『ビリー・バッド(岩波文庫)』
メルヴィル、1976、『ビリー・バッド(岩波文庫)』、岩波書店
小説は書かれた時代や著者の置かれた状況や思想が理解できていないと、様々な解釈が可能になってしまう。じつは、読後感想としては、何をここで書くべきか見当がつかなかった。しかし、よく考えてみると、本作はメルヴィルの遺作とあるので19世紀末の作品いうことを考慮に入れなければならないだろう。主人公のビリーは多くの人から善き人と理解されていたが、上司の一人の誤解(?、どうかわからない、意図的かもしれない)によって、告発され、自己弁護の場面で暴力をふるって上司を殺してしまい、そのことが主因で即決裁判によって死刑に処されることになる。ビリーは、逍遥としてその処分を受けることになるのだが、これを現時点から理解するには、なぜ、ビリーは抗弁せず、逍遥と処分を受けることになるのかということが疑問に思える。考えてみると、やはり、その時代やその人間観が映し出されている、たとえば、反乱事件や水夫の身分・待遇といった社会的な要素、また、人生観としての諦観のようなものを考えることができるのではないか。
メルビルの『白鯨』を随分前に読んだが、その作品は、現代にも通じるものが多かったような記憶がある。本作品よりも理解できる部分があったようにおもえる。もちろん、かといって、理解できにくいものについて良し悪しを論じるつもりはない。多様な人間観と理解すべきなのだろうか。あるいは、メルヴィルのメッセージを読み取れないということなのだろうか。
小説は書かれた時代や著者の置かれた状況や思想が理解できていないと、様々な解釈が可能になってしまう。じつは、読後感想としては、何をここで書くべきか見当がつかなかった。しかし、よく考えてみると、本作はメルヴィルの遺作とあるので19世紀末の作品いうことを考慮に入れなければならないだろう。主人公のビリーは多くの人から善き人と理解されていたが、上司の一人の誤解(?、どうかわからない、意図的かもしれない)によって、告発され、自己弁護の場面で暴力をふるって上司を殺してしまい、そのことが主因で即決裁判によって死刑に処されることになる。ビリーは、逍遥としてその処分を受けることになるのだが、これを現時点から理解するには、なぜ、ビリーは抗弁せず、逍遥と処分を受けることになるのかということが疑問に思える。考えてみると、やはり、その時代やその人間観が映し出されている、たとえば、反乱事件や水夫の身分・待遇といった社会的な要素、また、人生観としての諦観のようなものを考えることができるのではないか。
メルビルの『白鯨』を随分前に読んだが、その作品は、現代にも通じるものが多かったような記憶がある。本作品よりも理解できる部分があったようにおもえる。もちろん、かといって、理解できにくいものについて良し悪しを論じるつもりはない。多様な人間観と理解すべきなのだろうか。あるいは、メルヴィルのメッセージを読み取れないということなのだろうか。
ビリー・バッド (岩波文庫 赤 308-4) | |
クリエーター情報なし | |
岩波書店 |