなフィールだったが、このクラウンはそうではなかった。

もっとも印象的だったのは、空調のルーバーが、まるで首振り扇風機のように左右に自動で動いて冷風を全体に送ることであった。こんなエアコンを見たのは初めてだ。コレを見た瞬間、単純な私は、「やっぱりいつかはクラウンかなぁ・・・」と一瞬だが思ってしまった。

屋内展示場では、日産GT-Rが展示されていた。

このブレンボのブレーキとファットなタイヤは、一見しただけでも高価そう!

だが、スイッチ類のたくさん付いているそのインテリアは、劇画調でイマイチ高級感に欠ける。やはり私としてはもう少しなんとかしてほしいところではある。

そして最後に乗ったのは、フェアレディZバージョンSTだった。このクルマは試乗車としては今時珍しい6MT!

Zの伝統を踏襲する3連補助メータのインテリア。やっぱ全体的にやや劇画調なのが、日産らしいといえるのかもしれない。
さて走り出してみる。乗る前に予想していたよりも、ノーズの長さは気にならなかった。おそらくはストレート6を積んでいた時代のZとは、そこが大きく違う点なのだと想像できる。
ただし、「ぐもーっ」といった感じで回るエンジンフィールはやや重苦しい感じ。クルマ全体が醸し出すフィールはやや軽快感に欠け、正直いって私のレガシィ2.0i(5MT)の方が、鼻先軽くよほどスポーティーであるように私個人は思った。
また、この日乗ったアウトバックやクラウンが静かなクルマだったせいか、エンジン音やロードノイズ、そして駆動系の騒音がかなり耳に付いたことも記しておこう。この試乗車のコンディションは、あまり良くなかったのかもしれない。

だが、特筆すべき点は、この6MTの「シンクロレブコントロール」だ。シフトダウン時に、いわゆる「回転合わせ」をクルマが自分でやってくれるのである。4→3とか4→2とか色々試してみたが、完璧にスムーズなシフトダウンをこなしてくれる。これは驚きだった。だが、このクルマ。シフトアップ時にスムーズに走らせるのにはやや慣れを要するように思えた。シフトアップよりもシフトダウンが簡単だという、稀有なMT車なのだ。実に面白い試乗だった。
