このトランジスタラジオAT-280の修理履歴です。それぞれをクリックしてください。
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前回の調査で、このトランジスタラジオの故障箇所がほぼ低周波増幅初段であることが分かりました。そこで、今回は故障の箇所を特定して修理することにしました。そのために、シグナルインジェクターで怪しい箇所に信号を入れながら調べました。
シグナルインジェクターからの信号を基板に注入
低周波増幅初段の位置は高周波混合段の近くにあるため、チューニングダイヤル板が邪魔をしてインジェクターの端子が差し込めません。このため、ダイヤル板をいったん外して調査しました。ラジオの回路図がないので、基板の部品配置を見ながら低周波初段箇所を一つ一つ丹念に調査しました。
ダイヤル板が干渉して邪魔 ダイヤル板をいったん外す
すると、思っていたとおり検波した音声が低周波増幅段に通じる結合コンデンサ(電解コンデンサ10μF)が容量抜けしているのは確実です。このコンデンサを交換してみることにしました。そこで、同じ容量の電解コンデンサをストック品から探しました。
容量抜けした電解コンデンサ ストック品から探し出したコンデンサ
同じ容量の電解コンデンサを探し出した後、交換作業に入りました。しかしながら、電解コンデンサは極性があります。挿入されているコンデンサの印字を見て確認してもよいのですが、正確を期すためにテスターでも確認しました。
電解コンデンサの極性を確認、テスター棒の赤側がプラス
続いてコンデンサの交換作業に入りました。最初に容量抜けしたコンデンサを取り除きます。そのために、コンデンサを基板に固定しているハンダを溶かした後、ハンダ吸収器を使ってハンダを取り除きます。ハンダを除去すると簡単にコンデンサを取り除くことができます。
ハンダ吸取器でハンダを除去中 取り除いた電解コンデンサ(10μF)
次にストック品から選んだ良品の電解コンデンサを基板に取り付けます。取り除いたコンデンサが挿入されていた穴に、良品のコンデンサを挿入してハンダを流して固定します。これで電解コンデンサの交換が終わりました。今度は、電気を流して故障が直っているか確認です。
丸は、良品の電解コンデンサを挿入してハンダで固定した箇所
通電すると、ちゃんとラジオを受信して、その音量が正常にコントロールできるではないですか。予想したとおり電解コンデンサの容量抜けによる故障でした。コンデンサを良品と交換したことによって音量調整不良が直りました。
ラジオ受信し音量調整を確認中 故障が直ったので裏蓋を閉じる
故障を直ったことを確認すると、裏蓋を閉じました。そして、定電圧電源からではなく電池を入れて最終確認をしました。これで、ボリュームの電源スイッチ不良,部品ハンダ付け不良,音量調整不良の三つの故障を直すことができました。
電池を入れてラジオ受信を確認中