昨夜の残りの豚と白ネギの蒸し焼き、いただき物の韓国直輸入のキムチ、カツオの生節
網野善彦他、2002、『網野善彦対談集「日本」をめぐって』、講談社
網野善彦が、講談社刊の日本の歴史(全26巻)を契機に田中優子、樺山紘一、成田龍一、三浦雅士、姜尚中、小熊英二と対談を行ったもの。それぞれ、興味深いのだが、ここでは、小熊英二との対談について触れておきたい。
この対談の中で焦点となるのは、歴史が「物語」であるのかどうか、戦後歴史学の動向、自由主義歴史学(いわゆる歴史修正主義)の評価、マルキストの影響、日本民族の単一民族神話についての理解等である。多様なテーマで、同時に浩瀚な討論がおこなわれているので、詳細にフォローすることは困難ではあるが、大変、興味深く読むことができた。
網野の「百姓と農民は違う」「東西日本の相違」と言うとき、それによって、天皇制や近代以降の歴史の読み方が異なってゆく。小熊はこれについて、多様だといいながらも結果的には日本単一民族神話を強化するのではないかと食いつくと、網野は民族を超越しているのだ、超歴史学的理解なのだといい、議論はすれ違うのだが、ここが、網野歴史学の肝であろう。
民族や国家という近代的な概念のもとに現在を理解するのではなく、伏在あるいや潜在するエートスのようなものが国境を越え共通性の広がりを持つはずであろう。その意味で、あらゆる現象が国境を越える現在、あらためて民族や国家を超越する視座を見いだす必要があろう。
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2005-02-25 15:18:22 |
読書 |
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