すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

名人が語る食と言葉

2009年12月08日 | 雑記帳
 あの「分とく山」の料理長野崎洋光氏の講演を聴いた。しかも隣接する中学校である。詳しくは、学校ブログで。

 グルメ気どり親父しかもミーハーを自称する私としては、実に楽しみだった。
 控室でも間近に座らせていただき、雑談できた。
 講演そのものは正直しゃべりのプロという感じはなくて、細切れ的な内容になってしまってやや期待外れだった。
 しかし、その中にあった「食と言葉」に関した件が実に興味深かった。

 グルメ雑誌や漫画もずいぶん読んでいるので、食に関する日本の感覚の素晴らしさはなんとなくわかっているのだが、改めてこんな数値を出されると、はあっと思う。
 なめらかとかしゃきしゃきとかいう類の味覚・食感を表す語彙の数である。

 「英語では70あるそうです。では日本語ではいくつあるかというと…455です。」
 
 四季を持つ国で暮らす日本人の繊細さ、などという表現は陳腐な気がしていたが、語彙数で語られると実感がある。
 そして地方ごとに食文化の違いも際立っている。これはまさしくこの国の地形、気象条件、それに伴う産業の発達、そして交通や流通の歴史…様々な要素が絡まっているんだろうなと思わされる。

 例えば、今最盛期を迎えつつある「ハタハタ」。この魚に関しては秋田そのものを表すといっても過言ではないほどの文化があると思うのだが、それに充てられた漢字も、「鰰」「鱩」と実に興味深い。

 おっとっと、止まらなくなりそうなので、止めて…野崎さんである。こんなことも言った。

 「『いぶりがっこ』の『がっこ』はね、漢字で書くと「雅香」ですよ。これはね、昔の京の人たちの遊びから来ているんだね、たくわんづけを…」
 
 当て字だという説もあるが、名人が言うと何だか本当に思えてきて…。