『タイワニーズ:故郷喪失者の物語(電子版)』
野嶋剛、2018、『タイワニーズ:故郷喪失者の物語(電子版)』、小学館
東アジアにあるひとつの地域としての台湾はさまざまな地政学的な状況に左右されてきた。大陸からさまざまな人々が吹きだまってきたのは日本も同様ではあるとしても、政治的な状況は困難を極めたといえよう。本書で取り上げる人びとは日本に居住する人びととその祖先としての台湾関係者であるので、日本と台湾との関係が輻湊する近代以降を取り上げても、台湾出兵、日清戦争による台湾の植民地化、日本による皇民化教育、日本の敗戦、国共内戦の結果中華民国政府の台湾への移動、中華民国政府の白色テロによってかきたてられる複雑な親日感情、東西冷戦下の日本の反共政策、日中国交回復などなど、これらの歴史的事件の間、台湾の人々は日本国民でもあったので生活のために日本本土への移住を決め、また、政治的な状況の変化によって帰国を迫られ、国交回復の状況次第で生じる国籍のゆらぎ、などなど極めて多様な状況が起こる。
本書は、トピックとして、政治、日本語、芸、食、故郷喪失、タイワニーズをそれぞれの章で扱い、台湾と日本の関係やアイデンティティの問題について、日本のそれと対照させながら詳しく描く。ジャーナリストとして取り上げる人びとの系譜にさかのぼって調べ上げ、本人や関係者とのインタビューを通して詳述していて、台湾のことを詳しく知ることができる。
本書のタイトルはカタカナの「タイワニーズ」であるのは、台湾という文字の持つさまざまな既存のイメージを脱して新たな、そして、多くの日本人が考えることもないような、出会うこともないような問題を突きつけている。
東アジアにあるひとつの地域としての台湾はさまざまな地政学的な状況に左右されてきた。大陸からさまざまな人々が吹きだまってきたのは日本も同様ではあるとしても、政治的な状況は困難を極めたといえよう。本書で取り上げる人びとは日本に居住する人びととその祖先としての台湾関係者であるので、日本と台湾との関係が輻湊する近代以降を取り上げても、台湾出兵、日清戦争による台湾の植民地化、日本による皇民化教育、日本の敗戦、国共内戦の結果中華民国政府の台湾への移動、中華民国政府の白色テロによってかきたてられる複雑な親日感情、東西冷戦下の日本の反共政策、日中国交回復などなど、これらの歴史的事件の間、台湾の人々は日本国民でもあったので生活のために日本本土への移住を決め、また、政治的な状況の変化によって帰国を迫られ、国交回復の状況次第で生じる国籍のゆらぎ、などなど極めて多様な状況が起こる。
本書は、トピックとして、政治、日本語、芸、食、故郷喪失、タイワニーズをそれぞれの章で扱い、台湾と日本の関係やアイデンティティの問題について、日本のそれと対照させながら詳しく描く。ジャーナリストとして取り上げる人びとの系譜にさかのぼって調べ上げ、本人や関係者とのインタビューを通して詳述していて、台湾のことを詳しく知ることができる。
本書のタイトルはカタカナの「タイワニーズ」であるのは、台湾という文字の持つさまざまな既存のイメージを脱して新たな、そして、多くの日本人が考えることもないような、出会うこともないような問題を突きつけている。
タイワニーズ 故郷喪失者の物語 | |
野嶋剛 | |
小学館 |